永山瑛太が坂本龍馬を演じる上での覚悟を語る「龍馬さんの言葉が、最後まで自分の核となりました」──正月時代劇「幕末相棒伝」インタビュー2022/01/02
1月3日にNHK総合で放送される正月時代劇「幕末相棒伝」は、坂本龍馬と土方歳三が相棒となり、最後の将軍・徳川慶喜暗殺未遂事件の犯人を探るという新感覚時代劇。永山瑛太さんが龍馬を、向井理さんが土方に扮(ふん)します。
ここでは坂本龍馬を演じた永山瑛太さんにインタビュー。撮影時のエピソードや作品への思いを伺いました。(向井理さんのインタビューはこちら:https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-1300866/)
──永山さんは2年連続の正月時代劇の出演となります。今回の現場では、どんな部分を楽しみながら撮影されましたか?
「坂本龍馬として幕末の志士たちと向き合った時に、その場の空気が変わるという芝居の醍醐味(だいごみ)を味わいました。坂本龍馬という人間の多面性みたいなものを自分の感情を使ってどういうふうに表現できるのか?ということを、監督と一緒に相談しながら作っていったのですが、龍馬さんを演じることで場の空気が変わるという楽しさに気付きました」
──コメディー時代劇の名手といわれる、土橋章宏さんの脚本を読んだ印象をお聞きしたいです。
「坂本龍馬と土方歳三が一緒に探索をするという設定は今まで聞いたことがないですし、たくさんの記録や史実がある中で、どうすればその設定の面白さが表現できるのか考えました。龍馬と土方が、出会ってから少しずつ信頼していくさまだったり、距離がどんどん近づいていく部分の具体的な描写がなく、そこは自由に演じていいよと、どこか役者に託されているような気持ちになりました。現場で感じた思いを大事に演じることができたのも、この脚本だったからだなという気がします」
──脚本を読んだ上で、どのような坂本龍馬を演じようと思いましたか?
「監督からは、『思いっきりやってほしい』と言われました。どんな坂本龍馬になったかというのは、見ていただいた方それぞれの感想でいいと思います。僕はまず、史実や今までたくさんの方が演じられてきた坂本龍馬さんのイメージを1回ゼロにして、“永山瑛太の坂本龍馬とは一体何なのか?”というところから考えました。やはりそういう気概を持っていないと、龍馬さんという存在に跳ね飛ばされるぞと。あと、コミカルな場面だから笑いを求める芝居をするのではなく、一生懸命演じることによって見ている方に笑っていただけたり、どんな場面でも懸命に演じていれば、視聴者の方に対して伝わるものは絶対にあるということを信じて演じました。『世の人は我を何とも言わば言え 我が成すことは我のみぞ知る』という龍馬さんの言葉が、最後まで自分の核となりました。絶対に折れないぞというつもりで、一生懸命集中して突っ走りました」
──劇中では、走ったり乱闘したり大ジャンプしたりなどの体を張ったシーンが多いですが、演じてみていかがでしたか?
「基本的に僕は、撮影でけがをしたり使い物にならないような状態になってもいいと思って命懸けで演じています。幼い頃から見ているジャッキー・チェンさんの影響もあって、アクションを演じるにあたって、どんな要求にも応えられるような肉体を常に準備しておかなくてはいけないと思うんですよね。…と、僕は今かなり格好つけていますけど(笑)」
──(笑)。
「炎天下の中、走って逃げるシーンがあったんですけど、正直、砂利や石がたくさんあって足がとても痛かったんです。何度も何度も走って、それでも僕は『最後まで倒れずにやる』という根性を監督に見せることができたので、その頑張りが画面に映っていたらいいなと願って、命懸けで演じました」
──龍馬役をやると決まった時点で、体を張る覚悟はできていたのですか?
「そうですね。このドラマは2日間の話ですけど、龍馬さんはその2日間の中で、どう命懸けで生きていたのか?ということを描いている作品でもあると思うんです。そんな中で僕が『足が痛い』とか『暑い』とか言ってるような、生ぬるいことではいけないと思うので。命懸けで生きる龍馬さんの力を借りながら演じたので、不思議と怖いものはなかったですね」
──ほかに撮影していて印象に残ったシーンはありますか?
「全シーンです。どの場面の撮影も一筋縄ではいきませんでした。それは監督の芝居に対する要求度が本当に高かったからですが…(笑)。だから僕は、すべてのシーン、すべてのカットに全身全霊を傾けて演じました。それから印象に残ったことで言えば、撮影中ではないのですが、ちょっと不思議な体験をしました。撮影が始まったばかりのころ、やっとのことで龍馬さんのお墓がある霊山墓地(京都霊山護国神社)を訪ねる機会がありました。『龍馬さんを演じさせていただきます』と墓前に手を合わせた時、急に膝がガクガクして足から力が抜けてひざまずいてしまったんです。そして、何か温かいものに抱きしめられるような感覚がしました。普段からスピリチュアルな体験などしたことがないので、ビックリしてすぐプロデューサーさんにメールしたくらいです。もしかしたら、僕自身が心に抱えていた、龍馬さんを演じることへの不安みたいなものが、龍馬さんのお墓を訪れることで一気に解けたからなのかもしれませんが、とても印象的な出来事でした」
──土方歳三役として共演された向井さんの印象についてお伺いしたいです。
「最初の顔合わせの時から、もう土方になっているのか、普段の向井くんがこういう人なのか…どこかベールに包まれているような、少し近寄りがたいオーラを放っていました。その距離感みたいなものが、今回の作品にとっては有効だったんじゃないでしょうか。もちろん多少の世間話はするんですけど、一定の距離感を保ちながら、お互いがお互いの役を全うしていく、というような関係性でした。僕が龍馬を演じる上で、いろんなところに飛び込んだり突っ込んだりするような言動に対して、しっかりとした受けの芝居をしてもらえたので、僕は安心して、思いっきり振り切って演じることができました」
──最後に、このドラマを見る方へのメッセージをお願いします!
「子どもからお年寄りまで、老若男女問わず楽しんでいただける時代劇だと思います。冒頭からさまざまな出来事がテンポよく展開し、笑いありハラハラありのお正月にぴったりなドラマなので、ぜひご覧いただきたいと思います。特に子どもさんには、こんなに元気な龍馬という男がいたということを知ってもらえるとうれしいです。新しい時代を信じてがむしゃらに駆け回る龍馬から、今の時代を生きる力みたいなものを見つけてもらえたらいいですね」
──ありがとうございました!
【プロフィール】
永山瑛太(ながやま えいた)
1982年12月13日生まれ。東京都出身。射手座。B型。2001年、「さよなら、小津先生」(フジテレビ系)で俳優デビュー。20年1月、瑛太から現在の名前に改名。近年の主な出演作は「リコカツ」(TBS系)、NHK大河ドラマ「西郷どん」、映画「護られなかった者たちへ」(21年)など。
【番組情報】
正月時代劇「幕末相棒伝」
NHK総合
1月3日 午後9:00~10:29
【プレゼント】
サイン入り生写真を1名様にプレゼント!
TVガイドweb公式Twitter @TVGweb (https://twitter.com/TVGweb)をフォローし、下記ツイートをリツイート。
https://twitter.com/TVGweb/status/1478212654015848451
【締切】2022年1月29日(土)正午
取材・文/M(NHK担当) 撮影/蓮尾美智子
関連リンク
この記事をシェアする