江戸時代の不屈の歌舞伎俳優・中村仲蔵を中村勘九郎が熱演!!2021/12/02
NHK BSプレミアムで12月4日、11日に2週連続で放送されるドラマ「忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段」。今も落語や講談で人気を博している江戸時代の伝説の歌舞伎俳優・初代中村仲蔵が、虐げられ、いじめられても負けず、裸一貫からはい上がり、一発大逆転を目指す姿を描くサクセスストーリーです。
庶民に熱狂的に愛される江戸随一の芝居小屋・中村座で役者修業に励んでいた中村仲蔵(中村勘九郎)は、病で倒れた父を助けるため役者を辞めることに。しかし、役者の夢を捨てきれない仲蔵は、最下層の役者から再びスタートします。そこで仲蔵を待っていたのは壮絶ないじめで…。
放送に先駆け、中村仲蔵を演じた主演の中村勘九郎さんにインタビューを行い、撮影中のエピソードなどをお聞きしました。
勘九郎さんは初めて台本を読んだ時のことを「出演のお話をいただいた時は、歌舞伎俳優が歌舞伎を映像作品としてどういうふうに表現するんだろう、難しいんじゃないかなという思いがありました。でも、台本を読んでいくにつれて、これは大丈夫だなと思うようになりました。脚本・演出の源孝志さんがお書きになるお話ってすごくハートフルで、かつワクワクもする物語で。また、演出や編集、音楽も含めてものすごく格好いいものに出来上がっていたので、本を読んだ時の感想は間違っていなかったなと思いました」と振り返ります。
演じた仲蔵という役については「父が中村仲蔵さんの伝記『手前味噌』を愛読しておりまして、ずっと楽屋に置いてありました。そこから志賀山流の踊りを踊る縁があり、僕自身も『手前味噌』を読み始めたのが仲蔵さんとの出会いです。今でも仲蔵さんが始めた演出が受け継がれているくらい素晴らしい方なので、歌舞伎俳優として偉人のように感じています。当時の歌舞伎界の中村座を再現できたらなと、子どもに戻ったような気持ちで撮影に臨みました」と、偉大な歌舞伎役者に尊敬の念を払いつつ演技に挑んだそう。
撮影に使ったセットに関して「日本全国に古い芝居小屋は残っているんですけど、江戸中期の浮世絵に出てくる芝居小屋の構造のものはないんです。定式幕がせり出していて、幕を閉めても舞台が残るような作りを実際に見るのは初めてでした。花道や楽屋も本当にこだわって作ってくださって、スタジオが本当に1軒の芝居小屋のようでした。スッポンや羅漢台(舞台上にある観客席)などの再現は難しかったと思うんですけど、錦絵の中にしかなかった舞台が現実のものとして目の前に現れた時は、本当にうれしかったです。もしコロナ禍じゃなかったら、ドラマの撮影がすべて終わった後にお客さんを入れて、出演者で1本芝居をする計画を立てたいくらいでした」と充実した撮影について語りました。
最後に作品の見どころを聞くと「仲蔵さんという人物がどのようにして再出発からのし上がっていくのか、その疾走感とワクワク感が見どころだと思います。源さんの演出もそうなんですけど、スタッフの方の職人魂がすごくて、役者をやっていて幸せないい空間でした。また、源さんの時々あるむちゃぶりも見どころで、仲蔵を助ける謎の侍を演じる藤原竜也くんが、そば屋で片口の器からそのままお酒を飲むシーンがあるんですけど、あれは本当に飲んでいて、いろんな角度から何度も撮るので竜也くんが怒っていました(笑)。他にも、妻のお岸役の上白石萌音ちゃんがご飯を食べている目の前で、はしご乗りの足を広げたりするシーンとかも、申し訳ないと思いつつ演技していました」と笑顔で共演者の方々の裏話を明かしてくれました。
インタビュー中の勘九郎さんは本当に楽しそうで、撮影はとても有意義な時間だったことがひしひしと伝わってきました。ドラマ「忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段」をぜひご覧ください!
前編・あらすじ
孤児だった中村中蔵(のちの仲蔵/中村勘九郎)は長唄と踊りをなりわいにする夫婦に育てられたが、中村座の中堅役者・中村傳九郎(髙嶋政宏)の弟子となり、役者修業に励んでいた。踊りが得意な仲蔵は女形の瀬川錦次(中村七之助)らに稽古をつけるなど次第に才覚を表し、「大立者」と称される人気役者・二代目松本幸四郎(市村正親)の目にも留まるようになっていく。しかし、傳九郎のひいき筋の豪商・吉川仁左衛門(谷原章介)の座敷に仲蔵も呼ばれ、踊りを披露したことがきっかけで、役者を辞めて吉川に奉公することに。病で倒れた父を助けるための選択だったが、仲蔵は役者の夢を捨てきれない。やがて三味線方の娘・お岸(上白石萌音)と結婚。以前の師匠・傳九郎に許しを請い、「稲荷町」という最下層の役者から再スタートを切ることになるが、待っていたのは壮絶ないじめだった…。
【番組情報】
ドラマ「忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段」
NHK BSプレミアム・NHK BS4K
前編 12月4日(土) 午後9:00~午後10:29
後編 12月11日(土) 午後9:00~午後10:29
NHK担当 S・A
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