宇野昌磨が「NHK杯2021」で優勝「もっともっと、もっと上を目指して走り続けたい」。山本草太、三浦佳生も健闘!2021/11/15
グランプリシリーズ第4戦「NHK杯2021」が11月12~14日に東京・国立代々木競技場第一体育館で開催され、宇野昌磨選手が3年ぶり2度目の優勝を果たしました。
11月12日のショートでは、4回転トウループのコンビネーションジャンプでセカンドジャンプが3回転の予定から2回転となりましたが、冒頭の4回転フリップ、最終ジャンプのトリプルアクセルは加点の付く出来栄えで着氷。102.58点で首位発進に。
そして、翌11月13日のフリーでは、4回転・4種・5本の高難度構成に挑み、187.57点を獲得。ショート、フリーともに1位の合計290.15点で自己ベストを更新しました。
試合後に行われたインタビューから、宇野選手のコメントを紹介します。
――大会を終えて、今のお気持ちをお聞かせください。
「ようやく前半のジャンプを試合で跳ぶことができました。ただ、『練習でできていたジャンプが試合になると乱れる』というのも見られたので、(優勝という)結果はうれしいですけれど、一刻も早く帰って、今回見つかった課題を練習したいなと思っていますし、もっともっと難易度の高い構成ができるように練習したいとも考えています」
――「グランプリファイナル2021」への出場が決まりました。
「この数年間、表彰台に上がることさえもできないシーズンが続きましたが、ようやくこの『NHK杯』で再び世界のトップで競い合う存在に戻って来られたのかなと。本当に皆さんにたくさんのご心配をおかけました。皆さんが支えてくださって、今こうして自分がいると思います。ありがとうございました」
――お客さまからたくさんの拍手が起こっています。
「これだけたくさんのお客さんが入った試合というのも久々で、少しずつですけれども日常が戻りつつあることをうれしく思います。また、選手たちは自分の感情を爆発させて、声を出したり、体でうれしさを表現したりすることができると思うのですが、いつかお客さんの皆さんも、いい演技だった時にたくさん声援を上げられる日常が戻って来ることを祈っています」
――今シーズン、スケートへのモチベーションがとても高まっていると感じますが、どのような理由からでしょうか?
「言葉にするのは難しいのですが…。僕は『スケートを頑張らなきゃ』と思ったシーズンがありました。ただ『頑張らなきゃ』と思うと、自分の首を絞めるというか、つらい日々につながりました。なので、『スケートを楽しむ』『頑張りすぎない』をモットーに(スケートを)やるようにしていました。それでも、僕もスポーツ選手なので『成績を残したい』『成長したい』という思いが心のどこかにあり…。それをあまり自覚しないようにしていたのですが、どんどん成長していく若い世代、自分を支えてくれる皆さんの期待、僕が“世界一になれる実力を持つことができる”と信じてくれているステファン(・ランビエールコーチ)、いろいろな人の期待に応えたいと思って、『僕はもっとできるんじゃないか』と。偶然調子が上がっていたのも重なり、『今はやった分だけ成長できる』『こんなに楽しいことはない』(という状態です)。それを逃さないように、やれることをやりたいと思っています。今は、生活のすべてをスケートに向けてやっています」
――ステファンコーチから「世界一になれる」と言われているのですか?
「僕は正直英語があまり分からないので、断片的ではあるんですけれど…。『君が世界一になるためには何が必要になると思う?』と言われたり、マネジャーやトレーナーから『そういう話をしていたよ』と聞いたり。本当に“(ステファンコーチの)僕に懸ける思い”というのが…。僕はちゃんと見てもらうようになってそんなに長くないので、デニス(・ヴァシリエフス)や(島田)高志郎くんの次の“おまけ”くらいの気持ちでいたのですが、それだけ強い思いで見てくれている、その思いに応えたいと思いました」
――ステファンコーチの『君が世界一になるためには何が必要になると思う?』という問いに、何と答えたのですか?
「僕は『ジャンプ』と言いました。スケートはすべての要素があって成り立っているということは自覚しているのですが、最近の傾向を見ると、ジャンプを跳ばないと2位、3位になれたとしても、ネイサン・チェン選手がいる限り1位は無理だなと。その(挑戦の)結果5位になったとしても、1位になるためにはリスクを背負って試合に挑まなければいけないと思いました」
――久しぶりに4回転ループを成功させることができたことで、今後どのような影響があると考えますか?
「(4回転)ループというジャンプは、もっと安定させられるような気がするんですよね。僕が練習で跳んでいる(4回転)フリップくらいに(4回転)ループを安定させることができれば…。今は一つ目のジャンプ、一番体が万全な時に跳ばないと跳べないというジャンプなので、そこ(一番最初)から動かせないのですが、これが後半に入れられるようになればもっと挑戦的な構成に挑めるんじゃないかなと思います。新しいジャンプを着氷することも大事ですが、ループジャンプをどこに入れてもまとまるような位置付けにしたいと思っています。また(4回転)サルコウも、(4回転)ループと同じくらいの位置で、(今は)一つ目に跳びたいと思っていますが、この試合を通じて『(4回転サルコウについて)何かをつかんだのか』が分からないので、早く中京(大学)に帰って練習して、サルコウを自分のものにできたら、また一歩成長できるのかなと思うので、今はワクワクして『早く帰りたいな』と思っています」
――今シーズンは北京冬季五輪があります。決意を聞かせてください。
「僕はもっとうまくなりたいと思っています。決してこの大会の順位やようやくトップで戦えるようになった自分の実力にうぬぼれずに、もっともっと、もっと上を目指して走り続けたいです」
また、最終日の11月14日に行われたエキシビションでは、「Earth Song / History」を披露。華やかな演技で、ショーを大いに盛り上げました。
4年連続の「NHK杯」出場となった山本草太選手。4回転サルコウなどを決め、ショート86.05点、フリー152.85点、合計238.90点でシーズンベストを更新。ジャンプだけではなく、美しいスピンやスケーティングで曲の世界を表現し、観客の心をつかみました。
試合後のインタビューでは、「今朝の練習や6分間練習では自分の気持ちをうまくコントロールできていたのですが、本番になるとジャンプが“ギリギリ”になってしまったかなと思うので、そこをもう少し改善していけるかなと思っています。でも、(グランプリシリーズ)カナダ大会と比べてみれば、転倒せずに失敗を最小限で抑えられたかなと。短い期間でも成長できた部分かなと思います」と総括。そして、「グランプリシリーズ2戦を滑り切って、世界とのレベルの差や自分の可能性が感じられ、これからのスケート人生につなげられるようないい試合にできたんじゃないかなと思います」とし、12月の「全日本選手権2021」に向けては「本当に少しずつですが、大きな失敗も減ってきています。あとは(ジャンプの)回転をしっかりと奇麗に“締める“というところが課題になるかなと。そういった、ちょっとのミスを改善していけたらと思います」と目標を語りました。
そして、昨年の「全日本選手権2020」で新人賞に輝いた三浦佳生選手は、ショート76.62点、フリー156.27点、合計232.89点で8位に。4回転ジャンプを何度も着氷し、国際大会の大舞台で存在をアピールしました。
演技後のインタビューでは、「楽しかったです。こういう舞台で自分をアピールできたことは経験になると思いますので、すごくいい大会になりました」「全部“(体の軸を)締めて”、ちゃんと(ジャンプを)着氷したので、まぁ、よかったです。後半に4回転(ジャンプ)をやって、だんだん足に疲労がたまってきて動かなくなってしまったことが課題なので、そこを直していきたいと思います」とコメント。さらに、11月19日から始まる「全日本ジュニア選手権2021」については、「もっと点数を伸ばして断トツで優勝したいと思っています。全日本ジュニアの歴史に名を刻むような演技をしたいです」と力強く話しました。
また、女子シングル、アイスダンス、ペアのリポートも近日公開予定。こちらもどうぞお楽しみに!
撮影/高橋学
【最新雑誌情報】
「KISS & CRY 氷上の美しき勇者たちVol.41 2021‐2022シーズン開幕号」
(表紙・巻頭特集/宇野昌磨選手)
10月29日発売
https://honto.jp/netstore/pd-book_31270313.html
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