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映画「ミュジコフィリア」で主題歌も担当! 松本穂香「音楽は今の自分の気持ちを教えてくれるもの」2021/11/12

映画「ミュジコフィリア」で主題歌も担当! 松本穂香「音楽は今の自分の気持ちを教えてくれるもの」

 漫画家・さそうあきら氏のコミックを映像化した、「神童」「マエストロ!」に続く音楽映画3部作の完結編「ミュジコフィリア」が11月19日に全国公開されます。作中で井之脇海さん演じる主人公・漆原朔に思いを寄せる浪花凪役の松本穂香さんに、役作りや撮影時のエピソード、音楽に対する思いなどを伺いました!

──原作はお読みになりましたか? 感想をお伺いしたいです。

「読みました。漫画では、例えると空に飛んでいくような、絵だからこそ表現できる凪の歌声を感じたので、それを実写で表現できるのか心配にはなりましたが、凪を演じる上で参考になることがたくさんありました。感覚で生きている子だなと感じたので、“ほわほわしているように見えて心(しん)がある”というのを、(井之脇海さん演じる)朔ちゃんのことが好きだっていう気持ちを軸に表現できたらいいなって思いました」

――凪を演じるにあたって、具体的にはどんなことを意識されましたか?

「凪は一言で言うと、天才肌というイメージです。朔ちゃんや、(山崎育三郎さん演じる)お兄ちゃん(貴志野大成)は、才能はあるんだけど、責任とかプレッシャーでどんどん埋もれていってしまう…みたいな感覚があるんです。逆に凪は、“楽しいからする”、“楽しくないのに何でするの?”という考えで生きている人なので、朔ちゃんたちにとってはそれが残酷な部分でもあるんですよね。でも、その凪の真っすぐさを表現できたら、嫌な子には映らないだろうなって。そういう“感覚”みたいなものは意識していました」

━━そんな凪と、松本さん自身の共通する部分はありますか?

「あると思います。凪ほど無鉄砲には動けないんですけど、大切な人のためだったら、たとえ何もできないにしても、何かしら行動するんだろうな、とは思います」 

映画「ミュジコフィリア」で主題歌も担当! 松本穂香「音楽は今の自分の気持ちを教えてくれるもの」

――劇中では、京都の美しい風景の中での松本さんの歌唱シーンが印象的でした。撮影するにあたってどのような準備をされましたか?

「定期的にボイトレをしました。劇中で歌う曲は撮影のひと月前くらい前に届いたんですが、そこからはその曲を中心に練習して…。私の声はそんなに高くないんですけど、サビになるとすごくキーが高くなる曲なので、そのあたりを先生にアドバイスいただきながら練習しました。あとはギターを弾くのも初めてでした」

――ギターの練習はいかがでしたか?

「ひたすらずっと弾き続けて、体に覚えさせる! というような。撮影の直前までずっと触り続けてました」

――日食なつこさんから提供された主題歌の「小石のうた」の感想を教えてください。

「すごくすてきな曲だなと思いつつ、難しそうで不安になりました(笑)。でも、凪の心情みたいなものがより深く理解できるような歌を作ってくださったので、すごくうれしかったです」

――主題歌を歌うにあたって、日食さんから何かアドバイスなどありましたか?

「日食さんは『凪を演じているのは松本さんなので、松本さんが思う歌い方で自由に歌ってください』というふうに言ってくださいました」

映画「ミュジコフィリア」で主題歌も担当! 松本穂香「音楽は今の自分の気持ちを教えてくれるもの」

――“松本さんが演じる凪”は、特徴的な髪形や独特な衣装で、原作とは少し見た目の印象が違いますよね。それらはどのようにして生まれたのでしょうか?

「メークさんが『髪の毛をはねさせるのはどうだろう?』っていうアイデアを出してくださったんです。朔ちゃんもちょっとはねてるんですよね。シーンによって、元気で明るい場面は髪の毛のはねも元気にしてみたり(笑)。そういった遊び心というか、みんなで楽しんで作った感じはあります。衣装も、私が思う“凪っぽさ”を意識して、ちょっとゆるっとした個性的な感じにしてもらいました」

――共演した井之脇海さんの印象を教えてください。

「井之脇さんとは、以前『ひよっこ』(NHK総合ほか)で共演させていただきました。その時は、隅っこでいつも1人で静かにしている、おとなしい方っていう印象があったんです。でも今回の共演で、自分の意見をはっきり言う方だし、こだわるところはこだわるっていう…今まで思っていた感じと全然違ったんです。すごく熱い方なんだろうなって現場で見ていて思いました」

――あらためて一緒にお芝居をしていかがでしたか?

「今回はセリフが関西弁なので特に大変だったと思うんですが、そこにとらわれすぎないようにしようって意識されている姿だったり、技術とかじゃなくて、ちゃんと感情を大事にしようっていうのをすごく大切にされてるなっていう印象を受けました」

映画「ミュジコフィリア」で主題歌も担当! 松本穂香「音楽は今の自分の気持ちを教えてくれるもの」

――大阪出身の松本さんは、関西弁での演じやすさはあったのでしょうか? 舞台は京都なので京都弁でしたか…?

「実は、台本では京都出身っていう設定だったんですけど、私が言うセリフは全然京都の発音じゃないし、教えてくれる先生もいないので『じゃあ凪は(広く)関西人でいいんじゃない』って、ゆるくその場で決まったんです(笑)。なので、見る人の想像にお任せします! でも京都の人に見えますよね?(笑)」

――違和感なく“京都出身の凪”として見ていました(笑)。ちなみに、共演者の方の関西弁はいかがでしたか?

「大変だろうなって思いました(笑)。関西弁って、見る人の目も厳しいですし。監督や周りに関西出身の方がたくさんいらっしゃったので、事前にいただいたセリフの音声データと併せて、現場でも直接聞いて…という感じでした」

――本作は音楽が重要な役割を果たしていますが、松本さんにとって音楽とはどんな存在でしょうか?

「音楽は、今の自分の気持ちを教えてくれるというか、実感させてくれるものです。しんどい時に明るい音楽を聴いても受け入れられないですし、ちょっと切ない曲を聴いた時に、泣きそうになってしまう時とかは、自分で『今こんなにしんどいんだ』とか『ストレスたまってるんだな』っていうのを気づかせてくれるような役割もあるのかなと思います。 精神状態チェックみたいなところもありますね」

――タイトルの「ミュジコフィリア」(=音楽に情熱を注ぐ者たち)にちなんで、松本さんが今情熱を注いでいるものはありますか?

「(10月末から)劇団た組の新作舞台『ぽに』に出演させていただくので、今はそれに向けての気持ちが一番大きいです」

映画「ミュジコフィリア」で主題歌も担当! 松本穂香「音楽は今の自分の気持ちを教えてくれるもの」

――最後に、この映画をどんな方に見てもらいたいですか?

「ちょっと今しんどいな…とか、押しつぶされそうだな、って思っている方には何か感じてもらえるものはあるのかなと思います」

――ありがとうございました!

【プロフィール】

松本穂香(まつもと ほのか)
1997年2月5日生まれ。大阪府出身。2015年、映画「風に立つライオン」で長編映画デビュー。 17年、連続テレビ小説「ひよっこ」(NHK総合ほか)で一躍注目を浴びる。翌年、ドラマ「この世界の片隅に」(TBS系)では主人公のすず役に抜てき。以降、映画「おいしい家族」「みをつくし料理帖」など主演作が相次ぎ公開。映画「桜のような僕の恋人」が22年3月24日Netflixで全世界配信予定。

【作品情報】

映画「ミュジコフィリア」で主題歌も担当! 松本穂香「音楽は今の自分の気持ちを教えてくれるもの」

映画「ミュジコフィリア」                                  11月19日 全国公開(11月12日に京都で先行公開)

京都の芸術大学に入学した漆原朔(井之脇)は、ひょんなことから「現代音楽研究会」に参加することになる。そのサークルには、朔にとって憧れの幼なじみであるバイオリニストの谷崎小夜(川添野愛)、若き天才作曲家として将来を期待される貴志野大成(山崎)がいた。実は大成は朔の異母兄で、朔は優れた音楽の才能を持ちながらも、父と兄へのコンプレックスから音楽を憎んできた。ある日、天性の音感と歌声を持ち、朔に思いを寄せるピアノ科の浪花凪(松本)が現れたことで、朔の秘めた才能が開花し始める。

原作/さそうあきら「ミュジコフィリア」(双葉社刊)
監督/谷口正晃 脚本・プロデューサー/大野裕之
出演/井之脇海 松本穂香 川添野愛 阿部進之介 石丸幹二 濱田マリ 神野三鈴 山崎育三郎

取材・文/M 撮影/蓮尾美智子



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