「それでも愛を誓いますか?」主演・松本まりかを直撃!「純のマイナスな部分も批評的に見せることで、その部分もリアルになっているのではないかと思います」<インタビュー前編>2021/10/02
結婚してから専業主婦として生きてきた主人公が、女性にとっての大きな寂しさを抱え、思い合っているのに満たされない、そんな自分自身を愛せていない女性の姿を繊細に描くドラマ「それでも愛を誓いますか?」(テレビ朝日ほか=ABCテレビ制作)。原作は、夫婦が抱く悩みや葛藤を真正面から描く“大人の恋愛ストーリー”として、主人公のリアルな心情に多くの共感を集めています。そんな注目作が、いよいよ本日から放送スタート!
今回TVガイドwebでは、主人公・純須純を演じた松本まりかさんにインタビューを敢行。その模様を前後編にわたってお届けします。インタビュー中、松本さんは何度も“ロス”という言葉を口にしていました。というのも、ドラマ撮影はこの取材の数日前にオールアップ! そんな撮影終了直後の松本さんに、撮影現場の雰囲気からご自身の役どころまでさまざまなお話を伺いました。さらに、ドラマプロデューサーが打ち明ける意外な撮影秘話も明らかに!
――撮影がクランクアップされたということですが、振り返っていかがですか?
「すごくぜいたくな現場でした。こういうホヤホヤの状態で取材するのもいいですね(笑)」
――お写真の撮影中にも“ロス”という言葉をおっしゃっていましたね。
「ロスですね。何も手をつけたくないというか、一度いろいろ気持ちを整理する時間が欲しいなとすごく思っています。でも、もしかしたら今日はそういう整理の時間になるかもしれないですね」
――現場の雰囲気はいかがでしたか?
「ぜいたくな時間でした。監督がリアルな芝居を求めていたので、こんなふうにやらせてもらえるドラマの現場はないと思うくらい、丁寧に撮影していただきました。プロデューサーさんたちが表現するということに対して、任せてくださっていたというか、信頼してくださったというか。はたまた諦めていたのか(笑)」
――(笑)。
「でも、そういう環境ですごく伸び伸びとできた。そして監督と役者とが意見を出し合って、芝居を発見していく過程をこの撮影現場で持てたということが、うそや無理のない表現を作ることにもつながったんだと思います。お互い納得しながら芝居をして、監督とか役者同士の信頼関係を築きながら作品を作ることができました」
――そういうドラマの現場は珍しいと思います。松本さんにとって本作はどのようなものになりましたか?
「ずっと大切にしたいと思えるものを発見できて、しかもこの1カ月間の撮影の間、その発見の積み重ねができたというのは、“自分が演技をする上で大切にしなければいけないもの”として体に落とし込むことができました。最初は発見しただけだったけど、1カ月間この作品を通して続けてできたことで、この先も演じていく上で、すごく基になるんだろうって思える作品になったと思います。これを起点に、私はどんどん成長していきたいなと思えるような、ゼロ地点の作品になった気がします」
――あらためて、純須純という女性を演じて気付いたこと、感じたことはありましたか?
「後半のあるシーンで、監督が発した一言にハッとしたんです」
――どのようなことだったのでしょう?
「『ずるいんですよ、純は』と。この純須純という女性は、“夫から求められないということ”に対して頑張って耐え続けてきたんだと思います。でも自分が満たされない部分を、ある意味、気を持たせるように他の人に向けて、そういう欲求を満足させて終わるという残酷なシーンもあります。そういう場面はすごく“純を奇麗に描きすぎていない”というか、女っぽい部分もありますし、原作よりも純のダメなところが見える気がします。原作を見ていると『純って悪くない』と思ったりもしますが、ドラマ版では、悲劇のヒロインになりたい純の一面も表現している。ただ悩んでいるだけの純じゃなくて、純のマイナスな部分も批評的に見せることで、その部分もリアルになっているのではないかなと思います」
――ドラマ版と原作版のお話がありましたが、原作だと純はなかなか思っていることがあっても言葉にできない場面が印象的だと思います。ドラマでもそういった部分は意識されましたか?
「それはありますね。思っていることを口に出せないことってすごくありますよね。でも、純を客観的に見ると、言葉にできないからかわいそうではなくて、『女性のこういう感じって嫌だよね』みたいなところも表現しているような気がします」
――どういったところでそう感じられましたか?
「原作は純目線で描かれているんですよね。『武頼、なんで?』と感じると思うんですけど、ドラマでは意外と客観的だと思います。素直にうまく伝えられないのは分かるけど、すごく夫の武頼(池内博之)に対して皮肉っぽいことを言ってしまっているというか。『そうだよね、私がダメだからいけないんだよね』と思ったことを言ってしまう、悲劇のヒロインみたいになっているんです。それに対して武頼も『なんでそうなるんだよ!』と口にしてしまうから、武頼の気持ちも分かるんです。これは武頼だけではないと思っています。例えば、真山くん(藤原季節)とか、沙織(酒井若菜)を見ても、みんなに正当なところがあって、みんなに『嫌だね』と思うところがある。だから、純だけを正当化せず、彼女のダメな部分を描いている分、とてもリアルになっているんじゃないですかね。ドラマでは純を通して物語を見ると思うんですけど、意外と純を美化していないから、『自分ってこう見えているんだ』というのが、結構グサッと刺さる。でも逆に、それがすごく学びになると思うんです。普通、ドラマの主人公は良く描かれるけど、このドラマではそうではない気がします」
ここで同席していた松本太一プロデューサーが「監督自身も、作品の世界そのものを描きたいとおっしゃっていましたよ」と言うと、山崎宏太チーフプロデューサーも「純に寄り添わないと言ってましたもんね。客観的に撮りますって」と監督の言葉を伝えると、「私あんまり画を見ていないんですけど、やっぱりそうだったか…」と松本さんはポツリ。
――(笑)。純を美化しないで演じることに、松本さんはどのように感じていましたか?
「『純はこんなダメでいいの? もうちょっと良くした方がいいんじゃないの?』と私は何度も思っていました。でも、監督は『いや、純はダメな女なんです』とおっしゃるんです。だから、演じていて“痛かった”です。純をもっと正当化したかったけど、監督はさせてくれなかった。『純は格好いい女、サバサバとした女ではなく、もっとうじうじしてください。言いたいことも言えない、ちょっと嫌だなと思うくらいの女でいてください』という監督のイメージが、私の中の“純須純”のイメージと大きく違うところでしたね。あとは、女っぽさというのもあまり出さない方がいいんじゃないかと思っていたんですけど、ドラマ版ではそこも出していいと言われました。だから正直、どんな純になるのかというのが、私も少し怖いところがあるんですよね。どうなっているかは分からないですけど、監督が描くドラマ版の『それでも愛を誓いますか?』は、きっと原作とはだいぶ違って見えると思います。同じ登場人物、同じ関係性だけど、批評的な目線があると思います」
10月9日に公開予定のインタビュー後編では、松本さんのお気に入りのシーンやそのシーンの舞台裏、さらに松本さんが掲げるこれからの目標などを語っていただいています。ぜひ第1話を見てからチェックしてみてください!
【プロフィール】
松本まりか(まつもと まりか)
1984年9月12日生まれ。東京都出身。乙女座。B型。ドラマ「ホリデイラブ」(テレビ朝日系)をはじめ、「ブラックスキャンダル」(日本テレビ系)、「死役所」(テレビ東京)、「竜の道 二つの顔の復讐者」(フジテレビ系)、「妖怪シェアハウス」(テレビ朝日系)などに出演。「向こうの果て」(WOWOW)では、連続ドラマ初主演を務めた。現在放送中の「中居大輔と本田翼と夜な夜なラブ子さん」(TBS系)では、ナレーションを務める。また、ドラマ「東京、愛だの、恋だの」(Paravi)が配信中。
【番組情報】
「それでも愛を誓いますか?」
テレビ朝日 10月2日スタート
土曜 深夜2:30~3:00
ABCテレビ 10月3日スタート
日曜 午後11:25~11:55
※地上波放送終了後、TVer、GYAO!にて見逃し配信あり
取材・文/S・H(ABCテレビ担当) 撮影/尾崎篤志 ヘアメーク/板垣美和 スタイリスト/柾木愛乃 衣装協力/SHIROMA、ドーラ/ロードス、ダイアナ/ダイアナ 銀座本店
【協力店】
SHIROMA ☎03-6411-4779 中野区中野4-11-1 ブルンネ中野208号
ダイアナ銀座本店 ☎03-3573-4005 渋谷区神宮前1-8-6 ダイアナ株式会社
ロードス ☎03-6416-1995 渋谷区恵比寿西2-8-5 高麗羅ビル7階
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