「『すゑひろがりず、よかったね!』という声が聞こえてくるようでした」――全国ツアー初日の模様を収めた初DVD発売記念インタビュー2021/08/06
「M-1グランプリ2019」で強烈なインパクトを残し、2020年にはYouTubeチャンネル「すゑひろがりず局番」でのゲーム実況で大きな注目を集めたすゑひろがりず。今年は初の全国ツアー「すゑひろがりず結成拾周年全国行脚〜諸国漫遊記〜」を開催。その初日公演の模様がめでたくDVD化! 南條庄助さん、三島達矢さんのお二人に、DVDの見どころや和装絡みの壮大な夢(!?)について、さらに、配信ライブが増えた現在のネタづくりについてお聞きしました。(※一部DVDのネタバレを含む箇所がございます)
幕が開いた瞬間の表情がすべて
――お二人にとって初の全国ツアー初日、大阪・なんばグランド花月(NGK)での公演を収めたDVD「すゑひろがりず結成拾周年全国行脚〜諸国漫遊記〜」について、まずは見どころを教えてください。
南條 「とにかく冒頭、幕が開いた瞬間の2人の表情を見ていただきたいです。あれがすべてです。僕ら、注目していただくようになった時期がちょうど去年の最初の外出自粛期間中で、無観客でのライブが多かったんですよ。だからNGKの幕が開いた時の拍手は、ほんまに初めて聞いたくらい大きい音で。びっくりして、なんとも言えないあの表情になっているんです」
三島 「前回の単独ライブはまだ『M-1グランプリ2019』の前で、141席の大宮の劇場(大宮ラクーンよしもと劇場)が満席にならないくらいでした。それが今年、こうやって全国回らせてもらって…。本来僕らが楽しませなければあかんのに、お客さんからの『すゑひろがりず、よかったね!』という声が聞こえてくるかのような拍手やったんですよ。それはその後、全国を回っていても感じますね。めちゃくちゃうれしいです」
――ひと足お先にDVDを拝見しましたが、ナレーションが大宮セブン(大宮ラクーンよしもと劇場所属のユニット。マヂカルラブリー、囲碁将棋、GAG、タモンズ、すゑひろがりず、ジェラードンからなる)の仲間であるGAGの福井俊太郎さんだったのがうれしいサプライズでした。
南條 「福井さんは『爆笑問題&霜降り明星のシンパイ賞!!』(テレビ朝日系)でもナレーションをやられていますし、『ナレーション、どうします?』とスタッフさんから言われた時に真っ先に候補として挙げさせてもらいました」
――普段の福井さんとは少し違った声色でしたね。
三島 「ハハハ! そうですよね」
南條 「福井さんが言うには、収録に行ったら監督の方がかなり厳しかったらしくて、めちゃくちゃ頑張って何度も録音してくれたみたいです」
三島 「きっとオーバーに言ってるだけやって!」
南條 「たぶんナレーション録り界の巨匠が録っているはずなので、そこも楽しんでください」
三島 「福井さん、このあいだずっとその話してたなあ(笑)」
目指すは着物プロデュース!?
――すゑひろがりずのお二人といえば芸風に合わせて常に和装をされていますが、着物の着こなしにこだわりはありますか?
三島 「完全にこだわってます」
南條 「いや、こだわりないでしょ! ただ、男性用の着物って種類が少ないんですよ。だから僕は一度、男性の着物をプロデュースしてみたいですね」
三島 「ほんまにそんなこと思ってる? うそっぽいわ〜」
南條 「思ってます。“すゑひろがりず着物”と“すゑひろがりず袴”を出したい」
三島 「そんなん初めて聞いた。着物をプロデュースしたかったんや」
南條 「ゆくゆくは着物アイドルのプロデュースもしたいです」
三島 「ハハハ! したいんですって」
南條 「和風アイドルのプロデューサーとして頑張りたいです」
――南條さんは先日、横浜DeNAベイスターズのセレモニアルピッチに参加したのをきっかけに馬乗り袴(キュロット型の袴)を導入されて、以来よく履いていますね?
南條 「今も履いてます。これまでの行灯袴(あんどんばかま/スカート型の袴)に比べて足がぐっと開いて可動域が広がるので、こっちの方が絶対いいですね。舞台で転がった時にも中が見えないですし。三島も馬乗り袴にした方がいいと思うんですけどね」
三島 「いやー、したいんですけどねえ」
南條 「じゃあしてくださいよ」
三島 「ずっと思ってるんですけどねえ」
南條 「今、この瞬間に携帯からでも買えるって」
三島 「僕も着たいんですけどねえ…」
南條 「だから着れるんやって(笑)」
三島 「結成20周年までには着たいと思います!」
南條 「いや、かたくなやな!」
寄席にかけ続けられるネタを
――昨年からテレビでお二人を見る機会もぐっと増えましたが、相変わらずライブにもたくさん出てらっしゃいますね。
南條 「例えば霜降り明星くらいテレビに出まくっていたらなかなかライブに出られないかもしれませんけど、僕らはそこまで毎日テレビに出ているわけではないので。僕らの軸足はライブです。寄席は絶対に入れてくださいとマネジャーさんにもお願いしています」
三島 「やっぱり楽しいんですよ、ライブをしてる時が」
南條 「以前やったらお客さんが入らなければギャラも厳しかったですけど、今は配信が普及しているので。時々びっくりするくらい配信のチケットが売れることがあるんですよね。これまでは営業やテレビに比べたらライブって儲からないという印象があったかもしれませんけど、ちょっと変わってきているなと思います。南海キャンディーズの山里(亮太)さんとオードリーの若林(正恭)さんの『たりないふたり』とか、テレビで活躍されている方たちの配信ライブも増えていますし」
――確かにそうですね。
南條 「劇場の広さは関係なく、チケット枚数の上限もないので、無限に見てもらえるという面では配信はかなり強いコンテンツですよね」
――配信を意識して、ネタの内容が変わることはありますか?
南條 「僕らはこれまで結構ヒット曲とかに頼らせてもらっていたんですが、配信では使えないことが多いので、そこは意識するようになりました」
三島 「でも変化といったら曲の部分くらいで、あとはそんなに変わらないです」
――ネタはお二人で作ってらっしゃるんですよね? 今年は全国ツアーもありましたし、ネタを作る本数は増えているんでしょうか?
三島 「いや、そんなこともないです。今は新ネタはだいたい、月2本くらいしかできてないですね」
南條 「最近はルミネ(theよしもと)やNGKの寄席に呼んでもらえていますけど、先輩方と比べるとまだまだネタが弱いなあと感じることが多いので、いいネタを作りたいという欲求が強いですね。お客さん全員を満足させられるネタと考えると、今はまだ1本くらいしかないなと思うので…」
――では最近の新ネタは賞レースとは関係なく、寄席に向けて作っているわけですね。
南條 「そのネタで賞レースに出てウケるのが一番理想ですけどね。逆に言うと『賞レースなら使えそうやな』というネタはちょこちょこあるんですが、『寄席でこれをずっと使っていけるな』というのがなかなか難しい」
三島 「そうですねえ」
――お二人はネタを見切るのが早いといいますか、もちろんやり続けるネタもありますが、すぐにやらなくなるネタも多い気がするのですが…。
三島 「早いのはもう1、2回でやめたりしますね。僕は『おもろいやん』と思いながらやっているんですが、南條がスベるのをすごく嫌がるんです」
南條 「スベるというか、これも寄席でやれるかどうかですかね。『このネタがうまくなったとして、寄席にかけ続けられるかな』と思うと…。賞レースなら全然いいんですけど」
三島 「でもね、これはコンビあるあるらしいですよ。ななまがりの森下(直人)に『おもろいけどウケへんこのネタをやりたいけど、南條が嫌がんねん』と話したら『分かる、うちの初瀬(悠太)もそうなんだよ』と言ってましたから」
――8月8日、全国ツアーの最終地である東京では、なんと観世能楽堂の本物の能舞台で公演をされるんですよね。
南條 「これまでの公演とはまた違ったものをお見せしたいと思います。狂言風のネタをやるようになってすぐくらいから、ライブのエンディングの告知で『来週、能楽堂でやります』『いや、やるかぁ!』なんてふざけて言っていたんですよね。それがこうして実現するのは本当にびっくりです」
三島 「この全国ツアー最終日をもって、すゑひろがりずの第一章が終わる感じがします。狂言風をやってきたこの10年間の結びとして能楽堂で単独ライブをやらせていただく。これは大きな節目であり、すゑひろがりずファーストシーズンを締めくくる大事な公演になると思いますね」
【プロフィール】
すゑひろがりず
2011年にコンビを結成。「M-1グランプリ2019」ファイナリスト。南條は「R-1ぐらんぷり2020」で第3位に。YouTubeチャンネル「すゑひろがりず局番」のゲーム実況などが話題を呼び、ファンを拡大。「踊る!チバテレYAGURA」(チバテレ)などにレギュラー出演しているほか、大宮セブンのメンバーとして「大宮ラクーンよしもと劇場」を中心に劇場でも活躍中。
【リリース情報】
DVD「すゑひろがりず結成拾周年全国行脚~諸国漫遊記~」
8月18日発売 ¥4,180ほか よしもとミュージック
彼らにとって初の全国ツアーから、初日のなんばグランド花月公演の模様を収録。漫才、コントに加え、“みなみのしま”がゲストで登場した様子も届ける。初回生産限定版は、オリジナル鼓型ショルダーバックが封入されるなど、豪華BOX仕様の「華やか和風重箱仕立て 本家本元鼓型肩掛け鞄付き」となっている。
【プレゼント】
サイン入り生写真を1名様にプレゼント!
応募はコチラ→https://www.tvguide.or.jp/tvguide_enquete
(応募期間:2021年8月4日正午~8月11日午前11:59)
ハガキでの応募方法は「TVガイド」8月13日号(P102)をご覧ください。
「TVガイド」の購入はコチラ→ https://honto.jp/cp/netstore/recent/tokyonews-book/01.html
取材・文/釣木文恵 撮影/大槻志穂
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