梅原裕一郎◆「僕がアフレコに参加する少し前に、草摩由希役の島﨑信長さんがご飯に誘ってくださったんですよ」2021/06/09
2019年に1st season、2020年に2nd seasonが放送され、最終章となるアニメ「フルーツバスケット The Final」(テレビ東京ほか)も間もなく完結! そんなタイミングでインタビューに応じてくれたのが、草摩紅野を演じる梅原裕一郎だ。草摩家の1人でありながら、異性に抱きつかれると十二支に変身するという草摩一族の“物の怪憑き”の呪いが解けている紅野。そんな、本作終盤のキーパーソンとも言える紅野に対する思いを語ってもらった。
――2nd seasonの最終回でようやく紅野の秘密が明かされましたが、あらためて重要な役に決まったお気持ちから聞かせてください。
「実は、オーディションを受けたのはだいぶ前なんです。1st seasonのアフレコが始まるさらに1年くらい前だったと思います。そこで『紅野役に決まりました。アフレコは2020年です』と聞きました。“途中で受かったことを忘れてしまうんじゃないか?”と感じるくらい先の話でした(笑)」
――紅野は2nd seasonから声ありで登場しましたものね。アフレコまで長い月日があると、とにかく不思議な感覚になりそうです。
「そうですね。しかも、オーディションを受けた役の中で、紅野はしっくりこないキャラクターだったんです。正直、紅野という人物をつかみきれていなかったのだと思います。だから“何が決め手だったんだろう”という疑問がありましたし、数年前のオーディションでどんなお芝居をしたか思い出すのも限界があったので、声ありで初登場となった2nd seasonの5話のアフレコはかなり迷いました。原作や台本に触れて、あらためて一つ一つ作っていった感覚があります」
――音響監督からはどんなディレクションがありましたか?
「『相手にセリフを“かけないで”』と言われました。感覚的な部分なので、説明が難しいんですが…」
――声優さんたちは、話し掛ける相手との距離感を意識して芝居すると言いますよね。それが「かける」だとすると、紅野の場合はそれをしなかったということですね。
「はい。会話はしているんだけど、紅野の言葉は相手の一歩手前で落ちるようにしてほしいという話でした。でも、独り言ではないので、感覚をつかむまでは難しかったですね。ただ、相手にセリフをかけてしまうと、紅野が途端に普通の人になってしまうなとは思いました。“会話はしているけれど、本当にできているのだろうか”という違和感が、紅野の浮世離れした雰囲気につながっているのだろうなと思います」
――2nd seasonの最終話で「呪いが解けている」と告白するまで、紅野は本当に謎多き人でしたものね。
「演技のディレクションをいただいたりして、“あっ、そうだ。つかみどころのなさが紅野には大切なんだ”と気付きました。オーディションの時も、きっとつかみどころのない芝居をしていたんでしょうね(笑)。だから僕が選ばれたのかなと…」
――以前、「フルーツバスケット」(以下「フルバ」)のイベントに登場されていた際、初登場回のアフレコは「緊張した」とお話されていましたが、そういう理由からだったのですね。
「そうですね。あと、共演者の皆さんは、1st seasonでアフレコを共にしていて、すでにキャラクターも仕上がっている状態じゃないですか。そんな中に途中参加したという点でも緊張しました。僕のキャラクター作りに時間を割いていただくことになりますし…」
――共演経験の多い方もいるかと思いますが、作品それぞれの座組ならではの空気感もありますしね。
「そうなんです。でも、僕がアフレコに参加する少し前に、草摩由希役の島﨑信長さんがご飯に誘ってくださったんですよ。まだコロナ禍になる前で、その日は『フルバ』のアフレコ終わりだったらしくて、『みんないるから来ない? これからアフレコで一緒になるから』って…。残念ながらスケジュールが合わず行けなかったのですが、ファミリーとして受け入れていただくのはすごくうれしかったですね」
――すてきな現場ですね! では、ここまで紅野を演じてきた中で最も印象深いシーンも聞いてみたいです。
「やはり、自分の呪いが解けていることを透(石見舞菜香)に告白するシーンです。単純に紅野のセリフが多かったのもありますが、涙ながらに語るところは気持ちを作るのが難しかったんです。マイク前で一つ一つ感情を積み上げていく必要があったんですけど、どこかでつまずいたらそこからドタドタッと感情が崩れてしまいそうでした。しかも、“だから、(透の親友で紅野との距離を縮めていく)うおちゃんこと魚谷ありさ(種﨑敦美)には会えない”と伝える場面でもあったので悲しさもあり、特に感情表現が難しかったです。ただ、ようやく彼の全貌が判明するシーンでもありましたし、紅野としても節目になったのかなと。お芝居自体も、とても楽しかったです」
――そんな展開を経て、The Finalもついにクライマックスを迎えます。
「紅野は本当に散々な目に遭っていますよね(笑)。視聴者の皆さんの中にも“何とか紅野に救済を!”と思っている方は多いと思いますので、ぜひ最後までご覧いただきたいです。きっと満足していただけると思うので、それぞれのキャラクターの行く末をどうか見守ってください」
【プロフィール】
梅原裕一郎(うめはら ゆういちろう)
3月8日、静岡県生まれ。魚座。O型。アニメ「ましろのおと」(TBSほか)、「SSSS.DYNAZENON」「セブンナイツ レボリューション -英雄の継承者-」「蜘蛛ですが、なにか?」「聖女の魔力は万能です」(いずれもTOKYO MXほか)などに出演中。
【作品情報】
「フルーツバスケット The Final」
6月14日
テレビ東京ほか
月曜 深夜1:30~2:00
世界的な人気を誇る高屋奈月の少女漫画をアニメ化。2019年に1st season、昨年2nd seasonが放送され、本作で完結。透(石見)と、異性に抱きつかれると十二支に変身する呪われた草摩一族の運命は!? 紅野(梅原)と慊人(坂本真綾)、魚谷(種崎)の関係の行方にも注目。
【プレゼント】
サイン入り生写真を1名様にプレゼント!
応募はコチラ→https://www.tvguide.or.jp/tvguide_enquete
(応募期間:2021年6月9日正午~6月16日午前11:59)
ハガキでの応募方法は「TVガイド」」6月18日号(P98)をご覧ください。
「TVガイド」の購入はコチラ→https://honto.jp/cp/netstore/recent/tokyonews-book/01.html
取材・文/松本まゆげ 撮影/Marco Perboni ヘア&メーク/時田ユースケ
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