味方良介☆「ドリームチーム」で“子ども部屋おじさん”を演じる若手実力派俳優2021/01/27
人気大学教授の夫・榎木圭吾(前川泰之)の不倫がきっかけでセレブ主婦の仮面が剥がれた榎木香菜(山口紗弥加)、セクハラ&パワハラ疑惑で左遷された鶴賀優子(財前直見)、SNSで炎上した三代澤茜(桜庭ななみ)は、世代は異なるが同じ高校の元バスケットボール部キャプテンだった3人。その3人が、恩師のバスケ部顧問・安東勝仁(伊武雅刀)をしのぶ会で出会い、かつてのバスケ部寮で共同生活をすることに…。
そんなドラマ「ドリームチーム」(NHK総合)で味方良介が演じるのは、勝仁の息子・安東悠一だ。昨年1月に放送された「教場」(フジテレビ系)でTVドラマに初出演して以来、映像作品への出演が続く彼に近況を語ってもらった。
──まずは、今回のドラマで演じている悠一の役作りについて教えてください。
「成人しても実家に住んでいる、いわゆる“子ども部屋おじさん”が悠一というキャラクターの土台の一つになっていて、彼は化石発掘が趣味なんです。僕は、今回のドラマで“子ども部屋おじさん”という言葉を初めて知って、全然想像できなかったので、まずはいろいろ調べました。化石発掘もしたことがないので、専門的な本を読んだりしましたね。その中で、自分の好きなことに没頭するということに関しては、化石発掘も僕にとっての舞台も似ていると思うようになりました。僕は、子どもの頃から舞台マニアというか、舞台を見ることはもちろんなんですけど、舞台の歴史を学んだり、作品の時代背景を調べることが好きなんです。なので、そんな自分の好きなことに没頭する気質を、化石収集に熱中する悠一に変換していけたらいいのかなと思って、役に取り組んでいます。作り込むんじゃなくて、自分自身の中にあるものを役に寄せていくというか…。そうやって悠一を構築したというか、それこそ発掘したという感じです」
──そうした中で、実際に悠一を演じてみていかがですか?
「これまでの僕は、悠一みたいにボソボソとしゃべったり、セリフの間をずらすような演技をしたことがなかったので、それが何より刺激的です。今までとは違う視点で台本を読めていて、セリフの『…』も、瞬きも呼吸も、全部が今までと全然違う感覚なんです。今まで食べたことのない料理を食べたり、聴いたことのない音楽を聴いた時もそうですけど、脳みそが驚いているのが自分でも分かります。それが、すごく面白いです」
──ドラマでは主演の山口さん演じる香菜を中心に、世代の異なる女性たちの生々しく切ない心情や、現状を打破しようと奮闘する姿が描かれています。山口さんたちとの共演はいかがですか。
「山口さん、財前さん、桜庭さん、そして余貴美子さんといった女性キャストの皆さんからはたくさん刺激を受けています。そもそも、最初の本読みの段階から圧倒されました。皆さんそれぞれ違う色を持った女優さんですけど、僕個人の見え方として、今まで生きてきた時間や経験を、いい意味で相手を探りながらその場で瞬間的に出していくというか…。それは僕にはないやり方で、刺激的でしたね。皆さんの瞬発力に驚きっぱなしです。“本当に面白いな”と思いながら撮影することができています」
──山口さん演じる香菜、財前さん演じる優子、桜庭さん演じる茜について、味方さんご自身はどんな魅力を感じていますか?
「香菜さんは、自分のことは置いておいて人のために何かをできる女性で、すてきだと思います。でも、だからこそ心配になりますね。自分のことを我慢し過ぎなんじゃないかなって…。一緒にいたら、『そうしなくていいよ』って言ってあげたくなりますね。優子さんは、経験値もあって自分に自信がある人なので、“こうしていなきゃいけない、こう見せていなきゃいけない”という意識が強い。でも、本当はちょっと弱い部分もあって、僕はそこにくすぐられます。周りを引っ張ってくれて、『こうしなさい、ああしなさい、間違いないでしょ』って言っている人ほど何かを抱えているだろうし、そういう裏側がある人ほど、僕は信用できる気がしますね。茜ちゃんは、『私は1人でも全然大丈夫』って言っているタイプの女の子。実際に僕の同世代の女の子に多いタイプな気がします。説教をしてあげたくなります(笑)。こういうタイプって、何でもできちゃうように見えて、実は同じぐらいできないことも多い。それに、本当はすごく優しいのに、その優しさを素直に出せない。茜ちゃんもそうで、『本当はすごく優しいんだから、その優しさをもっと出しなよ』って背中を押してあげたくなるタイプです(笑)」
──「ドリームチーム」は3人の女性がそれぞれの逆境に向き合って乗り越えていく物語ですが、ご自身は実体験の中で何かを乗り越えたエピソードはありますか?
「僕は、2017年からつかこうへいさんの代表作『熱海殺人事件』の舞台で木村伝兵衛役をやらせていただいていますけど、初めてつかさんの作品に出演したのは、その前に上演された『新・幕末純情伝』(16~17年)でした。その時は、間違いなく一番演技が下手だったし、何がダメなのか、何をすればみんなに勝てるのかも分からない状況でした。そんな中で、“だったら誰よりも大きな声でやってやるんだ!”って開き直ったんです。そして、その後、『熱海殺人事件 NEW GENERATION』で木村伝兵衛を演じた時、“あ~、あの時に開き直って良かった。腐らずに頑張って良かった”って思えたんですよね。“経験がつながったな、あの時に腐っていたら今はなかったな”って…。それからは、“常に前の自分を超えていかなきゃ、次はもっとこうしなきゃ”って考えるようになりました。それは、すごく大きかったかもしれないですね。だから、今はずっと自分との戦いです」
──現在も東京・紀伊國屋ホールで主演舞台「熱海殺人事件 ラストレジェンド ~旋律のダブルスタンバイ~」が上演されていて、1月31日まで続きますね。
「木村伝兵衛を演じるやりがいは何ものにも代えがたいものがありますし、やらせていただける限りはやり続けたいと思っています。今回は、全公演がダブルキャストで組み合わせもさまざまです。演じる役者によって、そしてその組み合わせによって、“同じ作品なのにこんなに違うんだ”という面白さがあると思います。今まで見たことのない『熱海殺人事件』だし、これが僕らの『熱海殺人事件』ですってきちんと言えるなって思っていますね」
──「ドリームチーム」の番組HPには、「“あの子になりたい人生だった…”そんな思いを抱いている、全ての人への応援歌を届けます」と記載されています。味方さん自身、誰かになりたいと思ったことはありますか?
「実在する人物の誰かに憧れて、その人みたいになりたいと思ったことが、僕はありません。誰かになろうと思っても、それはコピーだしマネにしかならないですからね。単純に“カッコいいな”って思う人はいますけど…。ただ、ミュージカル『エリザベート』を見てルドルフという役に憧れて、“ルドルフになりたい”と思ったことがきっかけで、僕の役者願望が生まれました。だからこそ、僕は今この世界にいます」
──昨年1月に放送された「教場」でTVドラマ初出演を果たしてから約1年。今後も舞台だけでなく、映像作品での活躍も期待されていると思います。
「やったことのない役柄を演じて“こんな姿もあるんだ!”って驚いてほしいし、今まで舞台で培ってきた自分の武器を全面に出せる役を通して、今まで見てきてくれた人たちに“これが味方良介だよね”って思ってもらえる作品にも携わりたいです。その両方を見せられたら、僕がずっと舞台に立ち続けてきた意味、そして今、映像作品に出演させていただいている意味が、しっかりとクロスすると思っています」
【プロフィール】
味方良介(みかた りょうすけ)
1992年10月25日、東京都生まれ。蠍座。A型。主演舞台「熱海殺人事件 ラストレジェンド ~旋律のダブルスタンバイ~」が1月31日まで上演予定。
【作品情報】
「ドリームチーム」
2月5日
NHK総合
金曜 午後10:00~10:45
香菜(山口)、優子(財前)、茜(桜庭)の3人が、恩師である勝仁(伊武)の息子・悠一(味方)らとかつてのバスケ部寮で生活しながら、自らの人生と向き合う姿を描く。寮で一緒に暮らしていた娘の環(根本真陽)を夫の圭吾(前川)に連れ戻され落ち込む香菜は、ある新しい仕事を思い付くのだが…。
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取材・文/大久保和則 撮影/為広麻里
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