「ちびゴジラの逆襲」福山潤インタビュー2024/11/27
「ちびゴジラが怪獣を数えるセリフは、演じていて楽しかったです」
世界的人気を誇る「ゴジラ」シリーズ。その最新作は、キュートな“ちび怪獣”たちが主役のショートアニメ! ゴジラ、メカゴジラ、ミニラ、キングギドラからモスラに小美人まで、おなじみのキャラクターが“ちび化”し、ゆるいコメディーを繰り広げる。本作で、天真らんまんで、父・ゴジラのような大怪獣に憧れるちびゴジラを演じるのが福山潤だ。今回は、そんな福山に、お気に入りのキャラクターやエピソードなどを語ってもらった。
――まず、福山さんの「ゴジラ」シリーズについての印象を教えてください。
「たぶん、皆さんがお持ちのイメージと、それほど変わりはないんじゃないかと思います。僕も子どもの頃から、ゴジラには慣れ親しんできました。映画館に足を運ぶ年齢になった頃には、『ゴジラVSビオランテ』が上映されていましたし、雑誌でもよく『ゴジラ』シリーズのことが記事になっていました。シリーズ全部を網羅できているわけではありませんが、知識として、“ゴジラはキングコングと戦ったことがあるぞ”ぐらいのことは知っている。そんな感じです。ゴジラの描かれ方は、時代とともに変わってきましたよね。最初は天災、やがて人間の味方になって、“人類の敵なのか!?”となり、ハリウッドにも渡り…。僕自身が一番楽しんでいたのは、“恐怖の対象”としてのゴジラでした」
――ちびゴジラはご存知でしたか?
「ちびゴジラというキャラクターは、この作品に出演させていただく前から知っていました。ただしゃべるとなると、“どんなふうに描くんだろう?”と思いました。『ちびゴジラの逆襲』の最初のシーズンを収録し始めた頃は、“あっ、シュールなほうに寄せたんだな”と感じました。ゴジラの“恐怖の対象”という側面と、かわいらしいちびゴジラの“みんなのアイドル”という側面の間を取れば、そうなるのかなと。そんなふうにアレンジできるのは、ゴジラ自体が知られているからですよね。ゴジラを知らないお子さんがいたら、お父さんやお母さん、お兄ちゃんが教えてくれる。教養になっていますよね」
――音声を先に収録して、それに合わせた映像を作るプレスコで制作されているそうですね。演じていて楽しさはありますか?
「収録中は、ずっとアドレナリンが出ているような感覚がありますね(笑)30分尺のアニメだと、本編自体は22分ぐらいで、その中で盛り上がりがあるのは数分なんです。連続ものでそれ以上長くしてしまうと、視聴者の方々も疲れてしまいます。ただ、この作品は各話3分程度の短さですから、そんな猶予がないんですよね。全部にキャッチーなトピックを入れていかなきゃいけない。きっと製作スタッフさんにとっても、そこが難しいところだと思います。僕らはそれに、常にアクセルを踏んでいる状態で応えています。とはいえ、ちびゴジラだけでもたせる回はなく、他のキャラクターとの掛け合いがあります。あんばいは新海(岳人)監督に委ねつつ、現場でやる掛け合いは、お互いのギリギリを攻めて、それが言葉に乗れば面白いのかなと。最初はそう思ってやっていました」
――今、オンエアされているのはシーズン2ですが、最初の頃からは変わったのでしょうか?
「今は、アクセルの踏み込み方がより激しくなったというか…。それと、シーズン1では、ちびゴジラのキャラクターについても探りながらやっていたんです。ストーリーはシュールだけど、キャラクター自体をシュールにもっていくのか、かわいさを際立たせていくのか、監督と相談したり、いくつかの印象も試したりしました。いきなりシュールに振り過ぎると、見ている人がびっくりして置いていかれてしまうので、そういったことを考えながら、ちょっとずつシュールに寄せていった感じです」
――ほかに、シーズン2だからこその変化はありますでしょうか?
「シーズン2では、“キャラクターについては、だいたいもう、皆さん分かってくださいましたね”という前提のもとで作っている部分を感じます。エピソードごとに、キャラクターの役割が変わっていくんですね。例えば、松岡(禎丞)くんが演じるちびメカゴジラは基本的にツッコミですが、彼がボケに回って、ちびゴジラがツッコむパートもあります。キャラクター性の本筋とは別に、そのエピソードごとのコメディーとしての面白さを、みんなで担当し合うようになったんです。それと、シーズン1の最初と今では、言葉の強さが全然違います。最初は、ちびメカゴジラもちょっとよそよそしかったけど、今はツッコミの踏み込みも強くなっています。これは、長期放送ならではだなと」
――作品にはさまざまなキャラクターが登場しますが、特にお気に入りのキャラクターは?
「いっぱいいるんですけど、キャラクターの方向性としては、小美人ですね」
――高橋李依さん演じるちびモスラの親友ですが、“ちびモスラの心情を代弁する”と称して時に毒舌を吐く…という役どころですね。姉を上田麗奈さん、妹を鬼頭明里さんが演じています。
「一番社会風刺が入っているキャラクターだと思うんです。だからこそ、怪獣がやるのは劇薬過ぎる…と、スタッフさんが思ったのかは分からないですけれど(笑)。ちびモスラの巫女的な存在だった2人がふんだんにしゃべり、毒を吐くという構造が、当時を知っている人たちには面白く映るはず。逆に、当時を知らないお子さんたちからすると、小美人が言っていることは自分たちも思っていることだったり、あるいはこれから知るような話だったりするので、それほど毒には感じないと思うんですよ。なので、配置としてはいいあんばいかなと。ユニゾンでしゃべるのもいいですよね(笑)。怪獣だったら、僕はヘドさん…立木文彦さんが演じるちびヘドラが好きです。ただの良識人ですからね(笑)」
――お気に入りのエピソードは?
「『ゴジラが一匹』ですね」
――眠れないちびゴジラが、「怪獣を数えると眠れる」と聞いて数えるお話ですよね。山寺宏一さんもゲスト出演されています。
「ゴジラギドラ、ギドラギドラギドラ…と数えていくところが、リズムネタになっているんですよね。ちびゴジラが怪獣を数えるセリフは、演じていて楽しかったです。それと、事前に『謎の声 山寺宏一』という情報は見ていたのですが、作品を見ると、改めて、“本当にこれだけの出演なんだな”と(笑)。ぜいたくだということは置いておいても、やっぱり山寺さんクラスの方がああいうことをやると、“それはズルいよ!”と(笑)。いろいろな要素があって楽しい回でしたね。それと、内田(真礼)演じるちびミニラの防犯訓練のために、ちびメカゴジラが不審者の役をやらされ、ちびゴジラがそれを監督する『ちびミニラはしっかり者』も面白かったですね。3人で演じていて楽しかったです」
――どのお話も、まるでコントのようですよね。
「たぶん、音声だけ聞いても、“映像はどうなっているんだ!?”と気になるタイプの作品だと思うんです。それと、30分アニメに比べると、声も大きめに演じています。“朝にオンエアされている作品(「おはスタ」内で放送中)で、そんなに声を出すな』って言われそうですけど(笑)、一つのセリフに対する肉体的なエネルギーは多分に入っているので、コントというジャンルと親和性が高いんじゃないかなと思いますね」
――なるほど、「声の大きさ」もキーなんですね。
「そういう押し出し方を僕が意識しているのは、子ども時代の経験もあるんです。シーズン1もシーズン2も、子どもたちが朝に見る時間帯でのオンエアですから。子どもの頃に好きだった作品を大人になってから見ると、全く印象が違うことってあるじゃないですか。例えば、大好きなロボットアニメが、記憶の中ではガンガン動いているのに、大人になって見たら完全な紙芝居だったとか…(笑)。映画館などで小さなお子さんを観察していると、大人とは反応するところが違うんです。大人は知識があるから、言葉の内容やタイミングで面白さを測っていますが、知識も経験もないお子さんが反応するのは、“音”なんですよね。子どもは、“こんなに強く言ってるんだ!”ということと、そこに込められた楽しさ、怒りなどの感情は分かります。だから、声が大きいことは、単純に面白いんですよね。まだまだTPOが分からない年代だと、楽しい時は大きな声を出すものですから、共感もあるのかもしれません。だからこそ、僕はそれを狙って、ちびゴジラは基本フルスロットルで演じようと考えています」
――最後に、これから「ちびゴジラの逆襲」をご覧になる方に、メッセージをお願いします。
「“なんだろう、これは?”と思ったら、1回でもいいから見ていただきたいですね。『おはスタ』では週に1回オンエアされていますし、YouTubeでの配信もあります。歯を磨きながらなど、“ながら”で見られちゃう長さです。でも、1回見たら、“3分程度、集中して見よう!”と思っていただけるエネルギーがある作品になっていると思います。勉強の息抜きにもぴったりだし、誰かとも共有しやすいです。そうした部分を楽しんでいただけたら、一番うれしいですね」
【プロフィール】
福山潤(ふくやま じゅん)
11月26日生まれ。大阪府出身。A型。アニメ「嘆きの亡霊は引退したい」、「妖怪学校の先生はじめました!」(ともにTOKYO MXほか)などに出演中。2025年1月5日(日)スタートの「妃教育から逃げたい私」(TOKYO MXほか)にも出演。
【作品情報】
[ちびゴジラの逆襲]
12月4日 水曜
テレ東系●毎週水曜 午前7:05~7:30のうち毎話3分程度(「おはスタ」内)
※TOHO animation公式YouTubeチャンネルでも全話無料配信中
ちびゴジラ(福山潤)、ちびメカゴジラ(松岡禎丞)、ちびギドラ(江口拓也)ら、クセが強すぎるちび怪獣たちのゆるすぎる日常を描くノンストップモンスターエンターテインメント。大怪獣になって父であるゴジラに抱きしめてほしいというちびゴジラの夢はかなうのか!?
【プレゼント】
サイン入り生写真を2名様にプレゼント!
応募はコチラ→https://www.tvguide.or.jp/tvguide_enquete
(応募期間:11月27日正午~12月4日午前11:59)
ハガキでの応募方法は「TVガイド」12月6日号(P98)をご覧ください。
取材・文/仲川僚子 撮影/武石早代
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