町あかりのプレイリスト~テレビのうた~◆その17:テレビアニメ「クレヨンしんちゃん」テーマソング5選2023/10/07
日本でテレビ放送が開始されて70年。ドラマ主題歌やCMソングなど、テレビによって国民に周知された楽曲は無数にあります。そこで昭和から令和まで、テレビを通して愛された楽曲について、平成3年生まれでシンガー・ソングライターの町あかりが、独自の目線で語る連載が「町あかりのプレイリスト」です。
今回のテーマは大人気アニメ「クレヨンしんちゃん」。臼井儀人さんによる漫画作品として誕生し、1992年からテレビ朝日系でアニメ放送がスタートしました。もちろん私も小さい頃から大好きでしたが、実はここ数年、“しんちゃんマイ・ブーム”が訪れています。大人になってから見ると、しんちゃんだけでなく大人たちの気持ちにも共感できて面白いのです。
ちなみに、今年の2月に「クレヨンしんちゃん」の公式YouTubeチャンネルが誕生しました。毎週土曜にテレビで最新エピソードを楽しみながら、ネットで過去の人気回も振り返ることができる、まさに「クレヨンしんちゃん充実時代」の到来なのです!
連載第17回では「テレビアニメ『クレヨンしんちゃん』テーマソング5選」と題して、番組のテーマソング、挿入歌の中からピックアップ。アニメを彩ってきた名曲を集めて楽しいプレイリストを作ってみました。
1曲目は、Puppy「年中夢中“I Want You”」(96年)。5代目オープニングテーマで、作詞はC’sさん、作曲・編曲は菅原サトルさんが担当。Groovy Boyfriendsという2人組の覆面ユニットで、当時人気だったPUFFYの楽曲のように仕上がっているのがユニーク! アレンジが絶品で、サビの「ジャジャジャンッ」というオーケストラヒットがノリノリで楽しい一方、ストリングスが切なくキュンとさせられます。世界中の全員ひっくるめて、おめでとう!みたいな、4分間で森羅万象を肯定しまくるような歌詞で、しんちゃんの世界をバッチリと表現しています。
次は、きゃりーぱみゅぱみゅ「キミに100パーセント」(2013年)。15代目のオープニングテーマで作詞・作曲は中田ヤスタカさん。素直になることの大切さを歌ったメッセージソングです。歌詞の「明日から本気だす」のくだりは、力を抜くのが上手なしんちゃんらしさが出ているよう。きゃりーちゃんならではの抑揚を抑えたボーカルとおなじみの無機質な打ち込みサウンドではありながら、どこか温かみが感じられるのが不思議ですね。かわいく優しいテクノポップスで、ちびっこにも人気の1曲です。
3曲目は、桜っ子クラブさくら組「DO-して」(93年)。3代目エンディングテーマで、作詞は西脇唯さん、作曲は斉藤英夫さんが担当。「桜っ子クラブ」とは当時テレビ朝日で放送されたバラエティー番組で、そのメインキャラクターとして「さくら組」と呼ばれる女性グループがあったそうです。なんと俳優の中谷美紀さんや菅野美穂さんも所属していたユニットなんだとか。「愛って不思議だなぁ」というテーマで、無邪気に疑問を投げかける子どもらしさとおませな恋心を描いた歌詞が、しんちゃんの人格にもリンクしています。80年代からの系譜を受け継ぐようなリバーブ感も心地よいアレンジ。うーん、いい! また新たに面白い曲を知ることができ、すてきな収穫です。
4曲目は、のはらしんのすけ「オラはにんきもの」(93年)。3代目オープニングテーマで、作詞は里乃塚玲央さん、作曲は小杉保夫さんが担当。歌はしんちゃんを演じる声優の矢島晶子さん、母のみさえのセリフは声優のならはしみきさんによるもの。声優さんが歌うアニメキャラクター名義のシングルとして初のオリコンのベストテン入りを果たした大ヒット曲で、しんちゃんといえばこの曲を思い浮かべる方が多いでしょう。「カーモンベイビー」のくだりサビ前の「ゾーサン、ゾーサン」の意表をつかれる進行も最高! 自分で「将来楽しみだ」と言っちゃうオチは何度聴いても笑えます。だけど子どもの頃って挫折の経験も乏しく、誰もがこういう万能感を持っていたかもしれませんね。子ども心を的確に捉えた名曲です。
最後は、小川七生「月灯りふんわり落ちてくる夜」(97年)。9代目エンディングテーマで、作詞・作曲は RYUZIさんによるもの。イントロはなく弱起で始まるサビのフレーズにハッとさせられます。甘えるようなボーカルもいとおしく、五音音階の幻想的なメロディーが印象的。一度聴くと忘れられない魅力があります。エンディングアニメのアットホームな雰囲気も相まって、視聴者から人気の高い楽曲です。家族みんなで帰宅する父・ひろしを駅まで迎えに行き、最後はみんなで手をつないで家へ帰る…というシンプルな映像なのですが、「幸せは当たり前の日常の中にある」ことを思い出させてくれます。秋の夜に聴きたくなる1曲です。
いかがだったでしょうか? 今回のプレイリスト(Spotify)はこちらから!
>>https://open.spotify.com/playlist/7BUE0Tw6BMtZd3wJYTNhHB?si=0ad5bebea89944ef
「クレヨンしんちゃん」は映画版も人気ですが、日常の何げないエピソードから生まれる笑いと感動がテレビアニメ版の魅力です。しんちゃんのハチャメチャな言動に笑って、家族や仲間たちとの温かいエピソードに和みます。基本的にはコメディですが、ハートフルで感動する回もたくさんあるんですよね。国内に留まらず海外でも人気を集めている理由はきっとそこにあるのでしょう。子ども向けアニメと侮ることなかれ! むしろ大人こそ楽しめる「クレヨンしんちゃん」の世界を、魅力的なテーマソングとともにぜひ楽しんでみてくださいね。
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町あかり
シンガー・ソングライター。2010年から活動を始め、作詞・作曲、編曲、執筆、イラストや衣装制作まで自身で行う。19年には、ビクターエンタテインメントからメジャー5thアルバム「あかりおねえさんのニコニコ♡へんなうた」をリリース。20年10月に、日本コロムビアから初のカバーアルバム「それゆけ!電撃流行歌」を発売。ほか、アーティストへの楽曲提供も行う。映画「男はつらいよ」と昭和歌謡曲、そして文鳥を愛する。最新アルバム「総天然色痛快音楽」が好評発売中。
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