町あかりのプレイリスト~テレビのうた~◆その12:さくらももこ関連アニメソング5選2023/05/14
日本でテレビ放送が開始されて70年。ドラマ主題歌やCMソングなど、テレビによって国民に周知された楽曲は無数にあります。そこで昭和から令和まで、テレビを通して愛された楽曲について、平成3年生まれでシンガー・ソングライターの町あかりが、独自の目線で語る連載が「町あかりのプレイリスト」です。
テレビアニメ「ちびまる子ちゃん」の放送がスタートしてから今年で33周年。ピュアなかわいらしさがありながらシニカルなユーモアも魅力の、言わずと知れた国民的アニメです。私も小さい頃から数々のアニメ、漫画、エッセーに触れながら育った大ファンの1人です。
そこで第12回では「さくらももこ関連アニメソング5選」と題して、アニメ「ちびまる子ちゃん」「コジコジ」を通して愛されてきた珠玉の楽曲の中からセレクト。子ども向けアニメといえど侮れない、さくらももこさんの奥深い音楽センスも味わえるプレイリストを作ってみました。
1曲目は、カヒミ・カリィ「ハミングがきこえる」(1996年)。アニメ「ちびまる子ちゃん」のオープニング曲として起用され、作詞はさくらさん、作曲・編曲は小山田圭吾さんが担当。ちょうど私も幼少期に見ていたので、この華やかなイントロが始まるとワクワクします! 異世界に吸い込まれるような気持ちになる、ファンシーなアニメーションも魅力でした。「きっとあるとき ぱっとみつかる」というリズミカルな歌詞がキャッチーで口ずさみたくなります。ナンセンスな世界観の「おどるポンポコリン」から、かわいく不思議な「ハミングがきこえる」まで、いろんなジャンルを手がけたさくらさんの作詞家としての実力が垣間見える1曲です。
次は、電気グルーヴ「ポケット カウボーイ」(97年)。TBS系アニメ「さくらももこ劇場 コジコジ」のエンディングテーマとして起用。実は依頼されて作品に合わせて作られた楽曲ではなく、アルバム収録曲がさくらさんからの依頼によってタイアップとなりシングルカットされたそうです。私の「電気グルーヴ初体験」はこれがきっかけ! ポコポコ…と鳴り続けるミステリアスな音や、パッチワークのようにツギハギされているボーカルなど、子ども心にとても新鮮なサウンドでした。登場キャラクターがかわいく踊る映像にもぴったりハマっていて、くぎ付けになって見たことを覚えています。子どもだましではない、最先端を行くクールな音楽を取り入れてくれたさくらさんのセンスが光ります。
次は、たま「あっけにとられた時のうた」(96年)。「ちびまる子ちゃん」のエンディングテーマとして作られ、たまのメンバーとも、もともと親交が深かったさくらさんが作詞を担当。まるちゃんのドタバタな日常がそのまま3分間にまとめられたような、愉快な物語が描かれています。かわいくて面白くて、大人になった今でも強く印象に残っている1曲です。そして、たまとさくらさんが仲良しというのも納得! メロディーのゆらぎみたいなものが「ちびまる子ちゃん」の世界にピッタリで、なんだかまるちゃんが歌っているように聴こえてくるくらい親和性を感じます。両者の才能が存分に発揮され、コミカルなアニメーションにもばっちりハマっている名曲です。
4曲目は、植木等「針切じいさんのロケン・ロール」(95年)。「ちびまるこちゃん」のエンディングテーマ。シェブ・ウーリーの「Purple People Eater」が原曲で、大瀧詠一さんがプロデュース。さくらさんが訳詞という形で作詞を担当していますが、実際にはまるちゃんの祖父・友蔵が元気いっぱい動き回る様子を描いたような楽しい歌です。なんといっても植木さんの味わい深いボーカルが最高! 終始ニコニコ笑いながら歌っているような、パワフルかつ脱力な歌唱表現が絶品で、リスナーの肩の凝りをほぐしてくれるよう。漫画版の「ちびまる子ちゃん」では、まるちゃんが「スーダラ節」を聴いて「ああいう歌を作りたい」と感じ、それが「おどるポンポコリン」の誕生につながったと描かれているエピソードもあるんだとか。
最後は、西城秀樹「走れ正直者」(91年)。「ちびまる子ちゃん」のエンディングテーマに起用され、作詞はさくらさん、作曲・編曲は織田哲郎さんによる、時代を超えて愛されている名曲です。さくらさん自身がヒデキの大ファンで、アニメの中でもまるちゃんの姉が大ファンという設定がきっかけとなって企画の実現に至ったそうです。明るいスカのリズムが、まるでヒデキが駆け足をしながら歌っているようでとにかく楽しい! 個人的なお気に入りポイントは「今すぐこれ交番届けよう」の出だしがクッている(半拍早く入っている)ところ。より疾走感がかもし出されていて、さらにヒデキの歌唱表現も巧みで「急がなきゃ!」という焦る気持ちが伝わってきてグッときます。
いかがだったでしょうか? 今回のプレイリスト(Spotify)はこちらから!
>>https://open.spotify.com/playlist/1OfyTeNzPOwqtowwA9x68S?si=d3582c0c69ad44e5
さくらさんの作品は長年にわたって子どもから大人まで多くの世代に愛され続け、昨年からは「さくらももこ展」が全国を巡回して開催されるほどの人気です。漫画、エッセー、アニメ、作詞と、さまざまな作品を生み出してきたさくらさんですが、その根本には一貫して小さな幸せや命の尊さが描かれているように思えます。ちびまる子ちゃんのドジなところやコジコジのマイペースな姿から「あなたもそのままでいいんだよ」という優しいメッセージを感じるのです。新学期から1カ月以上経ち、疲れのたまる時期。さくらさんにまつわる楽曲にたくさん触れながら、リラックスする時間を持ちたいですね!
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町あかり
シンガー・ソングライター。2010年から活動を始め、作詞・作曲、編曲、執筆、イラストや衣装制作まで自身で行う。19年には、ビクターエンタテインメントからメジャー5thアルバム「あかりおねえさんのニコニコ♡へんなうた」をリリース。20年10月に、日本コロムビアから初のカバーアルバム「それゆけ!電撃流行歌」を発売。ほか、アーティストへの楽曲提供も行う。映画「男はつらいよ」と昭和歌謡曲、そして文鳥を愛する。最新アルバム「総天然色痛快音楽」が好評発売中。
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