「＋bilation」岡本信彦　インタビュー2022/06/08

「求めたものに対してのしつこさがすごくあるんですよ」

　今年、CDデビュー10周年を迎えた岡本信彦が5月25日にリリースした2ndフルアルバム『十bilation』。人気の歌い手・luzが楽曲提供したリード曲「愛憎カタルシス」のほか、大ヒットしたボカロ曲「クイーンオブハート」や「ゴーストルール」などのカバー、さらに、つながりの深いクリエーターと一緒に作った新曲が全部で10曲収録されている。そんな大注目のアルバムについて、岡本に話を聞いた。

――CDデビュー10周年を迎えましたね。

「声優業をやっていたからこそ、10年が早く過ぎ去ったと思うんですけど、自分の予想より早い感覚で10周年を迎えた気持ちです。10年も音楽活動をしていたら、もっと音楽的IQが上がっていると思ったんですけど、そこまで上がっていなかったんですよね（笑）。でも、楽しい思い出とか、アーティスト活動を通しての経験値はたくさん育めたと思っています」

――10年前と今では、かなり変わりましたか？

「自分の体に関しては、やっぱり老いは感じますね（笑）。食の好みも、20代の時はラーメンだったけど、今はそばの方が好きだなとか、カルビが食べられなくなったとか、結構変わっていたりするんです。体力も同い年の人に比べたらある方だけど、10年前は無尽蔵だった感じがするので、だいぶ低下したなと思います」

――まだまだこの先も岡本さんには駆け抜けていただきたいですが、5月25日に、これまでやってきた音楽とこれからの音楽がクロスした2ndフルアルバム『十bilation』がリリースされました。リード曲である「愛憎カタルシス」は、作詞・作曲を人気の歌い手・luzさん、編曲をケンカイヨシさんが担当しています。

「レコーディングには2人とも立ち会ってくださったんですけど、『歌詞に描かれている、こじれてしまったゆがんだ愛を歌で表現してほしい』というオーダーを受けながら歌わせていただきました。この曲の落ちサビでは楽器隊がいなくなってボーカルが強調されるんですけど、ここも『気持ちで歌ってください！』と言われ、当たって砕けるつもりで歌ったの覚えています（笑）」

――人気楽曲のカバーも多く収録されていますね？

「『KING』は、Kanariaさんの曲で、2020～21年の中で相当歌われたボカロ曲という気がしているのですが、この曲を歌ってほしいというファンの声が断トツで多かったんです。ただ、このアルバムに収録するということは、ライブでも歌いたいということなので、岡本信彦として歌っているんです。なので、僕がYouTubeでやっている“歌ってみた”企画を期待していた方にとっては、求めていたものとは少し違うものになっているかもしれません」

――ほかのカバー曲も、基本的にはそういうコンセプトで歌っていますよね？

「そうですね。ただ、この『KING』の2コーラス目だけは、ちょっとお芝居の要素も入れているんですよ。なのでそこだけ“歌ってみた”感は入っているかもしれません。急に柄が悪くなったり、笑いに個性を入れたりしているので。なので、岡本信彦と、YouTubeでの僕の両方を好きでいてくれる方には、楽しい仕上がりになっているんじゃないかな」

――今回、岡本信彦さんが作詞を担当している曲もありますが、「Psy know」はタイトルもユニークでした。

「この曲は、『僕のヒーローアカデミア』や『ハイキュー!!』の劇伴を担当する林ゆうきさんに作っていただいたんですが、僕が好きな劇伴に『You Say Run』というのがあるんです。それは有精卵を英語でもじったタイトルなんですけど、僕も同じようにもじってみました（笑）。曲が届いて聴いた瞬間から、インストとしてカッコいいし、劇伴としても聴いていたい曲だなと思いながら歌わせていただきました。確か、一番最後に録った楽曲でしたね」

――この曲では、ズバリ“才能”をテーマにしていますが、岡本さんご自身はどんな“才能”があると思っていますか？

「しつこさですかね（笑）。しつこいと思うし、忍耐も強い方だと思います。メンタルは弱かった時もあるので一概には言えないけど、平均よりは強いかなと」

――しつこさはあきらめないということにつながりますから、大事なことですよね。

「求めたものに対してのしつこさがすごくあるんですよ。“これが欲しいなぁ”ってなるとすごくしつこいけど、その分要らないものはすぐに要らないって切り捨てるところもあるんです。だから、ちょっと矛盾するかもしれないけど、あきらめも大事だなと思ってはいます」　

――ちなみに、今、あきらめたくないとしつこく思っていることはありますか？

「『サロン・デュ・ショコラ』っていうチョコレートの祭典がありまして、それの『クリスチャン・カンプリニ』のお菓子がネットだと1分くらいで完売してしまうんです。今年はそれが買えなくて、どうやったら買えるのかをいろいろ考えたのですが、正規で手に入る手段はなく、結局あきらめたんです。だから、今一番の目標は、“来年こそは必ず『クリスチャン・カンプリニ』を手に入れる！”です（笑）」

――頑張ってください（笑）。それでは最後に、記念すべきアルバムをリリースした2022年ですが、さらに達成したいことはありますか？

「声優業でいうと、マルチに活動していきたいですね。それと、今年は新天地で活動することもある中で、原点回帰ではないですけど、どこかでメインのポジションを取りたいなとは思っています。こればかりは運もありますし、実力もありますし、神のみぞ知るところなのですが、頑張りたいですね」

【プロフィール】

岡本信彦（おかもとのぶひこ）

10月24日、東京都生まれ。B型。アニメ「可愛いだけじゃない式守さん」（テレビ朝日系）などに出演中。7月6日スタートの「継母の連れ子が元カノだった」（TOKYO MXほか）に出演。「Kiramune Presents Nobuhiko Okamoto 10th Anniversary Live Tour『ノブジュー』」が7月2日より開催。