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町あかりの「テレビの仕事人に会いたい!」 <第10回 前田万里奈さん(社会部記者)>2020/03/14

町あかりの「テレビの仕事人に会いたい!」 <第10回 前田万里奈さん(社会部記者)>

シンガー・ソングライターの町あかりが、テレビの裏側を支える「テレビの仕事人」から、あんな話やこんな話を聞いちゃう連載企画! 前回お会いした、テレビ朝日アナウンサー・森川夕貴さんからのご紹介で、今回はテレビ朝日社会部記者の前田万里奈さんからお話を伺いました。

町あかりの「テレビの仕事人に会いたい!」 <第10回 前田万里奈さん(社会部記者)>

<取材はなんと朝4時から>

── 社会部記者とは、どんな職業なのでしょうか? 前田さんの1日の大まかなスケジュールも交えて、教えてください!

「社会部には、事件、事故、災害、行政などさまざまな出来事を取材する記者が集まっています。現在、私は都庁に関する取材を担当しています。スケジュールは日によって異なりますが、例えば忙しい日ですと…。まず朝4時から『朝まわり』という、政治家や弁護士、当事者の方が出勤される前の自宅突撃取材から始まります。当人が家から出てくるまで、昼過ぎまでじっと待ち続けていることもあります。私のニュース記事はAbemaNewsをはじめ、昼に放送される『ANNニュース』が勝負どころ。日々、テレビ各局でネタの競り合いをしているんです。あとは『レク』と呼ばれる勉強会や、会見に出席する日もありますね。それから夕方のニュースに向けて記事を書きます。それが終わったら、『夜回り』といって朝と同じように自宅前で帰宅待ちをします。さらに、翌朝のニュース記事も書きます。今回の新型コロナウイルスのように誰もが知っている出来事もあれば、汚職事件など、われわれがたまたま勘づいた取材内容もあります。私がいる社会部や、政治部が取材したものは、早朝の『グッド!モーニング』から夜の『報道ステーション』まで、テレビ朝日の全てのニュース番組で使われます。原稿もそうですが、速報ニュースもどこよりも早く出す!という感じで入れていきます」

<急に1時間半後の飛行機に乗って取材へ!?>

── ひえー。こんなにハードで体力勝負なお仕事だとは知りませんでした…。こういったスケジュールですと、プライベートの時間は少ないのでしょうか?

「今はそんなことないですが…以前、千葉県警を担当していた時は本当に忙しかったです。急に電話が入って『今から1時間半後の飛行機に乗って(1週間泊まりの取材)』ということもありました。急いで空港へ向かって、衣類は空港に入っているお店で調達しました。携帯電話やネットがなければいいのに、と思うこともあります(笑)。 今はAbemaTVなどもあって、いつでも新しいニュースを届けることができるのはありがたいことでもありますが…。そんな中での私のストレス発散法は、おいしいものを食べに行くことです。同業者にはお酒が好きな人も多いですよ(笑)」

── ハードな日々を乗り越えるための、そういったストレス発散法は重要ですね…。前田さんがこの職業に就いたきっかけは何ですか?

「小学生の頃からマスコミの仕事に就きたいと思っていました。文章を書くことが好きで、自分でクラス新聞を作ったり、大学に入ってからは、子どもが好きなので社会福祉士になろうかとも考えて、その2択で迷っていたんです。教授に相談したところ『社会福祉士は目の前にいる子どもを助けることができる。マスコミはペンの力で世論を動かすことができる』と言われて、私の場合は後者だなと思い、その言葉が決め手でしたね」

<傷ついている人がいることを絶対に忘れない>

── お仕事をされてきた中で、印象的なエピソードを教えてください。

「ある事件の遺族の方に取材したことです。最初は遺族の方の負担を考えて、我が社も他社も『取材はやめよう』と言っていたのですが、夜帰ってテレビをつけたら、うち以外の全ての局が遺族への取材を放送していて。そこで先輩から電話が来て『夜中だけど、取材に行ってきて』と言われました。急いで向かうと、ご遺族の方がたまたま家の外にいらっしゃって、お線香をあげさせてもらいました。そうしたら私も涙が出てきてしまって、本当はご遺族のお気持ちなどを取材しなければいけなかったんですけど、撮影も録音もせずに撤収しました。記事は、お供え物や遺影のことなどを書いて仕上げました。自分が取材する出来事の先には傷ついている当事者の方がいるということを、絶対に忘れないようにしようと思ったきっかけでした。私たちは独自の映像を求める面もありますが、そこで『ゲーム』のように面白がって取り上げてはいけないと思っています」

── すごいご経験をされたのですね…。前回取材させていただいた森川アナからも、被害に遭われた方への取材に関して悩みながら取り組んでいると伺いました。取材する側も、そして視聴者側も慎重に受け取らなければいけないのだと気付かされました。このお仕事の中で達成感を感じるのは、どういった時ですか?

「例えば、パラリンピック関連として障害のある方に取材をした時ですね。2~3分のVTRを作ったのですが、ご本人だけでなく同じ障害のある方のコミュニティーの方にもとても喜んでいただいて。『○○さんの頑張る姿を見て励まされた』『勇気をもらった』というメールをたくさんいただいたんです。普段、突撃取材など人に嫌がられる仕事も多いので、マスコミはこうやって喜んでいただけることもあるんだと、とてもうれしかったですね。(前述のとおり)この仕事に就いたのは福祉に関心を持ったことがきっかけなんです。出産助成金のことだとか、埋もれている情報ってたくさんあるんです。困っている人のため、世の中のためになる記事が書けるようになることが、今後の目標です」

── 最近だと新型コロナウイルスの件をはじめ、ニュースを見ない日はないですよね。人々の生活に重要な「ニュース」。視聴者側のモラルや「情報を得た上でしっかりと考えて行動することの大切さ」についても考えるきっかけになりました。このたびは貴重なお話をありがとうございました!

 さて、読者の皆さまから「テレビ番組のこんなことが知りたい」「こういう職業の人の話を聞いてみたい」というリクエストや、ご感想も大募集しています。次回もどうぞお楽しみに!

【ご意見・ご感想etc.を募集中!】

町あかりの「テレビの仕事人に会いたい!」に関するご意見・ご感想、ご要望は下記アドレスまで。抽選で、町あかりさんのアルバムを7名様にプレゼントいたします。
machi-honoji@tokyonews.co.jp

町あかり

シンガー・ソングライター。作詞・作曲、編曲、イラスト、衣装制作まで自身で行う。2017年ビクターエンタテインメントからメジャー3rdアルバム「EXPO町あかり」をリリース。現在、絵本&CD「あかりおねえさんのニコニコ♡へんなうた」が発売中。他の歌手への楽曲提供も行う。文鳥を溺愛中。

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★オフィシャルTwitter:https://twitter.com/mcakr



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