神はサイコロを振らない☆キャリア初のフルアルバムリリースで、彼らが見据える未来とは2022/02/22
Vo.柳田周作、Gt.の吉田喜一、Ba.の桐木岳貢、Dr.黒川亮介による4ピースバンド、神はサイコロを振らないがメジャーファーストフルアルバム「事象の地平線」を3月2日(水)にリリースする。今回、全20曲が収録される大作を完成させた神サイの4人に、アルバムについてたっぷりと話を聞いた。
――今回のアルバムは、新曲6曲を含む全20曲が収録される大作で、かなり気合の入ったアルバムだと思います。中でも「イリーガル・ゲーム」はテレビ朝日系金曜ナイトドラマ「愛しい嘘〜優しい闇〜」の主題歌。生楽器とバンドサウンドを融合させた挑戦的なサウンドが特徴的ですが、どのように制作されたんですか?
柳田 「この曲は20曲の中でいちばん大変でした。自分の中にないエッセンスを出すってすごい大変というか。そもそもサスペンスというテーマが初めてだったし、ドラマ側の要望でピアノとストリングスはマストということで。そうなるとデモの段階でそれを取り入れた楽曲を作らないといけない。本当に試行錯誤して、どうやったらプロデューサーさんやディレクターさんがほれてくれるのかなって考えて考えて何パターンもメロディーを作りましたね。迷宮入りしてた時期もあったんですけど、その迷いや、複雑な制作環境がまるっきり曲に出てるなって」
――個人的には、生楽器の音を立てつつも、ちゃんと個として存在しているギターのサウンドにグッときました。
吉田 「いやあ、ギターはマジで難しくて…。5万回くらい録り直した感覚ですね(笑)。それだけこだわって作った間奏やサビ間の中の少しのニュアンスとか、本当こだわり抜いたとしか言えない感じです。絶対に自分の中で鳴っている音を出したかったんです」
――なるほど。「愛しい嘘〜優しい闇〜」の劇中歌も担当されていますが、同じドラマで雰囲気の異なる2曲を制作するのって難しいのでは?
柳田 「『あなただけ』にはちょっとしたエピソードがあって。この曲はピアノの弾き語りで作ったんですけど、朝方、サビのメロが完成したんですよね。その瞬間、この曲で大富豪になるかもしれないって思って。朝の4時〜5時くらいだったんですけど、すぐ黒川に電話して、『ヤバい曲ができたかもしれん』と言ってそのメロを送って、2人で盛り上がって結局、黒川の家に行ってそのまま酒を飲むみたいな(笑)」
――え? 朝からですか?
黒川 「朝5時くらいよね?」
柳田 「いや、家に着く頃には7時くらいだったよ。7時くらいからインスタライブをしながら酒飲んで。デモですらない、弾き語りの曲が出来た段階で乾杯が始まるっていう(笑)」
――でもそのくらい納得の完成度だった。
黒川 「なんか作らされた感があったよね?」
柳田 「神の導きがあったね」
黒川 「あはは(笑)。いろんな偶然が重なってね?」
柳田 「そう。サビのコード進行がカノン進行なんですけど、カノン進行って王道、原点にして最強というか。ここに乗っけるメロディーって悪くなるわけがないんです。全ていいメロディーが生まれてくるし、ご先祖さまたち本当にありがとうって」
――ご先祖さま(笑)。
柳田 「だって僕らは先人たちが作ってきたレールに乗って音楽を作らせてもらっているだけなので。この曲ができたのは偉大なる人たちのおかげです」
――サウンドのアプローチはいかがですか?
桐木 「生のストリングスが入った曲は初めてだったんですけど、ベースは我慢、我慢の連続で、できるだけストリングスと歌とピアノをメインに聴いてほしいな、という気持ちがあって、邪魔しないように弾くというか。こっちのコードに行きたいという思いもあったりしたけど、我慢した感じですかね」
吉田 「実は最後にギターソロが存在したんですよ。でも、レコーディング中の段階で『もっとシンプルな方がいいよね』となって。フレーズ感というよりもちょっとしたニュアンスでエモさを出そうという方向に進んでいったんです」
――そうだったんですね。このアルバムを聴いて、あらためて神サイの強みは何なのかと考えると、個人的には音楽を自由に楽しみ、あらゆるジャンルで表現できることだと思うんですが、結成からブレていない神サイの根源にあるものって何なのでしょう?
吉田 「やっぱり歌じゃないですかね。個人的にはそれ1点な気がします。ジャンルの幅こそあれど、重きを置いてるポイントは絶対そこだと思います」
黒川 「多ジャンルでやっていると、見方によっては少しブレてるなって思われるかもしれないんですけど、変わり続けることという部分ではブレてないというか。ジャンルに縛られていない分、自由に音楽で表現できているのかなって」
――それを証明するフルアルバムになっていますよね。
桐木 「そうですね。黒川が言ってくれたことに尽きると思う。縛らないことが神サイの強みになっていると思いますね」
柳田 「メンバーもそうかもしれないけど、僕はそんなにうまく生きてこれなかったというか。何をやっても中途半端だったんです。でも自分にしか歌えないことや伝えられないことってあると思うんですよ。完璧な人間じゃないからこそ、その不完全さに共感してくれる人がいるし、だからこそいつまでも不完全でありたいというか。精神的にも筋肉質な人っているじゃないですか。ガッツがあれば何でもできるみたいな(笑)。でも自分はそういう人間じゃないから、同じようにそういう人間じゃない人のために音楽を作りたいんです。その気持ちはずっとブレてないですね」
――皆さんのブレない思いが反映された大作が完成したと思います。東阪野音 Live 2022「最下層からの観測」も控えていますが、意気込みを教えてください。
柳田 「初めての野外でのワンマンなので願いとしては晴れてほしいなっていう。観測って名がついているからには満点の星空見上げながら、できるかどうか分からないけど、みんなでシンガロングできたらいいと思うし、一緒に歌えたらいいなと思います。この思いはいまだに希望として捨ててないです」
桐木 「僕は、インディーズ時代からのことを思い出しながらライブをやろうかなって思います。あの頃はああだったなとか、ライブまでに一度振り返ってみて、いろいろ話し合ったり思い出話をしながらライブに臨みたい。そしたらいいグルーヴができるんじゃないかなって勝手に思ってます」
吉田 「お客さんと自分たちと一緒になって空間を作れたらいいなって思います」
黒川 「お客さんに満足してもらうライブができたらいいなって思います。この前、それこそちょうど2マンライブがあったんですけど自分が体調不良でライブがなくなってしまって。その時にたくさんの励ましのメッセージが来て、聴いてくれる人がいるから僕たちは音楽ができてるって、あらためて再確認できたというか。だから、そういう人たちが来てよかったなって思うライブにしたいです」
――最後になりますが、アルバムタイトルに掛けて、神サイの前に広がる地平線の先には何が見えていますか? もしくは何が見えていてほしいですか?
柳田 「これは、生涯自分についてまわる夢でもあり願いでもあり、呪いのようなものでもあるなって思うんですけど、何十年も歌われ続ける名曲を書きたいっていうのはずっとあって。昔の歌謡曲っていまだに若い子達が歌える曲があるし、そこまでの曲がここ数年どれだけ生まれているんだろうって考えるんです。一過性のものにはなりたくないし、だからこそ書き続けたいし、20曲書いたし。この中のどれかがそういう存在になってくれたらいいなって。ただいい曲を書くとかカッコいいバンドでありたいとかそういう次元じゃなく、人の一生を左右するくらいの名曲を書きたいです」
――バンドとしてはどうですか?
吉田 「記録として歴史に名を残せることがいちばんバンドとしての名誉だと思ってるので。やっぱそこなのかなと思います。記録の残り方はなんでもいいんですよ、正直。ただ『あの年は神サイの年だったよね』みたいなことってすごく喜ばしいことで、そういう存在になれるっていうのはロックバンドならではだと思うので、そこがいちばん大きい目標ですね」
【プロフィール】
神はサイコロを振らない(かみはさいころをふらない)
2015年結成。福岡発の4人組ロックバンド。結成以降ライブハウスシーンで活動を続け、2020年7月にMajor 1st Digital Single「泡沫花火」でメジャーデビューを果たす。2021年3月に、1st Single「エーテルの正体」をリリースし、バンド初となるZepp Tokyoを含むワンマンツアーを完遂させた。3月20日(日)に日比谷野外大音楽堂、4月10日(日)に大阪城音楽堂にて、野音Live「最下層からの観測」を開催する。
【アルバム情報】
ALBUM「事象の地平線」
3月2日(水)リリース ¥3,080ほか
ドラマ「愛しい嘘〜優しい闇〜」の主題歌「イリーガル・ゲーム」、劇中歌「あなただけ」、n-buna from ヨルシカとアユニ・D (BiSH/PEDRO)、キタニタツヤとのコラボ楽曲や、話題を呼んだ「夜永唄 – Unplugged 2022」を含む全20曲を収録した、神はサイコロを振らないのメジャー1stフルアルバム。
【プレゼント】
サイン入り生写真を2名様にプレゼント!
応募はコチラ→https://www.tvguide.or.jp/tvguide_enquete
(応募期間:2022年2月22日正午~3月2日午前11:59)
ハガキでの応募方法は「TVガイド」3月4日号(P98)をご覧ください。
「TVガイド」の購入はコチラ→https://honto.jp/cp/netstore/recent/tokyonews-book/01.html
取材・文/笹谷淳介 撮影/JOKEI ヘア&メーク/森智聖
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