江口拓也◆「キャラクターソングとなると“演じる”ことが乗っかるので歌いやすくなりますね」2021/08/11

　「ツキノ芸能プロダクション」（ツキプロ）に所属するアイドルたちの姿を描く「TSUKIPRO THE ANIMATION」。2017年放送のTVアニメ第1期から約4年を経て、第2期「TSUKIPRO THE ANIMATION 2」（以下「プロアニ2」）が現在TOKYO MXほかで放送されている。そんな本作でメインキャストの1人・志季を演じているのが、江口拓也だ。江口が「プロアニ2」の振り返りや、志季が所属するユニット・SolidSへの思いについて語ってくれた。

――約4年ぶりにアニメが放送されていますが、久々のアフレコはいかがでしたか？

「確かに、アニメ自体は久しぶりだったんですけど、このコンテンツはドラマCDなどで常に何かしらの稼働はしているんです。なので“そんなに久々感はないな”というのが本音ですね（笑）」

――なるほど。言ってしまえば、アニメ第1期よりも前からプロジェクト自体は動いていますものね。

「そうなんですよ。それもあって“いつも通り”ができるくらい長い付き合いになっているんだなという不思議な感覚はありましたね。ただ、初回のアフレコは、志季と同じくSolidSのメンバーである翼役の（斉藤）壮馬、それから、志季の弟・圭人役の（中島）ヨシキ、翼の妹・美那役の東城（日沙子）さんの4人でやったんですが、ヨシキが演じているキャラクターはアニメでは初登場で、志季と近い立場のキャラクターを事務所の後輩が演じてくれるのは、純粋にうれしいですね」

――圭人に関しては、視聴者としても新鮮に感じたと思います。さらに、第5話（8月4日放送）、第6話（8月11日放送）、第7話（8月18日放送）では、志季たちが妖怪にふんする劇中劇「月野百鬼夜行」が描かれますよね。驚きました！

「ははっ（笑）。“唐突！”ってなりますよね（笑）。何の前振りもなく、突然ナレーションから始まって終わりますから。驚き過ぎてチャンネルを変えられていなければいいなと思っていますけれど、サプライズになっていたらいいなと！」

――このシリーズでは、志季は酒呑童子になっていました。役がもう一つ乗っかるような感覚なのでしょうか？

「それはないかな？　『月野百鬼夜行』ではガラッと変わるキャラクターもいるんですけど、志季の場合はそこまで変わることはなかったので…。口調もほぼ同じで、苦労を感じることはなかったですね」

――では、年齢を表現する点はいかがですか？　「ツキプロ」のキャラクターは、年月と同じように年齢を重ねていくのが特徴ですが…。

「そこは面白いところであり、やりやすさを感じるところでもありますね。人って、日々変わっていくものじゃないですか。今日好きになったものが明日には嫌いになるかもしれないし、その逆もある。“絶対にやるぞ！”と思っていたことが突然どうでもよくなることもある。年月がたつことで、そういう変化を声に反映できるので“ずっと同じ声を保たなければいけないキャラクター”と比べるとやりやすいです。それに、脚本家さんもキャラクターで遊んでくださることが増えてきて、TVアニメやドラマCDの本を読むと、“あっ、ここまでやっちゃっていいんだ！”と思うことが多いんですよ。アドリブをやらない分をセリフにしていただけたことで、指標みたいなものができて、“思いっきりやるぞ”と演じがいを感じられています」

――では、役で歌うことについてはいかがでしょうか？

「僕自身は歌に苦手意識があるんですが、キャラクターソングとなると“演じる”ことが乗っかるので歌いやすくなりますね。『正確なピッチで』『音程を間違えずに』と言われると“俺、歌、下手だしな～”と思ってしまってできないんですけど、『もっとキャラっぽく』と言われるとできる。むしろ“このキャラだからこの声を出したい”となるので、こだわりも生まれますね。ディレクションに対しても、『それだと、キャラクターが歌っているようにならない気がします』と伝えて、相談をすることがあります。極端な話、『僕ならこの高さまで出るけど、このキャラクターなら出ないと思う』といったこともあると思うんですよ」

――声で演じているからこそ、キャラクターの声への理解も深いんですね。

「“同じ声帯を持っているから、同じ高さまでは出るでしょ？”という考え方もあるかもしれませんが、同じ声帯を持っているからこそ“このキャラが出せる音はここまでだろう”といった細かいさじ加減は自分にしか分からないんです。そこが面白いなと思っていますね」

――お芝居は本当に奥が深いですね…。そんなふうに志季やSolidSと真摯（しんし）に向き合っている江口さんですが、SolidSが他のユニットに負けないところはどこだと感じていらっしゃいますか？

「やっぱり、アダルトな部分じゃないですか？　アダルトであり、危険な感じっていうのは魅力として大きいです」

――それに、SolidSのメンバーを演じているキャストの皆さんもとても仲良しですよね。ライブイベントでも楽しそうです。

「そうなんですよ。気が合う人もいれば合わない人もいるのが人間ですが、（SolidSのキャストの）4人はとにかく気が合いました。おかしいくらい仲がいいです（笑）。コロナ禍になる前、ライブイベントの前日に僕の家に全員泊まりに来たことがあったんですけど、花江（夏樹）くんはお酒を飲んでベロベロになり、それを見て梅ちゃん（梅原裕一郎）は笑い続け、壮馬は『じゃあ、僕、帰りますね！』って言って突然いなくなるという出来事がありました。みんな本当に自由人なんですよ！（笑）。また全員で会える機会があったらいいですね」

【プロフィール】

江口拓也（えぐちたくや）
5月22日、東京都生まれ。双子座。アニメ「アイドリッシュセブン Third BEAT!」「転生したらスライムだった件第2期第2部」（ともにTOKYO MXほか）、「東京リベンジャーズ」（テレビ東京ほか）、「魔入りました！入間くん」「あはれ！名作くん」（ともにNHK Eテレ）などに出演中。