「石子と羽男」「六本木クラス」を満足度で上回ったのは? 7月クールドラマを大検証!2022/10/28
今回は恒例のドラマ検証企画をお届け! 関東94万台を超えるレグザの視聴データを基にTVガイドwebで毎週紹介している「地上波録画視聴ランキング」を集計し、2022年7月クールのドラマを振り返る。この夏、最も支持されたのはどのドラマだったのか。世帯視聴率では分からない視聴者の本音を探っていこう。
まずは7月クールに放送されたすべての連続ドラマを放送回ごとに集計した「放送回ランキング」のベスト30を見ていただこう。ポイントは1位を100とした場合の割合である(以下同)。
混戦の中、1位~4位を独占したのがTBSの金曜ドラマ「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」である。アクシデントで初回放送が1週ずれ込んだ影響を微塵も感じさせず、毎週発表している「地上波録画視聴ランキング」では、初回から最終回まで10週連続総合首位をキープした。
夏の金曜ドラマは、裏の「金曜ロードショー」がジブリ作品など夏休み向けの強力なラインアップをぶつけてくることもあり、例年世帯視聴率では分が悪い。「石子と羽男」も世帯視聴率では苦戦したが、タイムシフト視聴では常に上位を占め、SNSなどでも高い注目を集めるなど、内容面でも高評価を維持した。いわば身をもって世帯視聴率だけが評価軸ではないことを証明したような形。名実ともに7月クールを代表するドラマだったと言っていいだろう。
5位以降は、その「石子と羽男」に加えて、「ユニコーンに乗って」 「オールドルーキー」(ともにTBS系)、「六本木クラス」(テレビ朝日系)を含めた4作品が入り乱れているが、各回の差は非常に小さく、大混戦だった。数字上、突出した作品には恵まれなかった。
続いて「平均録画視聴ランキング」のベスト20。各ドラマの録画視聴ポイントを、初回から最終回まで全話平均して、高い順に並べたベスト20である。
「石子と羽男-そんなコトで訴えます?-」がトップに立っているものの、2~4位までは十分互角に戦っていたという印象だ。2位「ユニコーンに乗って」、4位「オールドルーキー」、ともに好調でTBSのドラマ群がさすがの安定感を見せた。作品の出来栄えも含め、他局に比べて頭一つ抜け出している印象だが、ここはやはり3位に割って入ったテレビ朝日木曜午後9時「六本木クラス」の健闘を評価しないわけにはいかないだろう。
韓国の人気ドラマ「梨泰院クラス」のリメークということで開始前から注目され、原作ドラマとの類似や違いもいろいろと取りざたされたが、竹内涼真、平手友梨奈、早乙女太一など、キャスト陣の頑張りに加え、「梨泰院クラス」を知らない人々(Netflixを見ていない層)を多く取り込むことで少しずつだが支持を広げた。思わぬ香川照之効果などもあったが、最終的にはドラマ自体の面白さで視聴者の興味をひきつけ続けたのは間違いないだろう。「六本木クラス」の健闘と成功は、今クールの大きなトピックだったと言える。
また、5~8位にフジテレビ・関西テレビのドラマ4本が並んでいるのも面白い。「競争の番人」 「魔法のリノベ」 「テッパチ!」 「純愛ディソナンス」と、4本それぞれにチャレンジの要素を含んだドラマだった。残念ながら現時点で大きな実を結ぶことはなかったが、今後の動きに期待したい(もっともチャレンジ要素ということでいえば、日本テレビの「初恋の悪魔」 「家庭教師のトラコ」 「新・信長公記~クラスメイトは戦国武将~」の3本の方がすごかったかもしれないけど)。
続いて「最終回継続率ランキング」のベスト20である。「最終回継続率」とは最終回のポイントを初回ポイントで割った数値で、最終回継続率が高い(=初回に比べて最終回のポイントが高い)ということは作品内容に対する満足度が高い傾向があるのでは、という仮説に基づいた検証である。
継続率が100%を超えた(=最終回の録画視聴が初回より多かった)ドラマはわずかに5本。7月クールドラマの停滞傾向を物語る。そして継続率で首位をゲットしたのは、テレビ朝日系で放送された金曜午後11時台の「NICE FLIGHT!」。初回も決して低い数字ではなく、その後も全8回を安定して上昇傾向で推移、継続率123%の高水準で見事トップに立った。平均録画視聴ランキングでも11位と好順位につけ、深夜ドラマとしては成功作と言っていい。日本航空の全面協力による恋愛メインのパイロットもので、この枠には珍しい正統派のお仕事ドラマである。プライム帯にトリッキーなドラマが多かったので、得をした部分はあったかもしれない。プライム帯のドラマでは「六本木クラス」「石子と羽男」と並んで、関西テレビの「魔法のリノベ」が100%を超えた。
すでに10月クールドラマもスタートしていて、楽しんでいる方も多いことだろう。TVガイドwebではこれからも面白いドラマをより多く堪能していただける情報を発信していく。このコラムでもさまざまな形でテレビの楽しみ方をお伝えするので、乞うご期待。
文/武内朗
提供/TVS REGZA株式会社
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