TBSドラマの優勢が続く中、唯一切り込んだのはあのドラマ! 2021年間ドラマ録画視聴ランキングを発表!!2022/01/28
今回は、関東79万台を超えるレグザの視聴データを基に毎週紹介している「地上波録画視聴ランキング」を集計した「2021年間ドラマ録画視聴ランキング」を発表していこう。2021年に録画視聴という形で最も支持されたドラマはなんだったのか?
まずは、21年に放送されたすべての連続ドラマを放送回ごとに集計した「放送回ランキング」年間ベスト30。ポイントは1位を100とした場合の割合である(以下同)。
20年は、年間放送回ベスト30をTBSのドラマが独占するという驚がくのランキング結果 だったが、21年もTBSドラマの優位は変わらなかった。首位が4月クール「ドラゴン桜」の最終回、2位が7月クール「TOKYO MER~走る緊急救命室~」の最終回。少し離れた6位には、1月クールの「天国と地獄~サイコな2人~」の最終回もランクインしていて、「日曜劇場」枠(日曜午後9:00)の3作品が、すべからく最終回で自己最高ポイントを獲得している。最終回以外のポイントも押し並べて高い。世帯視聴率も好調で、もともとドラマ自体のクオリティーが高いことはもちろんなのだが、各作品がそれぞれに最終回に向けて注目を集めていくことに心を砕いていたというところに各ドラマの成功はあるし、ひいてはそれこそがTBSドラマ全体が支持を集めた要因だと言える。
そして21年、TBSの上位独占に唯一立ちはだかったのが、日本テレビの「ハコヅメ~たたかう!交番女子~」であった。原作コミックの面白さは折り紙つきだったとはいえ、根本ノンジの脚色の妙と、戸田恵梨香、永野芽郁、ムロツヨシほか俳優陣の健闘で、世帯視聴率、録画視聴ともに快調に推移。途中、永野芽郁の療養で一時は特別編の放送に追い込まれながら、ネット動画などの活用もあり、結果的にピンチをチャンスに転換した好例となった。
続いて、ドラマごとに録画視聴ポイントの全話平均値を集計した「平均録画視聴ランキング」の年間ベスト20である。
20年の「半沢直樹」のような突出したドラマはなく、上位のポイントが接近している。そして、首位「ドラゴン桜」、2位「TOKYO MER~走る緊急救命室~」はじめTBSのドラマがベスト10に7本ランクイン。プライムタイムで放送されたTBSのドラマ全12本中・11本をベスト20にランクインさせるという圧倒的な強さを見せた(TBSドラマ以外では、日本テレビとフジテレビが4本ずつで分け合い、テレビ朝日からは「ドクターX~外科医・大門未知子~」のみがランクインしている)。「日曜劇場」の強さはもちろんだが、「リコカツ」「最愛」などの「金曜ドラマ」枠(金曜午後10:00)、「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」などの「火曜ドラマ」枠(火曜午後10:00)も、それぞれ個性的な作品で好成績を収めた。同時に「俺の家の話」のような革新的なドラマも送り出している。勢いはまだまだ続いて行きそうで、22年もTBS中心のチャート展開になっていくことになるだろう。
それではプライムタイム以外のドラマの傾向はどうなっているのか? 午後11時以降スタートの、いわゆる“深夜帯ドラマ”の平均録画視聴ランキングベスト20を見てみよう。
現在、数多くのドラマが放送され、活況を呈している深夜帯ドラマ。録画視聴向きのドラマ群とも言えるが、やはりポイント上位にくるのは(深夜としては時間帯の浅い)午後11時台スタートのドラマがほとんどである。放送作品数が多いこともあり、テレビ朝日とテレビ東京のドラマが合わせて16本を占めている(残りの4本はフジテレビ系の東海テレビ制作作品)。上位にランクインしている作品の多くは、キャスト・スタッフともプライムタイムのドラマと遜色がない。加えて、時間枠を30分に短縮したり、過激なテーマのドラマも多い。実験的なアプローチも目立つ。グルメ系の番組が5位内に3作品もランクインしているのも見逃せない。
トップに立った「珈琲いかがでしょう」と2位の「シェフは名探偵」は、21年に新設されたテレビ東京月曜の「ドラマプレミア23」枠(月曜午後11:06)のドラマ。14位「うきわ―友達以上、不倫未満―」、17位「じゃない方の彼女」と、放送された4作品すべてがベスト20にランクインしている。
続いて「最終回継続率」のランキングを見てみよう。最終回継続率とは、最終回のポイントを初回のポイントを割った数値。最終回継続率が高い(=初回に比べて最終回のポイントがより高い)ということは、作品の内容に対する満足度がより高い傾向があるのではないかという仮説に基づいた検証である。21年の年間ベスト20はこちら。
トップに立ったのは大倉忠義、広瀬アリス主演の「知ってるワイフ」(フジテレビ)。1月クールの作品だが、4月以降のドラマの追撃を振り切り、年間首位を守った。2位には7月クールの「漂着者」。11時台のドラマなのでポイント自体は高くはないが、すべての謎が解ける!と期待された最終回が注目を集めた(結局いろいろ謎は残ったけれども…)。
そしてやっぱりTBSドラマが強い。特にベスト10に入った「ドラゴン桜」「TOKYO MER~走る緊急救命室~」「最愛」「天国と地獄~サイコな2人~」の4本は、最終回への注目度、満足度がともに高かった。視聴ポイントを高い水準でキープしながら継続率を高く保つのは至難の技で、各クールでそれを実現しているのは、やはり局全体で共有しているスピリットがあるのだろうと想像できる。あえて不安な点を探すとすれば、そうした方程式へ依存しすぎるが故の停滞だろうか。他局の巻き返しに期待したい。
配信ドラマの隆盛とともにドラマの可能性はさらに広がっており、ドラマファンには楽しみが続く22年。各局の新たな試みを楽しみにしつつ、新しい年のドラマに注目していきたいと思う。
文/武内朗
提供/TVS REGZA株式会社
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