「水曜日のダウンタウン」独走も山は動くか? 節目を迎えるバラエティー大解剖2024/09/30
今回は3年ぶりにバラエティー番組の視聴動向分析を試みる。関東約138万台を超えるレグザの録画視聴データを基に、過去1年間(2023年8月~24年7月)に放送されたバラエティー番組をランキング化した。果たして1年間で最も録画視聴されたバラエティー番組は何だったのか?
全放送回の上位を占めた番組とは…
まずは1年間に放送されたすべてのバラエティー番組から、「放送回ランキング ベスト10」をご紹介しよう。
「水曜日のダウンタウン」(TBS系)の圧勝である。ランキング表では省いているが、11位以下も43位まですべて「水曜日のダウンタウン」が占めるという、驚くべき結果となった。しかもこの番組がスゴイのは、決して万人に受けているわけではないというところだ。番組スタートから今年で丸10年。いわゆる世帯視聴率は相変わらず高くないし、録画視聴でもU49(13~49歳)から圧倒的な支持を受ける一方、F3層(50~64歳の女性)やM4&F4層(65歳以上の男女)からの支持は実に低い。一方、M3層(50~64歳の男性)からの支持は比較的高い。支持層に偏りがある中で、これだけ上位を独占できているというのは、クオリティーをキープするべく挑み続けるスタッフの姿勢ゆえだろう。
ちなみに「水曜日のダウンタウン」の中で1、2位を占めたのは、2週にわたって放送された「名探偵津田」第2話「呪いの手毬唄と招かれざる男」(11月8日・15日)。数ある名物企画の中でもこれが最も面白かった企画だったということだろう。
ほかの番組の放送回にもスポットをあててみる
ということで「水曜日のダウンタウン」が強すぎるので、各番組の最高位放送回のみを残す形で作った「最高ポイント放送回 ベスト30」を見てみよう。
TBS、テレビ朝日、日本テレビ、フジテレビと、上位に各局がバランスよく並んでいる。そして、元日の「芸能人格付けチェック」や年末の「M-1グランプリ」(ともにテレビ朝日系)など、スペシャル番組の存在感が際立つ。
今年のバラエティー界の大きな出来事の一つに松本人志の活動休止があるが、こうしてみると特番も含め松本出演番組はやはり数多い。が、それを除くと出演者による偏りは以前より少なくなっている。局別では、フジテレビがベスト30本中12本で最多となった。
平均録画視聴ランキングで各番組の人気度を探る
続いて、今度はレギュラー番組の「平均録画視聴ランキング」を見てみよう。23年8月~24年7月の年間ベスト30である。
「水曜日のダウンタウン」がぶっちぎりの首位。2位以下にも毎週の録画視聴ランキングで上位を占める常連組が並ぶ納得のランキング。こうしてみると、あらためて日本のテレビバラエティーにおける“松本人志”の存在感は大きかった(現時点では過去形にならざるを得ないけれど)。
実はこのコラムでは、3年前(21年)と6年前(18年)に同様にバラエティー番組分析を行っている。ここでその際の「平均録画視聴ランキング ベスト10」をご覧いただこう。
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接戦だった過去2回に比べれば、今回「水曜日のダウンタウン」が頭一つ抜け出した感はあるが、いずれにしても上位番組は6年間ほとんど変わっていないことが分かる。「アメトーーク!」(テレビ朝日系)も、「月曜から夜ふかし」(日本テレビ系)も、基本のフォーマットを踏襲しながら常に新しい面白さを追求していて、その強さには脱帽せざるを得ないが、それにしても…という気は少しする。
それでなくても、トークか取材VTRを見る形式の番組が大勢を占める昨今である。苦戦しているものも多いが、新しいバラエティーはどれも“そうではない何か”に挑もうとしている。ここは、新たなプレーヤーによる新たな勢いを秘めたバラエティーの誕生に期待したい。その意味で、11位の「それSnow Manにやらせて下さい」に、その萌芽はあると言えるだろうか。かつて「SMAP×SMAP」が、テレビバラエティーの頂点に君臨していたように。
文/武内朗
提供/TVS REGZA株式会社
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