「着飾る恋には理由があって」最終回目前! プロデューサーインタビュー 「好きな人と、好きな時に、好きなように生きていくのが理想ですよね」2021/06/21
TBS系で放送中の火曜ドラマ「着飾る恋には理由があって」。綺麗に着飾ることで自分の居場所を得ていた主人公・真柴くるみ(川口春奈)が、価値観の違う人々と一つ屋根の下で暮らしながら、恋をしたり、友情を深める中で、着飾るというよろいを脱ぎ捨て自分らしく生きる姿を描く“うちキュン”ラブストーリーです。
そんな本作は、ついに明日6月22日に最終回を迎えます。クライマックスを目前に新井順子プロデューサーを直撃し、気になる胸キュンシーンの裏側や最終回の見どころを語っていただきました!
「監督とのささいな攻防から出来上がっている作品です!」
――本作は視聴者が共感できるリアルな部分と、ドラマならではのファンタジー要素がうまく混ざり合っていますよね。絶妙なリアリティーラインの設定が人気の理由の一つかと思いますが、どのようなこだわりがあるのでしょうか?
「塚原あゆ子監督が作品にリアルさを求める方なので、共感していただけるポイントは多いかもしれません。実際に、私が提案したドラマらしい演出を『それは嫌だ! 気持ち悪い!』って却下されることもありました(笑)。どうしてもやりたかったキュンに関しては、塚原さんに却下されたら、棚澤孝義監督の回に入れてもらうなどして、私もしつこく諦めませんでした。そんな監督とのささいな攻防から出来上がっている作品です!」
――ちなみに新井さんがどうしても入れたかったシーンとは…?
「第5話の“キッチンカーキス”は、どうしてもやりたくてねじこんだシーンの一つだったと思います。あのシーンの横浜流星さんの体幹…すごいですよね」
――本当に素晴らしい身体能力をお持ちですよね! “キッチンカーキス”もそうですが、胸キュンシーンの撮影の仕方にこだわりを感じました。王道な流れの中に、どこか新鮮さを感じるというか…。
「キスをするにしても、普通にキスするんじゃ面白くないからどうしようっていう話し合いは行っていました。第2話での最初のキスシーンに関しては、真柴はまだ(藤野)駿(横浜)のことが好きじゃないし、『もしかしたらいい人かも?』くらいの状況でのキスだったので、どうしたらそういう展開まで持っていけるかたくさん考えましたし…。兎にも角にも、印象に残るキスにするというのは一つのゴールでした」
――なるほど。ちなみに新井さん推しのキスシーンはどこでしょうか?
「“冷蔵庫前”キスと“キッチンカーキス”です。最初に提案した時は、『冷蔵庫前でどうやってキスするんですか!? どういう状況ですか?』って言われましたけど…。なかなか奇麗に撮るのが難しかったシーンでもあります。冷蔵庫の前でキスするって決めた後にセットを作ったので、上手に撮れるようにいろいろ計算してもらいました(笑)」
――キスシーンではありませんが、駿が真柴のシートベルトを締めてあげる描写も自然なキュンが生まれていて印象に残っています!
「第1話は真柴と駿のキュンシーンがなくて、やるならキッチンカーに乗る時だったのですが、シートベルトを締めるくらいしか思いつかなかったんです…(苦笑)。あと、たまに皆さんもやってもらうことありません? シートベルトを強く引っ張り過ぎて『あれ? 全然出てこないんだけど!』って焦っていると、『こうだよ!』ってグッて近寄ってきて代わりに着けてくれるっていうやつ。皆さんも経験ないですか!?(笑)」
――(身に覚えがある記者一同、爆笑)
「そういう不意に接近されるとちょっとドキドキするよねっていうのを表現したかったんです!」
――第7話で真柴が駿の口をムギュっとした“口閉じ術”は、川口さん発信だったという話を伺いました。現場でもそういう胸キュンのアイデアが生まれているんでしょうか?
「あのしぐさは川口さんが急にやったので、現場では大爆笑でした(笑)。前日にいろいろなパターンを考えてくださったらしいんですが、あれが一番良かったみたいなんです。最初はびっくりしたけど、結果的にとてもかわいいシーンが出来上がりました!」
“追い源”で話題! 気になる主題歌のかけ方のこだわりは…?
――ドラマの終盤にかけて流れる星野源さんの主題歌「不思議」の曲のかけ方が“追い源”と呼ばれ話題になっていますね。
「いつの間にか浸透しましたね! 曲をかけるタイミングは、最初の時点で決めるようにしていました。ただ今回の主題歌は構成が少し特殊で、あまり後ろのシーンから流し始めると全部流し切ることができずに終わってしまうんです。だったら1回切って、また途中から流してみようって案が出て、試してみたらそれが一番盛り上がったんです! その時は“追い源”という言葉はありませんでした。最初は、“追い星野源”とか呼んでたのかな? そしたらいつしか“追い源さん”とか、どんどん短くなってきましたね」
――視聴者と共にどんどん盛り上がってきたんですね!
「そうですね! そしたらキャストの皆さんも意識しはじめて『今回はどこからかかるんですか?』って聞かれるようになりました。誰から曲がスタートして、誰から“追い源”がスタートするのかは重要なポイントです(笑)」
駿派? 社長派? 「物足りないくらいがちょうどいいのかも」
――物語の序盤で真柴が片思いしていた葉山祥吾社長(向井理)は、前半ではあんまり出てこず、SNSでは『こうじ(犬)の方が出てるんじゃないか?』なんて声もありましたが、後半での巻き返しがすごいですよね。
「最初から、後半から出てもらおうと思っていたんです。小出しにしていたのが逆に良かったのか、社長が戻ってきた時の反響も良かったです」
――駿派と社長派で分かれるかは予想されてましたか?
「五分五分で分かれてくれればいいなと。とはいえ駿派が多いだろうなという予想だったのですが、第1話から社長派も多くて驚きました。真柴と駿が恋仲にはなっていなかったので、それも理由かな。物足りないくらいがちょうどいいのかもしれないですね」
――社長といえば、路上で感極まって泣いてしまう真柴を通行人から隠すシーンもキュンでした…!
「今まで真柴と社長は接触させていなかったので、あそこがラストチャンスだなと思っていました。年齢は10歳以上離れている設定ということもあり、いきなり真柴に触らせるのはどうかと思ったので、まずは壁になって守るというクッションを挟んで、その後『ここにお願いします!』ってリクエストして胸に顔をグッてやってもらいました(笑)」
――寺井陽人(丸山隆平)&羽瀬彩夏(中村アン)もまた違ったカップルの形でキュンを見せてくれていますよね。
「陽人&羽瀬カップルは、2人とも30代の設定なので大人な恋愛にしたかったんです。友達みたいな感じからスタートするような恋愛。(早乙女)香子(夏川結衣)には、私の周りのリアルを反映させていたりします」
――いろいろな形の関係があっていいじゃない、というメッセージがこもっているように感じました。
「1人で生きていける時代だけど、だからこそ誰かがそばにいてくれる良さをより一層感じられるのではないでしょうか? 好きな時に、好きな人と、好きなように生きるのが理想ですよね」
――では最後に、最終回の見どころをお願いいたします!
「本作は『着飾る恋には理由があって』というタイトルですが、着飾ることにも、着飾らないことにも良さがあると思っています。無理して着飾るのがつらかったらやめればいい。でも、着飾るのが楽しくてやっている人も多いはずです。着飾る理由は本当に人それぞれだと思いますし、どちらが良いかの正解はありません。そして、現代で着飾るために使われるツールがSNS。SNSには勇気づけられることもあれば、誹謗中傷に落ち込んだりもします。諸刃の剣とも言える現代のアイテムとどう向き合い、自分らしく生きていくとはどういうことかを問う作品になっています。最終回もぜひお楽しみに!」
TVガイドwebで以前取材をしたこうじ役・葉菜(りぃな)ちゃんの記事&動画(https://www.tvguide.or.jp/feature/feature-861017/)の反響を新井さんにお伝えすると、「こうじは人気過ぎてロケに連れていくと囲まれちゃって大変なんです(笑)。『キャー!』って声が聞こえて、キャストが囲まれちゃったかなって思って見てみると葉菜ちゃんだったりして。もう大人気ですよ!」と、ロケでの裏話も飛び出しました。ちなみに、駿の元彼女・福本葉菜(山本千尋)とは漢字が一緒。もしかしてわざと…? と思っていたので聞いてみたところ、「葉菜(りぃな)ちゃんをキャスティングする前から、葉菜(はな)の名前は決まっていたので、偶然なんです!」と教えてくださいました。偶然となればますます運命を感じてしまう作品になりましたね!
【プロフィール】
新井順子(あらい じゅんこ)
2008年からドラマプロデューサーとして活躍。これまで「中学聖日記」「アンナチュラル」「MIU404」(全てTBS系)などを担当。現在は、火曜ドラマ「着飾る恋には理由があって」のプロデューサーを務めている。
【番組情報】
火曜ドラマ「着飾る恋には理由があって」
TBS系
火曜 午後10:00〜10:57
TBS担当 A・M
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