1年間で50の企画を発信! オールナイトニッポン50周年プロジェクトがラジオの未来を変える2017/11/02
テレビを見ていてよく耳にするけど、実際はきちんと知らない(かもしれない…)時事ネタや話題を追いかけ、解説! 今回は、今年10月で放送50周年を迎えたラジオ番組「オールナイトニッポン」が1年を通して周年プロジェクトを実施中。企画に込められた意図とは?
次の50年を見据えたプロジェクトの裏側とは!?
<10代の支持を獲得し3度目の黄金期に突入!>
1967年10月2日、“深夜に一人ぼっちでいる若い人々の広場をつくろう”をコンセプトにスタートしたラジオ番組「オールナイトニッポン」(以下ANN)。これまでに数多くの才能豊かなパーソナリティーを輩出。深夜放送の代名詞として影響を与えてきた名物番組が、放送開始50周年を記念して50の企画を発信中だ。ラジオ離れが叫ばれる一方、スマートフォンでラジオが聴けるアプリ「radiko」の登場により、若者人気が復活の兆しを見せる昨今。今回の50周年プロジェクトの狙いについて、株式会社ニッポン放送の松浦大介編成局長に話をうかがった。
「『ANN』は今、第3期目の黄金期を迎えていると考えています。第1期は番組スタート時で、糸居五郎さん、今仁哲夫さん、カメ&アンコー(亀渕昭信&斉藤安弘)のお二人といったアナウンサーやニッポン放送の社員が深夜の生放送で音楽を紹介し、受験生に絶大な人気を博しました。第2期は1980年代で、笑福亭鶴光さん、タモリさん、中島みゆきさん、ビートたけしさんといったタレントパーソナリティーが活躍した時代。そして現在、菅田将暉さん、星野源さん、AKB48さん、ナインティナイン・岡村隆史さん、三代目J Soul Brothers・山下健二郎さん、オードリーさんら、非常に充実したメンバーが集まってくれています。私共としましては、常にティーンエイジャーに向けた番組であることを忘れないキャスティング、そして『ANN』を聴いてくださった方がその後もニッポン放送を好きになっていただけるような番組作りを心掛けています。おかげさまで、メインターゲットである10代の聴取率は、全曜日で首位を獲得しています」
今年は、好調さを証明するような朗報もあった。放送批評懇談会が優れたテレビやラジオ番組に贈る「ギャラクシー賞」のラジオ部門DJパーソナリティ賞を星野源が受賞。同番組のパーソナリティーがこの賞を受賞するのは星野が初だ。
「あれはとてもうれしいニュースでした。ANN50周年プロジェクトでは、今年1月から来年10月まで、星野さんによる記念ジングル制作を皮切りに、様々な企画を用意しています。例えば、現在放送中の『オールナイトニッポンPremium』(毎週月~金後7・00~8・50)では、過去にパーソナリティーを務めた方の中から氣志團・綾小路翔さん、藤井フミヤさんらが3カ月限定で復活。来年1~3月はX JAPAN・Toshlさん、鴻上尚史さん、miwaさん、バカリズムさんらにご登場いただきます」
<過去のアーカイブでなく未来につながる企画を実施>
ブレイク前のタレントをいち早くパーソナリティーに起用する先見の明でも知られる「ANN」。SNS全盛の昨今は、個人の拡散力にも注目しているという。
「各世代を代表するインフルエンサーを起用しました。歴代レギュラーパーソナリティーは320人ほどいますが、今回の『~Premium』のパーソナリティーはtwitterフォロワー数38万人以上の綾小路さんを筆頭に、拡散力の高い方にお願いしています。今はラジオを持っていない方もたくさんいますし、10代の方はそもそもラジオというもの自体知らないかもしれません。そういう方たちにラジオを聞いていただくために、特に若者に対して影響力の大きい方々のパワーをお借りしたく思っています」
11月12日にはBSフジとタッグを組んだテレビ番組が放送。50周年プロジェクトの企画も、今後続々展開される。
「10月から始まった『オールナイトニッポン in 校内放送』は、応募してくれた学校を取材してカスタマイズした番組を制作し、その校内だけで放送される企画です。これをきっかけにラジオに興味を持ってほしいという草の根運動で、早くも想像以上の手応えを感じています。『オールナイトニッポン50th MY HOMETOWNスマホムービーコンテスト』は社内公募企画。今のティーンエイジャーとスマホは切っても切れないものですから。イベントの『ALL LIVE NIPPON』では、生のライブ感というものを番組以外でも体験していただきたいです。もちろん過去のアーカイブも大切なんですが、今回のプロジェクトでは、そこに固執せず次の50年を見据えて、今の10代のニーズに応えられるものを中心に考えました。まずは若い方にラジオに触れてもらうことが、私たちが一番望んでいることです」
未来への種を撒くという意味でも、今回の試みは非常に攻めたもの。ぜひ、今夜はANNを聴いてみてはいかがだろう? そこには、あなたが求めていた世界が広がっているかもしれない。
【特に注目したい50周年プロジェクト企画】
オールナイトニッポン in 校内放送
現役パーソナリティーが月替わりで登場し、毎月10校のオリジナル番組をその学校だけで放送。11月は山下健二郎が担当。詳しくはANNのWEBサイトhttp://www.allnightnippon.com/で
オールナイトニッポン 50th MY HOMETOWNスマホムービーコンテスト
全国のリスナーから「MY HOME TOWN」をテーマにした動画を募集。春夏秋冬ごとに1位を選出し、来年10月に総合グランプリを決定。
第43回 ラジオ・チャリティ・ミュージックソン
12月24日 午後0:00~25日午後0:00の24時間生放送。目の不自由な方のために基金を募る。今年のパーソナリティーは7年ぶりの担当となるオードリー。
ALL LIVE NIPPON Vol.6
来年1月20日、21日に横浜アリーナで開催。2日目は、MCをオードリーが担当し、Creepy Nuts、水曜日のカンパネラらが出演する。
【番組情報】
熱響の時「オールナイトニッポン50年の系譜」~オールナイトニッポン50周年特別企画~
11月12日 BSフジ 午後9:00~10:55
久保ミツロウ、能町みね子、乃木坂46・新内眞衣がMCを務め、“ラジオ愛”と“魂の継承”をキーワードに上柳昌彦らがANN50年の歴史を振り返る。ビートたけしら伝説のパーソナリティーも登場!
今回、取材したのは…
松浦大介さん
(株式会社ニッポン放送取締役編成局長)1981年に株式会社ニッポン放送に入社。その後、とんねるずや山口良一がパーソナリティーを務めたANNなどの制作を担当。「オールナイトニッポン40周年記念プロジェクト」も手掛けた。
取材・文/秦野邦彦
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