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坂東巳之助&シム・ウンギョン☆世界も注目する、摩訶不思議な恋を描いた舞台で共演!2021/03/31

坂東巳之助&シム・ウンギョン☆世界も注目する、摩訶不思議な恋を描いた舞台で共演!

 4月17日に東京芸術劇場 プレイハウスで幕を開ける「ミュージカル 『消えちゃう病とタイムバンカー The Vanishing Girl & The Time Banker』」は、梅田芸術劇場とイギリスのチャリングクロス劇場が共同プロデュースする日英プロジェクトの第2弾。歌舞伎役者の坂東巳之助が悪徳企業“時間銀行”に勤める世界一冷酷な男・灰原ルイを、韓国出身の女優シム・ウンギョンが新種の“消えちゃう病”を患う世界一感情が激しい女・Mを演じる。

 また、作・演出を手掛けるのは、第33回サンダンス映画祭(ショートフィルム部門)で日本映画初のグランプリを受賞した長久允。今回、世界からも注目を集めている本作で初共演を果たす坂東とシムに、お互いの印象や稽古場での様子、作品にまつわる興味深い話を語ってもらった。

――最初に出演の依頼を受けた時は、どのように思われたのでしょうか?

坂東 「まず、ミュージカルということで、『本当に僕に来た話ですか?』と聞きました(笑)。僕は、歌がとても苦手で、人前で歌うことは極力ないようにしたいと思っていたものですから…。『歌わない役だから大丈夫』ということで脚本を読ませていただいたら、確かに歌っていなくて、しかも、歌わないことが物語の中で意味のあるキャラクターだったんです。脚本だけでは分からない部分がありましたし、どのような演出になるのかも想像がつかなかったのですが、“面白い作品になりそうだな”という予感がありました。さらに、コロナ禍で舞台に立つ機会が減っていたタイミングにお声掛けいただいたことも合わさって、やらせていただく決心をしました」

シム 「以前、『良い子はみんなご褒美がもらえる』(2019年)という作品に出演させていただいて、舞台の難しさを実感しました。なので、“次に舞台をやるのはもう少し成長してから…”と思っていたのですが、わりと早い段階でまた呼んでいただけて、最初はとても悩みました。私も、巳之助さんと同じように『本当に、長久さんは私とやりたいとおっしゃったんですか?』と聞きました(笑)。舞台経験も少ないですし、日本語も難しいですし、本当に自分がこの作品をやってもいいのか、最後までやることができるのか、新しい挑戦に不安がありました。でも、Mはこれまで演じたどの役ともかぶっていなくて、私がやってみたいと思う役の姿に近かったんです。長久さんの演出で、Mという役を演じてみたいと強く思えたので、頑張って壁を乗り越えたいという気持ちでお引き受けしました」

――お二人は今回が初共演ですが、それぞれどんな印象を持たれていたのですか?

坂東 「妻が韓国のドラマや映画がすごく好きなんです。今は子どもが中心なので夫婦でテレビを見る時間も少なくなってしまいましたが、妻の出産前は僕も一緒に見ていました。韓国の俳優さんたちは覚悟が違うというか、真摯(しんし)ですてきなパワーを持っている方が多い印象で、シムさんもその中のお一人。実際にご一緒させていただいて、ストイックさや熱心さを感じています。日本語があまり得意ではないとおっしゃいますが、少しでもイントネーションが違うとすぐ修正して、ものすごく努力されている。とても素晴らしい役者さんだなと思います」

シム 「ありがとうございます。今回、巳之助さんと共演できることを楽しみにしていました。歌舞伎とは演技のトーンや動きがまるで違う作品での共演ですが、舞台上でどのくらい声を出したらいいのか、どのようにバランスを取ってお芝居を見せたらいいのかなど、舞台上での立ち居振る舞いは巳之助さんのお芝居から学んでいます。巳之助さんが演じる灰原は、大きな芝居や動きはあまりない役なのですが、巳之助さんはただ立っている姿だけで存在感があって、演技が安定している。私も頭では分かっているのですが、実際やってみるととても難しいです」

坂東巳之助&シム・ウンギョン☆世界も注目する、摩訶不思議な恋を描いた舞台で共演!

――稽古場はどんな雰囲気ですか?

シム 「突然、皆さん踊りますよね(笑)」

坂東 「あれはびっくりしたね(笑)」

シム 「私と巳之助さんだけがボーッとしてしまって…(笑)。(共演の)菅原(小春)さんが『パプリカ』のメロディーをかけたら、皆さんが踊りだしたんです。私は気になったことがあると我慢できずに質問をしてしまうタイプなので、『今、どうして踊るんですか? 振り付け前のウオーミングアップですか?』と質問してしまいました(笑)」

坂東 「振り付けの辻本(知彦)さんと小春さんが『ぶっこんじゃおうぜ』みたいな感じになって、突如始まったらしくて(笑)。みんなが盛り上がって動き回るシーンの稽古だったので、1回踊って身体をほぐすというか、テンションを上げようといった意図だったみたいですよ。物語上、灰原とMはみんなと違って立っているだけで正解だったと思います」

シム 「なるほど。そうですね(笑)」

坂東 「長久さんも一緒になって踊っていましたよね(笑)」

シム 「そうですね。稽古場はとにかく自由な雰囲気です。私も自分の中から出てくるさまざまなお芝居を試しています。本当は人見知りで自分から出していく性格ではないのですが、長久さんが優しく見守ってくださるので、“やってみよう”と勇気が湧いてくるというか…。自分の中の恥ずかしさをなくさないと本番の時に困るので、必死です(笑)。巳之助さんの力もお借りしながら、自信を持って演じられるように頑張っています」

――巳之助さん演じる灰原は、あらゆるものを無駄だと排除しますが、お二人が取り上げられたら困る“無駄”は何ですか?

坂東 「灰原が無駄だと言いそうなものでなくなったら一番困るものは、お酒です(笑)。酒の席よりもお酒自体が飲み物として好きなんですよ。嗜好品として。もちろん人と楽しく語らいながら飲むのも好きですが、単純に“お酒はおいしいな”と思って飲んでいる時間が好きなので、それはちょっと取り上げないでほしいですね」

シム 「私は音楽を聴く時間です。灰原は音楽も一切聴いてないのですが、私は音楽がないと感受性が鈍ってしまい、お芝居のことも考えられなくなってしまうと思います。音楽に影響されることが多いので、1日休みながら、音楽をゆっくりと聴く時間は本当に大切です」

――この作品は灰原とMという、まるで正反対の2人が出会って恋に落ちるラブストーリーです。お二人は正反対の相手にひかれることはありますか?

坂東 「僕はあまりないかもしれないです。恋愛に限らず、正反対の人はひかれないというか、距離感を保ちつつ仲良くします(笑)。受け取れるものは受け取って、許容できないものは許容しない。程良い距離感をキープしたいタイプです」

シム 「私は正反対とかそういうことはあまり関係ないと思っています。Mは運命を信じていますが、私も同じで、恋愛にも友達にも絆があって、会うべき人とはいつか会うと思っているんです。だから、“正反対の人は苦手だな”という考え方もあまりしません。正反対でも会うべき人とは出会うと思うので!」

――灰原は無駄だと思っていた恋に落ちたことで考え方が変化していきますが、お二人には何か変化はありましたか?

坂東 「僕は無駄なことが大好きなので、改めて無駄なことをしていたいと思いました。ただ、無駄なことをするにも時間が必要ですよね。今まで僕は、ゆっくり無駄な時間を過ごすために、違う無駄を廃してやるべきことをやってきたんだと気付きました」

シム 「私もMのように傷つきやすいというか、自分が嫌になったこともあったし、“もっと強い心を持たなきゃ”と思うこともありました。そんな中で、この作品は、『そのまんまのあなたでいいよ』と言ってくれている感じがするんです。『ありのままの自分が一番』というメッセージが伝わってくる、今の時代だからこそ必要なお話だと思います」

坂東巳之助&シム・ウンギョン☆世界も注目する、摩訶不思議な恋を描いた舞台で共演!

【プロフィール】

坂東巳之助(ばんどう みのすけ)

1989年9月16日、東京都生まれ。乙女座。O型。歌舞伎役者。95年に二代目坂東巳之助を襲名。「世界の街道をゆく」(テレビ朝日ほか)ではナレーションを担当。

シム・ウンギョン

1994年5月31日、韓国生まれ。双子座。B型。映画「新聞記者」で第43回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞。主演映画「椿の庭」が4月9日公開。

【作品情報】

坂東巳之助&シム・ウンギョン☆世界も注目する、摩訶不思議な恋を描いた舞台で共演!

「ミュージカル 『消えちゃう病とタイムバンカー The Vanishing Girl & The Time Banker』」
4月17日~25日 東京・東京芸術劇場 プレイハウス
4月30日~5月1日 大阪・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ

映画監督の長久允が作・演出を務める話題作。人の時間を搾取する世界一冷酷な男・灰原(坂東)と、“消えちゃう病”を患う世界一感情が激しい女・M(シム)との恋の行方は!?

【プレゼント】

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(応募期間:2021年3月31日正午~4月7日午前11:59)

ハガキでの応募方法は「TVガイド」4月9日号(P98)をご覧ください。
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取材・文/石本真樹 撮影/蓮尾美智子 ヘア&メーク/伏屋陽子(ESPER) 
スタイリング/藤長祥平[坂東]、吉田恵[シム]  
衣装協力/BAGUTTA/TOMORROWLAND、Paraboot/Paraboot AOYAMA[坂東]



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