【「でっけぇ風呂場で待ってます」脚本担当の人気コント師インタビュー②】空気階段・水川かたまり☆単独ライブにも生かされたドラマ初脚本での“学び”2021/03/19
北山宏光と佐藤勝利がダブル主演を務める銭湯コメディー「でっけぇ風呂場で待ってます」(日本テレビ)で脚本を手掛ける人気コント師へのインタビュー企画。今回は、水川かたまりが登場。
2019年、20年と連続で「キングオブコント」決勝進出の人気お笑いコンビ・空気階段。2月に行われた単独ライブ「anna」はプラチナチケットとなり、配信チケットの売り上げも1万枚を突破。鈴木もぐらとコンビを組む水川は、本作で初めてドラマ脚本を手掛けた。水川が初挑戦で学んだこと、普段のコントの作り方、そしてこれからの展望とは?
――水川さんは「でっけぇ風呂場で待ってます」で4話と8話、2本の脚本を担当されていますね。今回が初めてのドラマ脚本とのことでしたが、どんなふうに物語を作っていきましたか?
「ニセ外国人留学生が『鵬の湯』にやって来るという4話は、大本となる設定を一度、空気階段のコントとして考えたことがあったんです。細かいシチュエーションとかは全然違うんですけど、『外国人留学生が日本人だった』という大枠はそこから引っ張ってきました。担当回には相方をゲストで出そうという話があったので、じゃあ(鈴木)もぐらを留学生にしようというのはすんなり決まりました」
――そう言われると、確かに4話は空気階段らしさを感じますし、連続ドラマの中では異質な展開で、それが面白さにつながっていた気がします。一方の8話は登場する人数も多いですし、ドタバタ感がより増していて、4話とはだいぶ方向性が違いますね。担当する2本をガラッと変えたのは意図的なものですか?
「あ、そうですね。4話はもぐらが中心になっていることもあって、ある程度自分でも計算がつきましたし、あくまでも普段のコントの延長線上で書けるなという感じで。ドラマの演出を手掛けていて『有吉の壁』の総合演出でもある橋本(和明)さんにも『1本書いて何となく分かったと思うから、もう1本はもっとやりたい感じでやっていいよ』と言っていただいたんです。確かに4話の読み合わせを通じて、雰囲気がある程度把握できたんで、もうちょっとバタバタした、絵的に面白いものがいいのかなと思って8話を作っていきました」
――それで、テレビ取材というイベントに加えて、“お風呂の神様”が登場するというファンタジックな展開に。
「神様を演じてくださった前野朋哉さんとは同郷で、一度ご一緒したことがあるんですけど、今回も出てくださるということだったので、じゃあバタバタを起こす役割として神様を登場させよう、それを前野さんに演じていただこうと思って」
――水川さんも配達員役で撮影現場にいらっしゃったと思いますが、実際にご自分の書いた脚本の撮影を目の当たりにして、どう感じましたか?
「とくに8話はアドリブというか、(松見芯を演じる)北山(宏光)さんに丸投げしたシーンがあったんですよ。でもそこに北山さんが『こんなのがあるんですけど』ってすごく提案してくださって、めちゃくちゃ良いシーンになったと思います」
――脚本を担当したほかの3人(シソンヌ・じろう、かが屋・賀屋壮也、ハナコ・秋山寛貴)の本を読んでどう感じましたか?
「3人とも、それぞれコンビやトリオでやっているコントの感じがやっぱりどこか漂っていて、それがすごく面白いなって思いました」
――賀屋さんにインタビューした時、「プロデューサーさんがいつも『(水川)かたまりさんの脚本が遅れている』と言っていた」と伺ったのですが、執筆はかなり難航されたんですか?
「いや、執筆は関係なくて、単純に個人的な理由で、ちょうど離婚するかもしれないという時期で…」
――すみません!
「いや、全然大丈夫です(笑)。なのでちょっとバタバタして遅れてしまって。でも本当にいざドラマを書いてみて、普段のコントとは違う“ドラマ性”の部分はすごく勉強になりました。僕が最初に書いた脚本は分量的に足りなくて、打ち合わせで『もう5ページくらいないと30分にはならないな』『ここでこういうドラマの要素を足していけば、ほかの部分も際立ってくるんじゃない?』とか、かなり教えていただいて。コントだと、とりあえずボケを詰め込んで詰め込んでって作っていきますけど、ドラマはそれをいい意味でそいでいって、ベースのストーリーに厚みを持たせた方がいい。そういう部分は本当に学べてよかったなって。コントって、だいたいワンシチュエーションで、このドラマもシチュエーション・コメディーではあるんですけど、時間を戻したり、回想を入れたりっていう、映像ならではの展開が入れられたのも面白かったですね」
――先日開催された空気階段の単独ライブ「anna」は、賞レースに向けたコントが並んでいるというような構成ではなく、2時間で一つの作品になっていて、とても豊かな公演でしたね。
「そうですね、単独ライブは普段のコントとは別で考えているので、賞レースのこととかは全く考えないです。賞レースは賞レースで考える感じです」
――ラストにかなり長尺のコントがありましたね。一組の男女の学生時代と10年後を描いていて、もちろん笑いの部分もふんだんにありながら、感動もする作品になっていました。特にコント中に銀杏BOYZの「夢で逢えたら」が流れるシーンはとてもドラマチックでした。
「あのシーン、実はオリジナルソングを作ってあったんですよ。でも舞台で流してみたら、『あんまりよくないな』ってなって。あの場所でかかる曲は絶対にいい曲じゃないといけなかったから、急きょ前日に変更したんです」
――そんなことが!
「でも、あのコントは、このドラマで勉強できたからこそ作れたと思います、本当に」
――水川さんは爆笑問題のラジオを聞いて芸人を目指したと伺いましたが、なぜ漫才ではなくコントを選ばれたんですか?
「単純に、最初にやって怒られなかったのがコントだったからっていう。爆笑問題さんに憧れて、最初は当然、時事漫才をやりたかったんですけど、NSC(吉本興業の養成所)で漫才をやったら講師の方に怒られて。でも、コントをやってみたら、あまり怒られなかったから…くらいの感じでコントを選びました。漫才とコント、両方は器用じゃないからできないな、どっちかがいいなとは最初から思っていたんです」
――普段コントを書かれる時は、どんなふうに作られるんですか?
「最初はまず設定ですね。なんとなくのシチュエーション。例えば、『電車で1人で大声を出して騒いでいるおじさんが優しい人だったら』くらいの設定があって、そこからキャラクターとか展開を考えていく感じです」
――相方の鈴木もぐらさんのキャラクターは、設定の後に考えるんですか?
「はい。最初は本当にフラットに設定だけ。で、『もしこの設定をもぐらがやるんだったら』というのを後から考えていって、その設定に合うキャラクターをやってもらいます」
――空気階段のコントには、もぐらさんの雰囲気や人柄を生かした魅力的なキャラクターが登場します。それは水川さんがもぐらさんをよく見た上でコントを作られるからだと思うのですが、ご自身のキャラクターについてはどんなふうに作っていかれますか?
「僕はあんまり“こういう感じ”というのがないんですよね。たぶん、自分で自分のことをあんまりちゃんと見られていないというか、どうやったら面白くなるのかが分かってないのかなと思っていて…。だから、僕がボケのコントとかは、もぐら発信のことが多いですし」
――そういう分担があるんですね。先日の単独ライブでは水川さんが「洗濯機で自分を洗う男」という癖の強いキャラクターを演じているコントがありましたが、ああいうコントはもぐらさん発信ですか?
「あ、あれは僕です。最初にシチュエーションがあって、どっちがやろうかと相談して、『どっちでもいいね』ってなって、僕が洗濯機の方をやることになりました」
――なるほど、そうやって話し合いで決めることも。最初の設定を考えるために、何か意識していることはありますか?
「僕は芸人を始めてからずっと、毎日携帯にメモをつけているんです。今日はどこに行って、誰とどんなことを話してっていうのをざーっとメモしていて、それを寝る前に『なんか設定になるものあるかな』って見返すっていうのが日課で。一時期、映画も何かのヒントになるかなと思って意識して見ていた時期があるんですけど、そうやって見ていると映画を集中して見られないし、作業みたいな感覚になってきちゃったのでやめました。だから、それよりは、やっぱり普段の生活の中からが多いです。後から映画とか漫画のシーンを思い出して加えていくことはありますけど」
――今回初めてドラマ脚本を経験されて、単独ライブの反響も大きくて、水川さんの活動の幅が広がっているように思いますが、今後はどんなことをやりたいと考えていますか?
「そうですね。せっかく一度ドラマを経験させていただいたんで、今後もいろいろ書いてみたいなとは思います。本当に勉強になったので、コンビのライブにももっと還元していきたいですし。あと、サッカー番組のMCがやりたいです。言っていたらいつかかなうかなと思って、これは最近必ず言うようにしてるんです(笑)」
【プロフィール】
水川かたまり(みずかわ かたまり)
1990年7月22日、岡山県生まれ。蟹座。AB型。2012年に鈴木もぐらと空気階段を結成。「キングオブコント2019」「~2020」ファイナリスト。「有吉の壁」(日本テレビ系)、「空気階段の踊り場」(TBSラジオ)などに出演中。2月に行われた単独ライブ「anna」のDVDが5月19日に発売。
【番組情報】
「でっけぇ風呂場で待ってます」
日本テレビ
月曜 深夜0:59~1:29
【あらすじ 第8話】
若者に人気のインフルエンサー・ぱるきがテレビ取材で「鵬の湯」にやって来ることになり、それに備えてシミュレーションをする松見(北山)と梅ヶ丘龍大(佐藤勝利)。しかし、梅ヶ丘が再現するぱるきのテンションについていけないと感じた松見は、「テレビとか出なくても勝手にお客さん増えねーかなー」と神棚に向かってぼやく。すると突然、2人の前に神様(前野)が現れ…。
【プレゼント】
サイン入り生写真を1名様にプレゼント!
応募はコチラ→https://www.tvguide.or.jp/news/present/
(応募期間:2021年3月19日午後7:00~3月24日午前11:59)
ハガキでの応募方法は「TVガイド」3月26日号(P82)をご覧ください。
「TVガイド」の購入はコチラ→https://honto.jp/cp/netstore/recent/tokyonews-book/01.html
取材・文/釣木文恵 撮影/Marco Perboni
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