「半沢直樹」だけじゃない!「恋つづ」「MIU404」「ナギサさん」ほかTBSが上位独占。 2020年ドラマ録画視聴年間ランキング発表2021/01/28
今回は、関東60万台超の東芝レグザの視聴データをもとに毎週紹介している「地上波録画視聴ランキング」を集計した「年間ドラマ録画視聴ランキング2020」を大発表! 新型コロナウイルスの影響で、新作ドラマの制作や放送がストップするという未曾有の事態となった2020年のテレビドラマを、録画視聴という形で多く視聴された順にランキング化した。一般的な世帯視聴率とは異なる、本当に視聴者が支持したドラマとは一体何だったのか? 衝撃の結果をお伝えしよう。
まずは20年に地上波で放送されたすべての連続ドラマを、放送回ごとに集計した「放送回ランキング」の年間ベスト30を発表する。個々のポイントは1位を100とした場合のそれぞれの割合である(以下同)。
衝撃のベスト30。すべての放送回をTBSのドラマが独占している。ほぼベストテンを独占している「半沢直樹」をはじめ、「私の家政夫ナギサさん」 「МIU404」といった4~7月クールのドラマが特に強いが、1月や10月のクールでも録画視聴ランキングにおけるTBSドラマの強さは際立っていた。31位以下を見てもまだまだTBSドラマばかりが続き、放送回ランキングでTBS以外のドラマが登場してくるのは、50位の日本テレビ「極主夫道」(第1話)が最初。次いで51位のフジテレビ「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」(第4話)となる(最初に出てくるのが「極主夫道」というのも結構意外である)。
続いて、各ドラマの録画視聴ポイントの全話平均値を高い順に並べた「平均録画視聴ランキング」の年間ベスト30を見てみよう。
20年はなんといっても「半沢直樹」である。その強さは圧倒的で、ほかの追随を全く許さなかった。「半沢直樹」の場合、世帯視聴率でも記録的な高視聴率をマークしており、リアルタイム視聴・録画視聴の双方で爆発的な人気を集めたという希有な例であった。視聴年齢層も幅広く、コロナの影響などで在宅傾向が高かった40代以上の支持だけでなく若い層への浸透度も高い、まさに国民的注目を集めたドラマだった。2020年のみならず、長くテレビドラマ史に残る作品だったと言える。
2、3位に入ったのも「半沢直樹」同様、コロナの影響で7月クールでの放送となったTBSの2作品「私の家政夫ナギサさん」「МIU404」。共通して言えるのは、ドラマとしての出来栄えもさることながら、SNSなどでの反響の大きさが、録画視聴数に大きく影響した。20年のTBSドラマはこの戦略がとてもうまくいっていた。4、5位には1月クールのTBSドラマ「テセウスの船」と「恋はつづくよどこまでも」が並んでランクイン。6位には第1~4話までの放送となった「おカネの切れ目が恋のはじまり」、8~10位にも10月クールの3ドラマ「この恋あたためますか」 「危険なビーナス」 「恋する母たち」と、TBSドラマがベストテン中9作品を占めるという結果となった。
特記すべきは5位に入った「恋はつづくよどこまでも」である。佐藤健扮する“魔王”こと天堂浬先生のツンデレ人気が爆発、上白石萌音が演じたけなげな主人公・“勇者”こと佐倉七瀬への好感度も高く、胸キュンドラマとして大きな盛り上がりを見せた。結果、SNSでの盛り上がりと録画視聴の増加によって作品の価値を押し上げた典型的な成功例となり、以降TBSの火曜10時枠ドラマは基本的にこの“胸キュン路線”を踏襲。SNSと録画視聴での盛り上がりを世帯視聴率にフィードバックさせるというやり方で成功を収めている。火曜10時枠がパターンを固めたことが、ほかの日曜9時や金曜10時の枠にもいい影響を与えており、これがTBSドラマ全体の好調につながっていると思われる。
TBS以外で最も高い順位だったのが、7位の石原さとみ主演「アンサング・シンデレラ 病院薬剤師の処方箋」(フジテレビ)。世帯視聴率でも好調だったテレビ朝日の「BG~身辺警護人~」は11位。日本テレビのドラマは12位以降にズラリとランクインし、個々の作品ではなく総体としての存在感を示している。
続いて午後11時以降スタートの深夜帯ドラマの平均視聴ランキングを見てみよう。
ネット配信との連動の影響もあり、近年作品数が大幅に増えている深夜ドラマ。ランキングを見ても注目作が多くランクインしている。以前から午後11時台に力を入れているテレビ朝日のドラマが上位を独占しているが、コロナが直撃した4月クールのドラマが1、2位を占めているのが目を引く。特に2位に入った「М 愛すべき人がいて」(テレビ朝日)は、田中みな実の怪演もあり大きな話題となった。
今度は「最終回継続率」のランキングを見てみよう。最終回継続率とは、最終回のポイントを初回のポイントを割った数値。最終回継続率が高い(=初回に比べて最終回のポイントがより高い)ということは、作品の内容に対する満足度がより高い傾向があるのではないかという仮説に基づいた検証である。20年の年間ベスト20はこちら。
初回の視聴数が少なくても最終回までの伸びが大きいドラマを見つけ出せるのが、このランキングのミソなのだが、20年は総合ランキングでも上位を占めたTBSのドラマがズラリと並んだ。トップに立ったのは「恋はつづくよどこまでも」。ムーブメントの盛り上がりが証明された形だ。2位「テセウスの船」、3位「私の家政夫ナギサさん」までが、継続率150%を超えていて、満足度の高さを物語る。4位の「半沢直樹」に至っては、初回のポイントが「テセウスの船」の最終回のポイントとほぼ同じレベルだから、そこから145%以上伸ばしているというのは本当にすごい。また、ベスト20にランクインしたすべてのドラマが継続率100%を超えていて、比較的満足度の高いドラマが多かったことが分かる。
続いて深夜ドラマの最終回継続率ベスト20。こちらは8本が継続率100%を超えている。144.2%の高ポイントでトップに立ったのはNHKの千葉雄大、伊藤沙莉共演の「いいね!光源氏くん」(4月スタートで中断せず全回放送された数少ないドラマの一つだった)。傑作・話題作の多い「よるドラ」枠作品である。2位には映画「カメラを止めるな!」の濱津隆之主演「絶メシロード」(テレビ東京)、3位には「М 愛すべき人がいて」同様、ドロドロ恋愛模様が話題となった「ギルティ~この恋は罪ですか?~」(日本テレビ)が入った。
ステイホームで在宅率が高くなっている今、配信ドラマの需要が高まる一方で、テレビドラマならではの可能性も大きく広がってきているともいえる。ウィズコロナと呼ばれる新しい時代の始まりである2021年は、どんなテレビドラマが私たちを楽しませてくれるのか。今後もテレビの新しい見方を紹介していくので、お楽しみに!
文/武内朗
提供/東芝映像ソリューション株式会社
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