光秀役の山田孝之の顔が出てこないのはなぜ? 「光秀のスマホ 歳末の陣」で気になったことを制作陣に聞いてみた!2020/12/25
戦国武将がスマートフォンを持っている世界をドラマで描いた戦国SF時代劇「光秀のスマホ」(NHK総合)が戻ってきます! 主人公・光秀(山田孝之)がスマホの画面に一喜一憂している姿が描かれているのですが、光秀の顔は全く映らず、ほぼスマホ画面だけで成立しちゃっているドラマに衝撃を受けた人は多いはず!
12月25日放送の「光秀のスマホ 歳末の陣」では、これまでに放送された5分×6話に、ライバル・羽柴秀吉(和田正人)の視点から見た「本能寺の変」に至るまでの出来事が新しく加わります。前回放送された「光秀のスマホ」では、腹黒い秀吉像が描かれていましたが、秀吉側から見ると、また違う景色が見えてくるとか。そんなドラマがどんなふうに作られたのかなど、記者が気になったことを制作陣に聞いてきました!
制作のきっかけが気になる!
――ほぼスマホ画面だけで物語が進んでいく「光秀のスマホ」は、どんなきっかけで制作されたんですか?
「それには三つの出来事がありまして…。2018年にベルギーの方が制作された、スマホをセンターに据えた衝撃的なドラマに出合ったんです。クラブに出かけた女の子が泥酔し、昨日の記憶がないのでスマホを調べると、大変な目に遭っていたことが徐々に明らかになるという、ちょっと怖いドラマなんですが、主人公の顔がほとんど出てこず、スマホでのやりとりだけでドラマが展開しているんです。それが今まで見たことのない、すごくいい演出方法だったので、これを生かして番組を作れないかなと思っていました」
――確かに、ベルギーのドラマを見せてもらいましたが、斬新な手法ですね。
「また当時、『ネーミングバラエティー 日本人のおなまえっ!』(NHK総合)を企画していたんですが、司会を担当される古舘伊知郎さんに持ち味を発揮してもらう方法はないかなと考えていた時に、古館さんが過去に起きた事件のドラマを見ながら実況中継をする『古舘トーキングヒストリー』(テレビ朝日系)を見て、第1回が忠臣蔵、第2回が本能寺の変だったんです。最新の研究で分かったことを交えて実況していて、良くできた番組だなと」
――その番組、拝見していました。古館さんの流ちょうな実況と新しい事実にワクワクしました!
「そしてもう一つ、世界的に若い人が歴史番組に触れる機会がなくなっていて、歴史を現代にうまく伝える番組が求められていたこともありました。その三つが組み合わさって、2018年の春先に『信長のスマホ』というタイトルで企画を思い付いたんですが、いろんな問題があったので却下されたんです」
――元々は「信長のスマホ」だったんですね! しかも却下されていたとは…!
「そうなんです。しかし、2019年に大河ドラマ『麒麟がくる』のクランクインのニュースを見て、『もう一度光秀で企画を書いちゃおう!』と。そしたら、セットを組まずに大河ドラマの背景を使えるかもしれないということもあり、企画が進んでいったという次第です。『日本人のおなまえっ』には全く役に立っていないんですけどね(笑)」
――では、「麒麟がくる」の放送がなかったら「光秀のスマホ」は誕生しなかったかもしれないですね!
「そうですね。『麒麟がくる』が来てくれたおかげです(笑)。実は知っている歴史だということも大きくて。“本能寺の変”は大体みんなが知っているので、それにスマホを入れ込んだら“面白そう”って興味を持ってもらえるかなと思っていました」
キャストが気になる!
――そうやってできた「光秀のスマホ」は、5分×6本というミニ番組であるにもかかわらず、光秀役は山田孝之さん、秀吉役は和田正人さん、信長役は島﨑信長さんと実に豪華なキャスト陣がそろっていますよね! そんな中で、声優さんの島﨑さんは声を生かすために出演されていないのだと思いますが、俳優である山田さんの顔が写らないのはなぜですか?
「有名な俳優さんが登場することで、『この俳優さんを見たいからという方がいるのでは?』という話もあったのですが、光秀は出さない方がいいんじゃないかと思っていました。変わった番組だなと思ってもらえますし…」
――なるほど。すると、山田さんは顔が写らないことになりますが、それについてはいかがでしたか?
「山田さんに『顔は出ないんですけど…』と伝えたら『顔が出ないなら出ます! 一切出さないでください』と言ってくださって。面白がっていただけました」
――山田さん、さすがですね!(笑)。では、島﨑さんにオファーされた時はいかがでしたか?
「島﨑さんは優しいタッチの声なので、森蘭丸の声をやることが多かったそうです。光秀もやったことがあるそうで、信長の周りの人の声を結構担当されていたみたいです。今回の信長は、現代で言うと青年実業家でベンチャー企業を立ち上げ、イケイケゴリゴリでちょっとパワハラ気質みたいなイメージがすごいあったので、若い感じの方が良いなと思ってお願いしました。決して名前で選んだわけではないのですが、『怒られないかな?』とドキドキしながらお声掛けしたところ、すごくノリノリで演じてくださいました」
――撮影中に役者陣から提案があったりしたんですか?
「ありました! まず、秀吉の『御意、御意』は和田さんのアドリブです。リハーサルで言われて『それ、絶対ください』とお願いしましたね。それに合わせて、山田さんにも『御意、御意って何だよ』と言ってもらいました。それと光秀がスマホを触りながら、ボソボソとつぶやく場面は、脚本には書いてないので、すべて山田さんのアドリブです。さらに、秀吉にフォロワー数を抜かれる場面について、当初は怒ってスマホをたたきつける予定だったんですが、山田さんから『フォローを外すのはどうですか?』と提案されて(笑)。『ふんぬ~!と怒った後、ふう~と一息ついてフォローを外す』、これ、最高だなってなりました。確かに今回の光秀っぽい。激情ではなくて、こすいというか…(笑)」
――フォローを外したところで、1人しか変わらないのに外す感じは光秀っぽいですよね(笑)。
「そう、1人しか変わらないのに(笑)。でもきっと後でフォローし直すんですよ。やっぱり秀吉が気になっちゃって(笑)」
――今回の新作パートには田中みな実さんが秀吉の妻・おねとして登場されるそうですね!
「田中さんも顔出ししないことについては何も言われませんでした。前回は全6話を2日のロケで終えたんですが、今回はクランクインの日がクランクアップの日という1日のロケだったんです。スケジュールが短いのに役者ができるということもあったし、経験としてやりたいと思ってくださったようです」
――新作は秀吉の視点であるところが面白く、しかも、おねがとても興味深いキャラクターとして登場しています。史実としては信長とは書状で交流したことが分かっていますが、それをベースにされたのですか?
「脚本の竹村(武司)さんの創作によるところが大きいですね。前回の放送後、秀吉がすごい悪者のように言われて。『ああいうやついるよね』『嫌だよね』『怖いわ』という声が多かったんです。でも秀吉にも理由があると。嫌なやつだと思っている人にもいろいろあるということを描いてみようと、秀吉側からの視点で描くアイデアが出ました。おねに関しては、ベースがないのに完全創作してしまうのは面白くない、ある程度歴史の裏打ちがあって、それを現代的にスマホに落とし込むことが面白いと思ったので、実際に発言権があったことや自由に動かせるお金を持っていたこと、政治に口を出していたということをベースに物語を膨らませてもらいました。おねと信長との接点は残っている手紙から想起して膨らませました。秀吉の浮気について信長に相談をしているのは事実で、現代で言えば、夫の不倫を上司に相談に行った時にありそうなことを竹村さんが考えてくださいました」
アプリが気になる!
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