撮影でも未知の病気と闘う“赤ひげ”!! 主演・船越英一郎が語るシーズン3の撮影風景とは!?2020/11/04

　NHK BSプレミアムで放送中のBS時代劇「赤ひげ3」。江戸時代、貧しい人たちのために作られた小石川養生所を舞台に、恐れや親しみを込めて“赤ひげ”と呼ばれる所長・新出去定（船越英一郎）と若き医師たちが、さまざまな悩みを持った人々への医療に奮闘する人情ドラマです。今回はレギュラーメンバーに加え、養生所に新たに女だてらに医術の心得があり、ひねくれた性格の若い女・つぐみ（優希美青）が加わり騒動を巻き起こしていきます。

　このたび「赤ひげ」を3度演じる主演の船越英一郎さんが、収録中の苦労や作品に対しての思いを語ってくれました。

　赤ひげこと、新出去定を演じた船越さんは今回の収録に関して「『赤ひげ3』は4月にクランクインする予定でしたが、コロナ禍の影響で約2カ月にわたり撮影をすることができない状況でした。そんな中、辛うじて6月から収録を始めました。もちろんコロナなんて経験したことのない未知の状況ですから、マニュアルがあるわけではありません。スタッフの皆さんが保健所の方たちとマスクとマスクで向き合いながら、われわれ独自の撮影マニュアルを作り上げてくれました」と撮影が始まるまでの並々ならぬ努力を明かします。

　具体的に実施した対策について、「巨大なセットのある体育館の前に仮設手洗い場を10個作りまして、全員が手洗い、うがいを徹底する。そして、足底まで消毒もする。それからセットに入る前に検温があり、対策を徹底して中に入ります。セットはというと、前の日から一晩かけてスタッフが総動員で毎日消毒してくれました」とセットも徹底して消毒していたよう。

　さらに、「スタッフは当然マスクとフェイスシールド着用でしたが、われわれは時代劇の衣装でマスクができませんでした。ですので、世の中に広まる前にフェイスシールドを自前で持ってきたら、みんなが非常に驚いてくれました。マスクでは表情を読み取れないものですから、以降レギュラー陣はフェイスシールドを着用することになりました。しかし、女優さんたちはカツラがフェイスシールドに干渉するというのでスタッフが改良を重ね、鼻だけで止まるように改良や工夫をしながら撮影に臨みました。撮影もワンシーンが終わるたび、スタッフ全員が外に出て可能な限り換気と消毒をもう1回施す。われわれはワンシーンが終わるたびにうがい、手洗いを徹底していました」と時代劇ならではの苦労も。

　撮影中の食事に関しては「体育館の前に運動会に張るテントをいくつも設置し、そこにテーブルを両サイドに置き、全員が背中合わせになりながら、黙々と食べるだけでした。お弁当もデリバリーの車が毎日来てくれて、そこで徹底した衛生管理のもとに調理をしたものをすぐに食べました。そういう徹底した状況下で撮影をさせていただいたのは、本当に制作スタッフの心には頭が下がる思いでした」とスタッフの方々に深く感謝していらっしゃるのが印象的でした。

　シーンの撮影においても「これで安全という答えはなく、僕たちもテストまではゴム手袋を着用し、食べるシーンは一口食べて、終わったらテストだろうが本番だろうが全部取り替える。そこまで徹底したものですから、撮影日数がどんどん増えて大変でした。それだけ、極限状態の中での撮影でわれわれの結束も固まりました。そういう状況だからこそ作品に懸ける思い、スタッフの力があふれていると思います。このスタッフの皆さんの力を借りながら、全てのエネルギーがそこに集約したんだなというような、そんな熱い現場でもありました。その力強さが、絆の強さが、この作品に必ず反映されていると思っております」と苦労がありながらも一致団結して撮影できたのは、座長のけん引する力あってのことなのかなと感じます。

　また、「赤ひげ」の世界観に関し、「このコロナという全世界に蔓延したもので全く未知な病と闘う中で、打破する手段がない。この医療従事者の皆さんの焦燥感、それから危険と向き合って、また自身の無知とも向き合わなければいけない状態が、作品のテーマに大きく重なる部分があるような気もしながら、われわれも気を引き締めてこの作品作りに臨みました。まだ『赤ひげ3』は終わっていませんが、赤ひげを一生続けたいと思っております」と熱い思いを語ってくれました。