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広瀬すずが、ついに最終週を迎える「なつぞら」への思いを明かす!「楽しいと思ってもらえる現場にしたかった」2019/09/21

広瀬すずが、ついに最終週を迎える「なつぞら」への思いを明かす!「楽しいと思ってもらえる現場にしたかった」

 ついに、来週で最終回を迎える連続テレビ小説「なつぞら」(NHK総合ほか)。ヒロイン・奥原なつ(広瀬すず)が、北海道で育んだ開拓精神と想像力を生かし、当時「漫画映画」と称された草創期の日本アニメの世界でアニメーターを目指す姿を描く物語は、多くの人に笑顔と感動を届けてきました。半年間にわたる取材で、記者の中でいつの間にか“広瀬さん”が、“なっちゃん”になっていく、朝ドラの不思議な力を知ることができました。今作以外で活躍されている広瀬さんを見ても、「あ、なっちゃんだ!」と思ってしまうんです。このコラムを執筆していても、名前を間違えてしまうくらい…(笑)。朝ドラ現場にはファミリー感があるというのはよく聞く話ですが、見ている側もファミリーになれる作品だとあらためて感じることができました。

 さて、今回はなつとして、そして座長として、1年強を駆け抜けてきた広瀬さんに直撃インタビュー! 最終週に向けての思いや、これまでの「なつぞら」インタビューの中で気になった話の真相などを伺うことができました。

 インタビュー当日、実はクランクアップだった広瀬さん。放送開始前から第100作目の朝ドラヒロインとして大きな注目を集めていましたが、クランクアップを目前にした心境を伺うと、「自分が20歳を迎えるタイミングで、高校生から子どもを育てるまでの1人の女性の人生を演じる機会をいただいて、試されているなと思いました。自分では100作目というのを意識してきたことはなかったのですが、同世代の俳優さんたちの中では『100作目のヒロインは誰だろうね』っていう話をしていたみたいで、その話を聞いて第100作目の大きさを知りました」と語ってくれました。

 また、「朝ドラの現場は多少キツいこともあると聞いていたのですが、楽しんだもん勝ちだと思ってやっていました。これまでもつらい現場を経験してきましたし、体力的にキツいことより精神的にキツい方が苦手なので。途中からは、『大丈夫?』って聞かれなくなりました(笑)」と明かしてくれました。広瀬さんは、体力面には自信があるようで、「ジムに通っているのですが、朝ドラの期間は撮影の前、早朝に行っていたんです。クランクアップしたら、ちゃんと寝てからジムに行きたいですね(笑)」とほほ笑みながら、サラッと衝撃の事実を明かしてくれました。その場に集まった取材陣からは、驚きの声が漏れていました。もし記者が出勤前にジムに行くなんてことがあれば、午後は寝るしか選択肢はありません…。

 これまでの「なつぞら」インタビューの中で、たくさんの方に広瀬さんの印象を伺ってきましたが、皆さんが口をそろえて、“座長として頼もしい” “台本を読んでいるところを見たことがない”などと、絶賛の声ばかり。そこで、座長として気を付けていたことがあるかと質問すると、「それが特にないんです(笑)。1人だけ毎日現場にいるので、皆さんを迎える側として楽しんでもらえたらとは思っていました。長期で大変だけど、来たいと思って、楽しんでもらえる現場の方が絶対いいと思ったので。人見知りなのですが、そういった意味では今回の現場では割と色々な方とお話をするようにしました」とあくまで自然体でいたとのこと。記者も何度か収録を見学させてもらったのですが、どんな時も楽しそうに共演者の方と笑って話されていたのが印象的でした。

広瀬すずが、ついに最終週を迎える「なつぞら」への思いを明かす!「楽しいと思ってもらえる現場にしたかった」

 現場で台本を読まないことに関しては、「普段から荷物が少ないので、バッグが大きくなるから極力持ってこないようにしていました(笑)。次のシーンなんだっけ?ってなった時は、助監督さんやメークさんの台本をお借りして、チラッと確認はしていました。基本的にリハーサルで完璧にしておきたかったのと、動いてイメージがついたら意外と忘れないんです。元々セリフ覚えはいい方なので、特に何かを意識したことはなかったです。最初の頃は、迷惑をかけられない!と思っていたので、毎日、翌日のセリフをチェックしたりしていたんですが、だんだんやらなくなっちゃいました(笑)。長いセリフも、言っているうちに思い出してきて、それに新鮮味があるんです。そういう‟ライブ感”みたいなものがある方が面白いんじゃないかと思って、ある意味ギリギリのところでやっていました」と明かしてくれました。これは、度胸と才能を持ち合わせていないと到底まねできないですね…。そんな広瀬さんでも緊張したシーンがあったようで、「坂場(一久/中川大志)さんに喫茶店『リボン』で別れを告げる長いセリフのシーンは、今まで一番緊張しました。リハでは1、2回やっただけで、当日も直前に座り位置を確認しただけだったんです。でも、そういう緊張感にあふれた撮影は、個人的に結構好きかもしれません」と真っすぐなまなざしで語る広瀬さんから、お芝居への情熱を感じることができました。

 仕事への情熱といえば、なつのアニメーションへの情熱も相当ですね。作中では、なつが仕事と子育ての間で葛藤する場面もありました。そんななつを演じたことで、その点で考え方が変わった部分があるかと聞かれた広瀬さんは、「妊娠が分かった後も、仕事を辞めたくないと思い続けているなつが、視聴者の皆さんからどう思われるのか、ちょっと反響が気になりました。悪いように見えてしまうのかなとも思っていたのですが、共感をしてくださる方が多くて意外でした。客観的に見ていて、なつは自分のことを優先しすぎじゃないかなってと感じたこともあったんです。でも、オンエアを見てからは、“自分より子どもを優先する”という覚悟は、簡単にはできないなものだなと、あらためて思ったんです。私は、両親が作ってくれた家族がすてきで幸せに感じていたので、早く自分でも家族を作りたいと思っていたんです。でも、実際にそれを実現できる年齢になってから現実と重ねると、なつの葛藤がよく分かりました。本当に小さい頃から、早く結婚したい!と思っていたのですが、なつを演じてからそれがなくなりました(笑)。作品の中で、自分を犠牲にするという、“犠牲”という言葉が出てくるのですが、それは自分の中で数日引きずる言葉でしたね」と、なつの人生から学んだことを、ご自身の思いと重ねて語ってくれました。情熱があるからこその悩み。働く女性にとっては永遠のテーマかもしれませんね。

広瀬すずが、ついに最終週を迎える「なつぞら」への思いを明かす!「楽しいと思ってもらえる現場にしたかった」

 さらに、なつの仕事であるアニメーターを演じたことで、アニメーションへの視点が180°変わったという広瀬さん。「時間をかけて頑張って描いた1枚も、作品の中で一瞬でしか使われないんです。自分が描いていた作品を見に行くシーンもあったのですが、あのシーンってここだけで終わっちゃうんだっていう感覚で。今は、線を描く作業もパソコンでできたりするみたいなのですが、当時は本当に大変だったんだろうなって。線を1本書くだけでも、本当に難しいんです。何十枚も練習したんですけど、やっぱりプロの方の線とは違うんですよね。そういうシビアな世界なんだと思いました」と、なつを通して知ったアニメーションの世界を語ってくれました。記者も「なつぞら」を通してアニメーションの見え方が変わった一人。日本が世界に誇るアニメーションの尊さを、あらためて全国に伝えることができた作品になったのではないでしょうか。

広瀬すずが、ついに最終週を迎える「なつぞら」への思いを明かす!「楽しいと思ってもらえる現場にしたかった」

 さて、なつには三つの家族があり、それぞれ違う温かさがあるのが今作の見逃せないポイント。脚本家・大森寿美男さんも「今作は、ホームドラマなんです」と語っていましたが、それぞれの家族がなつにとってどんな居場所なのか気になるところです。広瀬さんは「どの家族も空気感が違うのが面白いと思います。柴田家は今のなつの原点なので、育ててくれた人たちという感謝の気持ちが常にあるのですが、本当の家族だったらその気持ちは出てこないのかなと思ったり。そこは細かく描かれているわけではないですが、遠慮はないけど、常に分かりやすく“感謝”っていうのがあるんです。それが時に切なさにもなっていて、高校生のなつにとっての葛藤でしたね。「風車」には、本当のお兄ちゃんがいるからなのか、多少乱れが出るというか。環境の変化もあり、一気に立ち振る舞いが変わったなと思いました。三つの家族の中でも、自分で開拓している坂場家はやっぱり一番居心地がいいです。全く遠慮もないし、感情を全部出しても大丈夫だと思えるのは、坂場家だなって感じます」と作中では語られていない、なつの心の内を明かしてくれました。

 いよいよ迎える最終週に向けて、「運や巡り合わせで会えた人々がいるからこその“なつの人生”です。皆さんも自分と重ねて見ていただいて、これまでの人生を見つめ直すきっかけとなる作品になればなと思います」と視聴者の皆さんへの思いを語ってくれた広瀬さん。力強さと謙虚さの両方を持つ広瀬さんの言葉から、より一層“なっちゃん”を感じたインタビューでした。広瀬さん、本当にお疲れさまでした!

広瀬すずが、ついに最終週を迎える「なつぞら」への思いを明かす!「楽しいと思ってもらえる現場にしたかった」

 最終週の舞台は1975年。娘の優(増田光桜)の入学式が行われた春に、なつたちのアニメーション制作は佳境を迎えていました。「大草原の少女ソラ」は人気番組となったものの、放送ギリギリの制作が続き、大沢麻子(貫地谷しほり)はテレビ局からの催促に頭を悩ませることに。そんな中、雨の中運ばれてきた動画が濡れてしまうトラブルに見舞われるのですが、坂場たちの意欲は衰えません。また、北海道では季節外れの台風が十勝を直撃。柴田家は停電に襲われ、電化された最新の牧場設備がストップしてしまい── 。

【番組情報】 

連続テレビ小説「なつぞら」(最終週) 
NHK総合 月~土曜 午前8:00~8:15 ほか
NHK BSプレミアム 月~土曜 午前7:30~7:45 ほか

NHK担当 A・M



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