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広瀬アリスが怒鳴り、渡辺翔太が笑わせる!「神説教」ドラマの仕掛け人が舞台裏を語る2025/04/25 06:00

広瀬アリスが怒鳴り、渡辺翔太が笑わせる!「神説教」ドラマの仕掛け人が舞台裏を語る

 28歳・元ニートの麗美静(広瀬アリス)が、なりゆきで高校教師に。人と関わるのが苦手で声も小さい静が、個性強めな教員陣やクセだらけの生徒たちと向き合いながら、なぜか毎回“説教”を繰り広げることになる。

 現在、日本テレビ系で放送中のドラマ「なんで私が神説教」(土曜午後9:00)は、「怒ることすら、はばかられるこの時代」に、あえて“説教”という行為の本質に向き合った、痛快かつ胸に刺さる新感覚の学園エンターテインメントだ。

 第1話では「いじり」と「いじめ」の境界に立ち向かい、第2話では恋愛に揺れる生徒の思いを受け止め、明日・4月26日放送の第3話では“生徒リストラ”という衝撃の改革に翻弄(ほんろう)される教師たちの姿が描かれる。その唯一無二の世界観はどう生まれたのか? そして作品に込めた思いとは? 本作の企画から携わる藤森真実プロデューサーに、演出の意図や広瀬の起用理由、制作現場の裏側までたっぷりと話を聞いた。

――第1話。静が怒鳴るシーンには驚かされましたが、あの“説教”がむしろ爽快に感じられた部分もありました。広瀬さんの演技を含めて、あの場面にはどのような狙いがあったのでしょうか?

「広瀬さんとはよく話し合いながら、“先生”という立場ではなく、“人”として“人”と向き合うことを意識しようと決めました。単なる教師と生徒の関係を超えて、心からぶつかる“説教”を目指したんです。怒りすぎでは? と思われるかもしれませんが、それを突き抜けて、“人間対人間”の言葉が届く瞬間を大事にしています。特に第1話では『共感した』『刺さった』という反響が多くて、広瀬さんのセリフに現実の厳しさや複雑さがにじみ出ていたからこそ、響いたのかなと感じています」

――「なんで私が」と巻き込まれていく静の姿が物語を動かす導線になっています。回ごとに変わるテーマには、どのような考えがあるのでしょうか?

「脚本のオークラさんとも初期からずっと話していたのが、“大人にも刺さる説教”にしようということでした。第1話の『いじりといじめ』もそうですが、第2話の『好きになっちゃいけない人を好きになる』という恋愛のテーマも、大人でも直面しますよね。不倫だったり、人間関係だったり。若者だけでなく、私たち世代にも『あるある』と感じてもらえる話を描きたいと考えました」

――静が説教をするシーンでは、静が事前に説教について調べている演出が新鮮でした。あれはどのように発想されたのでしょうか?

「学園ドラマでは、先生が生徒に向かってスラスラと説教をする場面が出てきますよね。でも現実では、そんなふうに言葉がすぐに出てくることってなかなかない。人前で話す時は、誰でも準備をするものです。だからこそ、静が生徒に何かを伝えようとする時に、ちゃんと調べて、スマホに書き出して、言葉を練っている姿をあえて描きました。先生だって完璧じゃない、悩みながらも真剣に向き合っている。そんな等身大のリアリティを伝えたかったんです。静は“正論を押しつける”タイプの教師ではなく、どうすれば届くかを考え抜いて、懸命に言葉を探しているキャラクターなんです」

広瀬アリスが怒鳴り、渡辺翔太が笑わせる!「神説教」ドラマの仕掛け人が舞台裏を語る

――主人公に広瀬アリスさんを起用された理由を教えてください。

「広瀬さんって、明るくて爽やかなイメージがあると思うんですが、今回はそのイメージを封印していただきました。前髪を重めにして、眉毛を出さないメークにして、“今どきの20代後半の女性”のリアルな姿を表現してもらいました。広瀬さん自身、SNSなどでも意見をしっかり発信されている方で、静という役に必要な芯の強さを持っている。その人間像にすごく重なる部分があると感じて、お願いしました」

――渡辺翔太Snow Man)さん演じる浦見光先生のキャラクターも目を引きますね。演技や現場の様子をどうご覧になっていますか?

「渡辺さんは『コメディーは初めて』とおっしゃっていましたが、持ち前の前向きさやバラエティーでの柔らかい雰囲気が、浦見先生というキャラクターに本当にぴったりだったんです。渡辺さんの動きやセリフに、広瀬さんを含め周囲が思わず笑ってしまうほど自然体で、コメディの空気を作ってくれています。これまでの“いい人”“恋愛もの”の印象とはまた違った新しい一面を、今回しっかり発揮してくださっていると思います」

――渡辺さん起用の決め手はどういったところにありましたか?

「バラエティーでのたたずまいを見ていて、“もっと振り切った役もいけるんじゃないか”と感じていたんです。ご本人も『新しいことに挑戦したい』とおっしゃっていて、ちょうどタイミングも合いましたし、今回ぜひお願いしたいと思いました」

――浦見先生以外にも、森口櫂先生や林聖羅先生など個性豊かな教員たちが登場します。

「森口先生(伊藤淳史)は第3話から豹変していきます。第1・2話とのギャップも見どころですし、小手伸也さんと野呂佳代さんが演じる“いわゆる不倫関係”も、現実にありそうな関係性として描いています。また、聖羅先生(岡崎紗絵)にもぜひ注目してほしいです。今の社会って、仕事は“生きがい”じゃなくて“生きるため”にやっているっていう感覚を持っている人が多いと思うんですね。聖羅先生を通して、そうした“今を生きる人”のリアルな感情を描いていけたらと思っています。一見コメディーに見える部分にも、ちゃんと人間の痛みや現実の葛藤が潜んでいる。その部分に気付いてもらえたらうれしいです」

――世代や立場を越えて、さまざまな人物が活躍していくんですね。

「そうなんです。先生同士が説教し合うこともあれば、保護者に向けた説教もあります。学園ドラマではありますが、実際には“今を生きる人たち”が抱えている悩みや葛藤を描いている作品だと思っています。私自身も“大人たちにこそ見てほしい”と思いながら制作しています」

――生徒役のキャストで「この子は光っている」と思った方がいれば教えてください。

「本作では多くの若手をオーディションで選びましたが、特に印象的だったのは第1話で“いじめ役”を演じた清乃あさ姫さん(綿貫陽奈役)です。リハーサルの段階からどんどん成長していって、本番では本当に素晴らしい芝居を見せてくれました。また、内藤彩華を演じた豊嶋花さんは子役時代から活躍している実力派で、自然と周囲を引っ張ってくれる存在でした。そして第3話で登場する吉田晴登くん(宮沢圭太役)も、本当に難しい役どころをしっかりと演じてくれています。生徒たちはそれぞれに魅力があり、今後の成長が本当に楽しみです」

広瀬アリスが怒鳴り、渡辺翔太が笑わせる!「神説教」ドラマの仕掛け人が舞台裏を語る

――言いたいことをのみ込むことが多い世の中で、あえて“説教”を描くにあたって、なぜ学校を舞台にしたのでしょうか?

「今の時代、“上の立場の人が注意するとすぐパワハラになる”とか、“教師は生徒に踏み込みすぎてはいけない”という空気があると思うんです。私たちが学生だった頃とは明らかに違います。でも本当にそれでいいのか? という疑問がありました。生徒の側から聞くと、『先生には壁を感じるけれど、本当は話を聞いてほしい時もある』という声もあるんですよね。そうした矛盾を一番象徴しているのが“今の学校”なんじゃないかと。だからこそ、この舞台にしたんです」

――なるほど。静という主人公も、いわゆる熱血教師とは違う存在ですよね。

「静は、怒りたくて怒っているわけじゃないんです。むしろ巻き込まれたくない、問題なんて起こしたくない、という立場。でも、無視できないことが起きてしまう。見て見ぬふりができない。そこにリアリティーがあると思ったんです。今の時代、ああいうふうに“渋々だけど向き合う”教師のほうが共感されるんじゃないかと思っています」

――現場の雰囲気についてもお聞きします。制作発表会見では渡辺さんの“罰金制度(※)”が話題になっていましたね。(※渡辺が““すみません”とよく言うので「すみません」と言うたびに10円を支払う罰金制度)

「先生チームの仲がとにかく良いんです。現場は笑いが絶えませんし、真剣に芝居に取り組みながらも『どうすればもっと面白くできるか?』と皆さんが考えてくださっていて、本当に良いチームだなと感じています。渡辺さん自身『ドラマの現場は一番緊張する』とおっしゃっていたんです。ご本人としてはまだ新参者という気持ちがあるようで…。でも、どんどんチームになじんできて、いまではすっかり“すみませんキャラ”から“愛されキャラ”になってます(笑)。(広瀬提案による下の名前で呼び合うことも)最初はぎこちない部分もありましたが、今では下の名前で呼び合っていますよ」

――渡辺さんへの“ちゃちゃ入れ”担当は?

「みんなから愛されてますけど、やっぱり筆頭は広瀬さんかもしれません(笑)。たとえば渡辺さんが早く現場を出る時に『友達とご飯らしいですよ~』って冗談を言ったり、渡辺さんが表紙を飾った雑誌を買ってきて、みんなで楽屋で盛り上がったりして。本当に楽しそうな現場で、作品全体の雰囲気もすごくよくなっていると思います」

――初回放送を終えて、反響の中で特に心に残った声はありますか?

「一番うれしかったのは、『共感した』『スカッとした』という感想が多かったことです。ドラマを通して伝えたかった“言葉が持つ力”が、ちゃんと届いたんだと感じられて、とても励みになりました。中でも特に印象に残っているのが、『親がこのドラマを見て、子どもがいじられているけど、それがいじめなのかどうか判断に迷っていた時に、一緒に見て考えたいと思った』というSNSでのコメントです。家族で何かを話し合うきっかけになったとしたら、本当にやってよかったと思える瞬間でした」

――終盤には、SNSでコメントが一時的に減るタイミングもあったそうですね。

「広瀬さんの“説教”シーンを集中して見てくれていたようです。言葉を聞き逃したくないって思ってくれてるんだと思うと、すごくうれしいです」

――第1話のラストに登場した、七海海斗(水沢林太郎)の静に向けた「先生、シーなの?」というセリフも意味深でした。

「あのセリフは、静がなぜニートだったのか、そしてなぜ教師という立場を選んだのか、その背景に深く関係してくる重要なキーワードです。第1話では校長先生(加護京子/木村佳乃)に促されて教師になったように描かれていますが、実は彼女には過去に“驚きの出来事”があって、それが徐々に明かされていきます。“シー”という言葉が何を意味し、それが静にとってどんな意味を持つのか? 元ニートなのに、あそこまで本音でズバッと言えるのはなぜか。それにはちゃんと理由がある。それを知ることで、静という人物像や、彼女が“説教”に向き合う理由も見えてくるはずです」

――七海との関係もそこに関わってくるのでしょうか?

「七海くんと静の関係性は、第3話以降で明らかになっていきます。過去に何があったのか、2人がどんなふうに関わっていたのか。それを知っていくことで、視聴者も“ああ、だから静は…”と納得できると思います。今はまだ断片的にしか見えていない部分ですが、しっかりと回収していくので楽しみにしていてください」

――最後に、視聴者に向けて、第3話の見どころをお願いします。

「第3話では、吉田くん演じる生徒が“退学するかもしれない”という展開が描かれます。最近は、大人の社会でも“すぐに仕事を辞める”“もういいやと投げ出す”といった選択が話題になりますが、それって本当に悪いことなのか? という問いにもつながっていくストーリーです。そんな状況に対して、静がどんな言葉をかけるのか、ぜひ注目していただきたいです。また、第2話のラストで森口先生が豹変したことによって、学校全体が波にのみ込まれていく様子が第3話では大きく描かれます。そして、ラストには“そう来たか!”と思っていただけるような驚きの展開もご用意しています。さまざまな要素が詰まった回になっていますので、ぜひ最後まで楽しんでいただけたらうれしいです」

広瀬アリスが怒鳴り、渡辺翔太が笑わせる!「神説教」ドラマの仕掛け人が舞台裏を語る

【番組情報】
「なんで私が神説教」

日本テレビ系
土曜 午後9:00~9:54

文/斉藤和美

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