ドラマ視聴に異変? 「御上先生」ほか1月クールドラマランキング大発表2025/04/28

今回は、関東154万台を超えるレグザの視聴データをもとに、2025年1月クールの連続ドラマを検証していく。「リアルタイム視聴」と「録画視聴」を合算したポイントによる検証なので、より総合的な分析が可能になった。見ごたえのあるドラマが揃った1月クール、視聴者に最も愛されたのはどのドラマだったのか?
まずは「リアルタイム視聴」と「録画視聴」の合算による「放送回ランキング」ベスト30を発表する(朝ドラや夜ドラ等の帯ドラマ、および大河ドラマは除いている)。ポイントは1位を100とした場合の割合である(以下同)。

毎週発表しているTVガイドWebの「週間ドラマランキング」でも初回から最終回まで10週連続の第1位を達成、圧倒的な強さを見せた松坂桃李主演の学園ドラマ「御上先生」(TBS系)が上位を完全制覇、かと思いきや意外な結果となった。確かにほぼ上位を独占しているとはいうものの、3位と10位に「119エマージェンシーコール」(フジテレビ系)と「クジャクのダンス、誰が見た?」(TBS系)の最終回がそれぞれランクインして、「御上先生」のベスト10独占を阻んでいる。どちらの最終回も「御上先生」が終了した後のタイミングで放送されて、特に録画視聴でポイントを伸ばした。そして13位以下には「119エマージェンシーコール」と「クジャクのダンス、誰が見た?」の各回が並び、ベスト30は三つのドラマが独占している。

次に「ドラマ平均値ランキングベスト20」を見ていこう。リアルタイム視聴と録画視聴の合算ポイント全話平均を集計、高い順に並べたランキングである(前年の秋クールから放送が継続しているテレビ朝日系の「相棒season23」は、2クール分の平均値である)。

「御上先生」が2位以下に大きく差をつけてトップを獲得した。文科省の官僚がエリート高校の教師として赴任してきて教育界の闇を暴く、という枠組みの新鮮さと、豪華な生徒たちのキャスティングで大きな注目を集めた。2位と3位には僅差で「クジャクのダンス、誰が見た?」と「119エマージェンシーコール」がランクイン。どちらも最後まで視聴者の興味を切らせることなく走り切った。ベスト3から少し離れた4位にはバカリズム脚本の「ホットスポット」(日本テレビ系)、5位には芳根京子主演「まどか26歳、研修医やってます!」(TBS系)。TBSがベスト5に3作品を送り込み、相変わらずの好調ぶりを見せた一方で、ベスト10内には日本テレビが3本、フジテレビが2本、テレビ朝日が2本と、各局がまんべんなくランクインしている。また、プライムタイム以外の深夜ドラマでは、永瀬廉(King & Prince)主演の「御曹司に恋はムズすぎる」(フジテレビ系)が18位で最高位となった。

今クールの大きな特徴として、初回時と最終回時で、ドラマの勢力図が大きく異なっていることがあげられる。以下の初回ベスト10と最終回ベスト10を見比べてほしい。

平均値ランキングで1、2位を占める「御上先生」と「クジャクのダンス、誰が見た?」は、初回と最終回の双方でベスト3に入っているが、最終回でトップに立った「119エマージェンシーコール」は初回はなんと10位。平均値4位、5位の「ホットスポット」と「まどか26歳、研修医やってます!」も、初回はそれぞれ9位、8位と低いポジションからのスタートだった。逆に初回3位の「アンサンブル」と6位の「相続探偵」(日本テレビ系)は最終回ではベスト10圏外に去り、4位「プライベートバンカー」(テレビ朝日系)と5位「問題物件」(フジテレビ系)もベスト10下位に沈んでいる。
これほどダイナミックに勢力図が入れ替わるクールは珍しい。各ドラマへの事前の注目度と満足度のギャップが如実に表れた結果といえるかもしれない。また最終回ランキングで、上位3ドラマが4位以下を大きく引き離しているのが非常に印象的。3作品に対する支持の大きさがうかがえる。
続いて「最終回継続率ランキング」ベスト20である。「最終回継続率ランキング」とは最終回のポイントを初回ポイントで割った数値によるランキングで、最終回継続率が高い(=初回に比べて最終回の数値が高い)ということは作品内容に対する満足度が高い傾向があるのでは、という仮説に基づいた検証である。

最終回継続視聴が100%を超えている(=最終回のポイント初回を上回っている)ドラマは、プライムタイムドラマが4本、深夜ドラマが3本の計7本。決して多い方ではない。平均値首位の「御上先生」も100%を超えることができなかった中で、トップの「119エマージェンシーコール」の170%超えは驚異的である。第1回のポイントが極端に低かったためにここまで高い数字になったともいえるが、内容が支持された結果であることは間違いない。

また、深夜ドラマで100%を超えた3作品は、それぞれテイストの違いはあるもののサスペンスフルな展開で盛り上げた。4位の「いきなり婚」(日本テレビ系)は平均値ランキングでも総合20位に入る健闘を見せたし、血の量多めのドロドロホラー系「地獄の果てまで連れていく」(TBS系)と「家政婦クロミは腐った家族を許さない」(テレ東系)も考察が最後までSNSをにぎわせた。今後も深夜ドラマにおいては、このジャンルが一定の支持を得ていくだろう。
4月クールドラマの放送も既に始まっている。今期はどのドラマが視聴者の支持を集めることになるのか。TVガイドWebはその動向を逐一見守っていくので、毎週のランキングにも注目しながらドラマを楽しんでほしいと思う。
文/武内朗
提供/TVS REGZA株式会社
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