世界の黒澤明＆三船敏郎が生んだ傑作「醉いどれ天使」2025年版舞台で北山宏光が主演！2025/04/16
東京・明治座、愛知・御園座、大阪・新歌舞伎座にて、11月7日より北山宏光主演の「醉いどれ天使」が上演されることが発表された。
「醉いどれ天使」は、日本をはじめ世界中に大きな影響を与えた名匠・黒澤明と、その多くの作品で主演を務めた三船敏郎が初めてタッグを組んだ映画。黒澤監督による力強く斬新な世界観と、三船の荒々しくも繊細な演技が絶賛され、今なお伝説の名作として世界中で愛されている。
映画史に燦然（さんぜん）と輝く本作は、公開された1948年4月から約半年後、ほぼ同じキャストとスタッフが集結し、舞台作品として上演されたという記録が残っている。当時の映画界では大規模な労働運動が起こり、多くのスタッフや俳優たちが窮地に陥っていた。「醉いどれ天使」舞台化の裏にはそんな背景があり、黒澤監督を中心に劇団が編成され、映画のスタッフや俳優たちを救うために全国巡業が催されたと言われている。その後、当時の舞台台本は長い間眠っていたが、近年偶然にも発見され、黒澤が抱いた舞台への熱い思いが息を吹き返すことに。これを継承し、満を持して2021年に舞台化。桐谷健太らが出演し、大盛況のうちに幕を閉じた。
そしてこのたび、新たなスタッフ・キャストにより、25年舞台版「醉いどれ天使」の上演が決定した。色あせることのない普遍性を持ち、今を生きる私たちにも強く訴えてくるメッセージを持つ舞台が、混沌とした現代に上演する意味を受け止め、再びよみがえる。映画でも印象的なダンスシーンをはじめ、ライブならではのフィジカルでエネルギッシュな表現も満載に、戦後の人々が命を燃やすように生きる姿を濃密に描き出す。
脚本は21年版舞台に引き続き、蓬莱竜太氏が務める。演出は、映画にとどまらず演劇、オペラ、テレビドラマ、コンサートなど、ジャンルを越えて活躍の場を広げている深作健太氏。そして、三船が演じた闇市を支配する若きやくざ・松永に挑むのは6年ぶりの主演舞台となる北山。巧みな表情で繊細な演技を魅せる北山が、男臭く真っすぐな情緒を松永をどう演じるのか。このたび公開されたビジュアルでは、もがき、葛藤しながらも生きる松永の姿を彷彿とさせている。
今回の情報解禁にあたり、黒澤プロダクションがコメントを発表。「このたび、映画『醉いどれ天使』が再び舞台としてよみがえることを、心よりうれしく思っております。本作は、戦後の混沌とした時代において、黒澤明が人間の強さと弱さ、そして希望を描いた記念すべき作品であり、俳優・三船敏郎との最初の邂逅（かいこう）でもあります。舞台という新たな表現の場において、現代の感性と技術をもってこの物語がどう描かれるのか、大きな期待を寄せております」と、メッセージを寄せる。そして「黒澤が遺したメッセージが、今を生きる人々の心に届くことを願っております」と、“世界のクロサワ”の遺志が時代を超えて人々の心に届くことを期待する。
21年版舞台では、桐谷演じる松永と対峙（たいじ）する酒好きで毒舌な貧乏医師・真田には高橋克典が扮（ふん）した。今回、北山とタッグを組むのは一体誰か。後日発表予定のキャスト情報を楽しみにしつつ、不器用ながらも人間味あふれる登場人物たちが現代に生きるわれわれに問う、衝撃の話題作に注目したい。
舞台は、当たり前のように存在していたものがすべてが失われた、敗戦後の東京。戦争で帰る場所を失った人々は、荒れ果てた都市に流れ着き、闇市でその日その日を生き延びていた。ある夜、銃創の手当てを受けに、闇市の顔役・松永（北山）が、闇市の界隈に住む人々を診る町医者・真田の診療所を訪れる。酒に溺れ口は悪くも心根は優しく一流の腕を持つ松永だが、顔色が悪く咳込んでいる。そんな彼を診療所に住み込みで働く美代も心配する。一目見て肺病に侵されていると判断した真田は治療を勧めるが、松永は言うことを聞かずに診療所を飛び出し、闇市の様子を見回るのだった。
居酒屋で働く同郷の幼なじみのぎんは、そんな松永を心配しつつも、ひそかに思いを寄せるようになっていた。しかし、着々と病魔が松永をむしばみ、ダンサーの奈々江は彼から離れていく。戦後の混乱の中、松永の采配によって落ち着きを保っていた闇市だったが、松永の兄貴分の岡田が出所し、闇の世界の力関係に変化が起きていく……。
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