「御上先生」吉柳咲良が語る、自身が生徒オーディションに受かった理由とは?2025/01/30

松坂桃李が主演を務める、日曜劇場「御上先生」(日曜午後9:00)が現在放送中。本作は、“官僚教師”の御上孝(松坂)が、生徒たちと共に教育現場の現実に立ち向かい、大人社会の理不尽と対峙(たいじ)する姿を描いた大逆転の教育再生ストーリーだ。子どもが生きる「学校」、大人がもがく「省庁」という一見別次元にあるこの二つを中心に物語は展開。未来を夢見る子どもたちが汚い大人たちの権力によって犠牲になっている現実、そんな現実に一人の官僚教師と、令和の高校生たちが共に立ち向かう、教育のあるべき真の姿を描くこれまでとは一線を画した新たな学園ドラマだ。
今回は、責任感が強く自分にも他人にも厳しい生徒・椎葉春乃を演じる吉柳咲良にインタビュー。オーディション時の心境から演じる上で意識していること、共演者とのエピソードなどについて聞いた。
プロデューサーの飯田さんには全てを見抜かれていたんだと思います
――まずは、日曜劇場出演への心境をお聞かせください。
「日曜劇場と聞いただけで気が引き締まりましたし、緊張感がとてもありました。また、学園モノに出演できることは純粋にうれしいです。ここで学べることがきっとたくさんあると思うのでワクワクしています」
――今回、オーディションを経ての出演となりますが、その時の心境は?
「オーディションの雰囲気はやりやすくて楽しかったです。ただ、その時演じたのは富永(蒼)役だったので、なぜ椎葉役で受かったのか。おそらくプロデューサーの飯田(和孝)さんには全てを見抜かれていたんだと思います(笑)」
――どんなところを見抜かれたと感じていますか?
「私はこれまで明るい役をあまりやったことがなく、いつも何かしら自分自身と戦っている役どころが多かったので、それもあったのかなと。あと、飯田さんがご自身のXにオーディション時に見た私たち一人一人のイメージを書いてくださっていて。私に対しては、『子どもっぽさと、大人の境界線のバランスが役と絶妙にシンクロする』でした。実際、高校生にはそういうところがあると思っていて、大人になりきれないからこその悩みというか、もっと楽になれるはずなのに張り詰めてしまう。自分自身がパンパンになってしまうところは、まさに私も高校生の時に経験していたので、等身大で悩むことができ、今回のお芝居にうまく生かせるのかなと思いました。なので、そんな私の大人になりきれないところを飯田さんは見抜いていたのかもしれないです」
――キャスト紹介のコメントでも「台本を読んだ時から、椎葉役を演じられるのは私しかいない」とおっしゃっていたのが納得です。特にご自身と重なると思う部分はありますか?
「椎葉が抱えていることに共感できて、性格というよりかは心境を理解できるなと。彼女と同じ感覚を味わったことがあるからこそよりリアルにその雰囲気を出せると思うので、その面に関しては、椎葉役は私に適しているのかなと思いました」
――では、椎葉の特徴や魅力的な部分もお聞かせください。
「先日スタッフさんが第1話を見て、私に『この子、絶対何かあるなと第1話からすごく分かるよ』と言ってくださって。責任感が強い子で自分に厳しくしている分、他人にも同じく厳しくなってしまう。セリフを見ていると、椎葉は実はすごく優しい子なんです。何でもストイックに頑張ってしまうからこそ、たくさん抱え込んでしまう印象があります」
――椎葉の登場シーンがこれから出てくると思いますが、見どころを教えてください。
「椎葉は後半でも疎外感を感じるような瞬間があり、みんながそれぞれの思いを打ち明けられて教室の空気も一体化してきた中で、彼女は何も打ち明けられずに一人で戦い続けている。それを御上先生がどう救ってくれるのか、どう考えることでそれが解決するのかが見どころです。個人的に、椎葉の回は御上先生自身にも大きな変化があるので、見逃さずに見ていただきたいです」

吉柳から見た生徒の意識とは?
――松坂さんの印象をお聞かせください。
「教室にいる時は全体を俯瞰(ふかん)して、ただただ見守ってくれています。セリフを間違ってしまった時も、『大丈夫、大丈夫。もう1回やろう』と、言ってくださるので、みんなで頑張ろうという空気感がずっと保たれています。それは松坂さんがそのスタンスでいてくださるからだなと」
――松坂さんと交わした会話で印象的だったことはありますか?
「私、幼少期に(侍戦隊)シンケンジャー(テレビ朝日系/2009年)が大好きだったのもあり、今だに緊張しているんです。それを見て松坂さんは笑ってくださいます」
――御上先生と松坂さんが重なる瞬間はありますか?
「松坂さんはまとっている雰囲気が柔らかくて、常に生徒と同じ目線に立って話してくださっているイメージ。一方で御上先生になった瞬間、目、表情、声、まとっている空気全てが変わります。本読みで御上先生の一言目のセリフを聞いた瞬間から、鳥肌が止まりませんでした」
――教室の雰囲気は実際の学校のようだとお聞きしました。吉柳さんから見て現場の雰囲気はいかがですか?
「本物の学校みたいですね。写真をみんなで何枚も撮り合っていたり、くだらないことでずっと笑い合っています。みんな学生の頃に教室でこういうふうにやっていたんだろうなと思いながら、今それを体感できてとても楽しいです」
――では、生徒役の皆さんの演技を見て印象に残っている方はいらっしゃいますか?
「今回、親友・千木良遥役の髙石あかりちゃんは、繊細なお芝居が本当に素晴らしくて何度見ても圧倒されます。役を深めていくところを見ていると無意識に負けた気持ちになりますが、一緒にやっていると自然と椎葉になれる。自分のやりたいことを素直にどう渡しても全部受け取ってくださるので、今回親友役として出られるのはとてもやりがいがあります」
――以前、飯田プロデューサーが、今回の生徒役の皆さんのことを「だらけることがなく自分がこの作品でステップアップしたいという気持ちが強い」とおっしゃっていました。吉柳さんから見て、皆さんの意識はどんな感じですか?
「私もみんなのお芝居を見て感動しつつ、上手過ぎて悔しいと思う瞬間もあって。みんな自分が映っていないシーンでもそれぞれがどんな表情のお芝居をしているのか、モニターを確認しに行きます。同世代の人たちのお芝居を間近で学べて、それを自分の糧にできるのは学園モノだからこそだなと。また、何かあれば言い合えるぐらいの関係値になっているので、『もっとこうした方がいいんじゃない?』とか『ここはこうじゃない?』と、高め合いながらできているのも楽しいですね」
“考えた先にある答えを一緒に探していく”今までにない物語
――「御上先生」を通して伝えたいことはありますか?
「本作は『そこにも触れるんだ』と、普段私たちが見ていないところにも目を向ける作品です。毎回、御上先生が自身の考えを言うシーンがありますが、答えを最初にくれるわけではなく、なぜそうなっているのか生徒一人一人と話し合って答えへと導いていく。それが合っているか間違っているかではなく、考えた先にある答えを一緒に探していくという今までにない物語になっています。共感できることやこの言葉で救われる人たちがいるんだろうなと思えるシーンが出てきますので、ぜひそこに注目していただきたいです」
――最後に見どころをお願いいたします!
「椎葉のことはもちろん、さまざまな問題に対して皆さんが多方面から考えていただけたらいいなと。どういうふうにするべきだったのか、過去を思い出してあの時こうすれば良かったのかなとか、きっといろいろな気付きが出てくると思うので、一人の生徒になった気持ちで一緒に楽しんでいただけたらうれしいです」

【番組情報】
「御上先生」
TBS系
日曜 午後9:00~9:54
【プロフィール】
吉柳咲良(きりゅう さくら)
2004年4月22日生まれ。16年、第41回ホリプロタレントスカウトキャラバン「PURE GIRL 2016」で当時歴代最年少でグランプリに輝き芸能界入り。17年にミュージカル「ピーター・パン」で、歴代最年少タイ記録の13歳でピーター・パン役を演じデビューを果たす。最近の出演作は、ドラマ「リズム」(フジテレビ系/23年)、連続テレビ小説「ブギウギ」、大河ドラマ「光る君へ」(NHK総合ほか/24年)、「マル秘の密子さん」(日本テレビ系/24年)、映画「聖☆おにいさん THE MOVIE~ホーリーメン VS 悪魔軍団~」(24年)、ミュージカル「ロミオ&ジュリエット」(24年)などがある。また、舞台「リンス・リピート―そして、再び繰り返す―」が4月17日(東京・紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA、京都劇場)から開幕する。
取材・文/N.E
関連リンク
この記事をシェアする