「御上先生」生徒役・蒔田彩珠が感じた松坂桃李の印象とは? 役作りの苦悩も明かす2025/01/23 12:00
松坂桃李が主演を務める、日曜劇場「御上先生」(日曜午後9:00)が現在放送中。本作は、“官僚教師”の御上孝(松坂)が、生徒たちと共に教育現場の現実に立ち向かい、大人社会の理不尽と対峙(たいじ)する姿を描いた大逆転の教育再生ストーリーだ。子どもが生きる「学校」、大人がもがく「省庁」という一見別次元にあるこの二つを中心に物語は展開。未来を夢見る子どもたちが汚い大人たちの権力によって犠牲になっている現実、そんな現実に一人の官僚教師と、令和の高校生たちが共に立ち向かう、教育のあるべき真の姿を描くこれまでとは一線を画した新たな学園ドラマだ。
今回は、明るく自由で、細かいことは気にしないサバサバした性格の生徒・富永蒼を演じる蒔田彩珠にインタビュー。演じる上で意識していることや現場でのエピソードはもちろん、本作を通して伝えたいことなども語ってもらった。
富永のロールモデルになる人はまだ見つけられていない
――まず、どんなお気持ちで作品に入りましたか?
「ここまで明るくハキハキしゃべる役は初めてで、話し方もギャルまではいかないですがパワフルな役だったので、まずこの役を自分のイメージ通りにできるのか心配でした。ですが、脚本のストーリーが面白かったので絶対に参加したいと思い、全力でオーディションに挑ませていただきました」
――オーディションを経て、出演が決まった際のお気持ちもお聞かせください。
「オーディションを受けるのが1年に1回あるかないかぐらいだったので、すごく緊張しました。とにかく富永役をやりたいという一心で挑み、出演が決まった時はうれしかったですし、母もドラマが大好きな人なので喜んでくれました」
――蒔田さんがこれまで演じられてきた役は少し影が多い印象です。今回役作りで準備したことはありますか?
「私がやるということだけで何かあるんだろうと思いますよね。撮影では、想像以上に生徒のみんなが元気で(笑)。そんな中、富永は私の中にある明るさだけでは負けてしまうんですよね。なので、監督とプロデューサーさんとどういうイメージで進めていくのか、擦り合わせを念入りにさせていただきました。『あの役はここまで明るいから、それよりも明るくないといけないよね』などと確認し合い、撮影が始まって2カ月くらいたちますがようやく慣れてきました」
――その中でも役柄と共通するところはありましたか?
「どんな物事にも口を出したくなる性格は似ていると思います。私はあそこまでの行動力はないですが、『こうしたらいいのに』や『こういうアドバイスをしたい』みたいな考えが出てくるのは同じだなと。それを行動に移せるのが富永で、自分とは似ているようで似ていないですね」
――学園モノで参考にした作品はありますか?
「役作りで参考にできる作品はないか、初期の『ドラゴン桜』(2005年)から前回のものまでいろいろな学園ドラマを見ましたが、富永のようなキャラクターはいなくて…。教室の雰囲気や先生との関係性、細かいところは参考にしましたが、富永のロールモデルになる人はまだ見つけられていないんです」
松坂と御上先生の違いとは?
――松坂さんと共演して感じた印象を聞かせてください。
「現場に入る前に、松坂さんが出演された映画『孤狼の血』(18年)を見てから行ったので、怖いイメージがありました。実際は、生徒一人一人に話しかけてくれたり、常にニコニコしていて、私たち生徒のことを一番に考えてくださっています」
――そんな松坂さんと2人でやりとりするシーンもあるかと思います。現場ではどのような会話をされていますか?
「松坂さんとはゲームセンターにいるシーンが何度かあり、その時にいろいろなお話をしてくださいました。例えば、『自分が今まで出演した作品でどれを一番見てほしいか』という話では、『最近、勉強のためにドラマをよく見ている』と伝えると、『ゆとりですが何か』(日本テレビ系/16年)はぜひ見てほしいと教えてくださったので、映画まで全部見ました!」
――松坂さんと御上先生が重なる瞬間はありますか?
「全然違いました。松坂さんは、御上先生と違って本当ににこやかな方です。でも、はっきり『こうした方がいいんじゃないか』とアドバイスをくださるところは御上先生っぽいなと思いました」
――では、蒔田さんご自身から見て、御上先生はどんな人物でしょうか?
「生徒一人一人の問題に真剣に向き合ってくれる先生ですね。何でもチャレンジしよう、頑張ろうと鼓舞してくれるので、御上先生みたいな先生がいたら心強いなと思います」
――生徒たちから信頼の厚い国語教師・是枝文香を演じる吉岡里帆さんとはお話などされましたか?
「役作りで明るくするのに苦戦している時に、吉岡さんは私がスタッフさんとたくさん話し合っていることを知ってくださっていて、『苦戦しているんだってね』と声を掛けてくださいました。『絶対話し合って慎重にやった方がいいと思う』とアドバイスをいただき、とてもうれしかったです」
――以前共演した方も何名かいらっしゃいますが、再会していかがですか?
「(窪塚)愛流くんとは1年半ぶりぐらいの共演でした。初めての学園モノでとても緊張していましたが、愛流くんがいてくれてホッとしましたね。お互い前回の映画とは全く違う役柄で、少し恥ずかしさもありながら刺激し合ってできています」
――先生役のベテラン俳優さんも多数いらっしゃいますが、刺激を受けたことはありますか?
「北村一輝さんと及川光博さんは本当に面白い方です。物語がシリアスなだけあって、本読みの時はピリッとした空気がありましたが、お二人が場を和ませようと冗談を言ってくださって。生徒たちもそれで安心していたので、お二人にはとても助けられました」
動き出そうとしている生徒と、動かそうとしている先生の架け橋に
――本作に挑むにあたっての意気込みもお聞かせください。
「『御上先生』の企画書には、『こういう作品にして、世の中にこういうことを伝えたい』という力強い内容が書かれていました。なので、現場の雰囲気も厳しいんだろうなと想像していましたが、全然そんなことはなく、監督やプロデューサーさん、生徒のみんな、松坂さん含め先生キャストの方たちも本当に明るい方たちばかり。それぞれ長ゼリフがあるので、お互いに終わったら『次頑張れ』とバトンタッチする感じで撮影をしています。長丁場ですが、励まし合いながらみんなで同じ方向を向き、『御上先生』を作っていきたいです」
――最後に、この作品を通して伝えたいこと、見どころをお願いいたします。
「本作は、普段見ないようにしていることや、自分一人ではどうすることもできない問題に3年2組がみんなで向き合っていきます。全体で見たらクラスの小さい出来事かもしれないですが、それを解決しようとみんなが動き、行動を起こすことで日本まで変えられてしまう。そんな希望が見えるドラマになっています。そして富永は、どの問題にも積極的に口を出すので、動き出そうとしている生徒と、動かそうとしている先生の架け橋に。そこにもぜひ注目して見ていただきたいです」
【番組情報】
「御上先生」
TBS系
日曜 午後9:00~9:54
【プロフィール】
蒔田彩珠(まきた あじゅ)
2002年8月7日生まれ。7歳で子役としてデビュー。近年の出演作に、連続テレビ小説「おかえりモネ」(NHK総合ほか/21年)、ドラマ「妻、小学生になる。」(TBS系/22年)、「わたしの一番最悪なともだち」(NHK総合/23年)、映画「万引き家族」(18年)、「99.9 -刑事専門弁護士- THE MOVIE」(22年)、「ハピネス」(24年)、Netflix「クレイジークルーズ」、「忍びの家 House of Ninjas」などがある。
取材・文/N.E
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