「虹クロ」出演のダイシュンが10代に伝えたいメッセージ「悩むことは強さになる」2025/01/07
NHK Eテレで1月7日に放送する「虹クロ」(毎月第1火曜午後8:00)に、日本初となる男性同士の恋愛リアリティー番組「ボーイフレンド」でカップルとなったダイシュンこと中井大さんと中西瞬さんがゲスト出演します。
「虹クロ」は、自身の性に揺らいだり、自分らしくありたい10代、LGBTQ+の人を応援したい10代たちが、さまざまな分野で活躍するLGBTQ+のメンター(先輩)たちと、セクシュアリティーやジェンダー、多様性について、本音で語り合う番組。
収録を終えたダイシュンのお二人に収録の感想や10代の皆さんに伝えたいことなどを伺いました。
――まずは、オファーを受けた理由を教えてください。
ダイ 「僕が10代の頃、相談できる人がいなくて、相談する人を探し当てるアンテナすらまだ出来上がってないような時だった記憶がすごく強くて。この番組が若年層の同性愛者の人々を対象にしていると聞いて、自分があの時欲しかった、聞きたかったものだったと思い、絶対に出たいと言いました」
シュン 「僕はお悩み相談のようなことを公の場でしたことがなかったので、楽しそうだなと思いました」
――実際に収録に入られていかがでしたか。
シュン 「その人の立場になってちゃんと悩みを考えるって難しいなと思いました。自分の価値観でしか答えられないから」
ダイ 「助けになるというよりは、僕らの言葉や考え方を伝えることで、彼らの視野が広がって、『こんな選択肢がいっぱいあったんだ』と心が軽くなるきっかけになっていたら、すごくうれしいね」
――好きな人を振り向かせたいというお悩み相談がありましたね。
シュン 「僕も16、7歳で同じようなことがあったので、好きな人に振り向いてほしい時期なんだろうな、分かるなと思って悩みを聞いていました。ダイはちゃんと分かりやすいように話してくれるからいいよね。『それ、僕が言いたかったことだよ』と思ったもん」
ダイ 「僕は言葉選びに時間がかかって、実は1番言いたかったことが言えないことがあるんです。今回も伝えたい思いはあるけど、空回りして、言葉ばかり並べて1番言いたかったことを忘れるタイミングがあったんです。その時にシュンが補足して言ってくれたからよかったと。今のようなインタビューの時もそうなんですよ。シュンがうまく言えなかったことを僕が補えることもあるし、僕が言えなかったことをシュンがポロッと言ってくれて。シュンはシンプルでメッセージ性の高い言葉を無意識に言えるんですよね」
――お互いに補っていらっしゃるんですね。今回二つの悩み相談がありましたが、今の10代の子たちの悩みを聞いてどう思われましたか?
シュン 「本当に僕たちが10代の頃と一緒の悩みだったよね。みんな通っていくものなんだなと。あと2、3年もすれば、あんなことで悩んでいたなと思える日が来るよと言いたいです」
ダイ 「一つ言いたいことは、よく悩むのがしんどいと聞くんですが、悩んで行き着いた着地点がすごく大事なんだと伝えたいです。もちろん悩まずに全てうまくいけばそれがいいんだけど、悩むことは全然ダサいことじゃないし、しょぼいなと思っていたとしたら、それは全くしょぼくない。全力でめちゃくちゃたくさん悩んだ先に自分にしか見つけられない答えがあるんです。そして、悩みをいろんな人に聞いてもらうのはいいけれど、答えを出すのは自分であってほしいと思います」
――世の中にLGBTQ+が浸透してきている今は、オープンにカミングアウトができるんじゃないかと思ったのですが、まだまだ難しいということでしょうか。
シュン 「僕たちが出ていた『ボーイフレンド』がきっかけになっていればいいよね」
ダイ 「そうだね。同性愛者に対して、嫌なものという意識はないけれど、容易に話題にしてはいけないんじゃないかという堅苦しい概念があるので、僕たちがいることで、ちょっと崩れていたらうれしいな」
――メンターのロバートキャンベルさんと井手上漠さんと共演されて感じたことを教えてください。
シュン 「ロバートさんは大人だなって。コメンテーターとして、核心に触れることを言われている印象で、その通りでした。ゲイとして、僕たちの倍以上生きている方なので、学ぶこともたくさんあるんだろうなと。たくさん聞きたいこともあったけど、それが聞けなくて残念でした。でも、一緒に悩み相談に加われたことが、恐れ多いですけど、うれしかったです」
ダイ 「ロバートさんは的を射たことを言う方という印象で、僕からするといい意味ですごく高い存在なんです。そんな方と同じところで話せたことはすごく光栄でした。さっきシュンが言っていたように、核心を突く質問をしてくれるロバートさんのような人が今後いなくなってしまうんじゃないかと思うと怖い。僕らがこの社会を生きる上での大事なクオリティーを高めてくれる人だと思うから、ああいう方がこれからも世の中にずっといてほしいし、これからもたくさん活躍してほしいです。ロバートさんみたいな方が増えたらいいなと思うし、そういう立ち位置に回れるような自分になれたらすごく胸を張れるとも思いました」
――ダイさんならそうなれると思います。では、井手上さんはいかがでしたか?
シュン 「井手上さんは、僕たちのファンだったね(笑)」
ダイ 「男性として生まれて、自分の与えられた性別と自分がなりたい性別が違った井手上さんは、みんながうらやましいと思うような考え方を持っていらっしゃる。どのようにして今の井手上さんとなっていったのか。それはいろいろあったからこその強さだと思うんですけど、あそこに至るまでのストーリーは、多くの人に勇気を与えてくれるものだと思うんです。それをめちゃくちゃ聞きたかったのですが、今日聞けなかったので残念です。もちろんロバートさんも、僕らが知らない世界を何十年も過ごされて今に至るので、絶対お勉強になるし、今を生きる子たちは自分たちの恵まれている環境に気付くきっかけにもなる気がして。聞きたいことは、もう山ほどある。4人でしゃべりたいよね」
シュン 「うん、しゃべりたいね」
――もし第2弾がかなうなら、次は4人のクロストークを聞いてみたいです。最後に、10代の子たちに伝えたいメッセージをお願いします。
シュン 「伝えたいことは…いろいろ悩んでください!」
ダイ 「シュンがよく『いっぱい悩むことや苦労することはとても大事。なぜかというと、人の痛みを分かる人になれるから』と言うんですが、本当にその通りだなと。みんな言わないだけで、この世に生きる人間は全員悩みや葛藤、苦しい瞬間をくぐってきているし、今ももしかしたらくぐってる途中かもしれない。若い方は自分の悩みや苦しみを悲観的に捉える人が多いですが、10代はとにかくめちゃくちゃ悩んでいっぱい失敗してほしいです。失敗は怖いですが、自分を強くしてくれます。そして、自分が本当に納得できる答えを導き出してほしいです」
――ありがとうございました。
【番組情報】
「虹クロ」
NHK Eテレ
1月7日 午後8:00~8:29
1月14日 深夜0:30~0:59
※NHKプラスで1週間見逃し配信あり
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