源孝志作品「TRUE COLORS」主演の倉科カナ「天草の空が好きでした」2025/01/05
本日1月5日よりNHK BSほかでスタートするプレミアムドラマ「TRUE COLORS」。昨年、「グレースの履歴」(NHK BSほか)で向田邦子賞を受賞した源孝志が、自身の書いた原作「私だけのアイリス」を基に脚本・演出。主演は倉科カナが務める。
ファッション業界のトップフォトグラファーとして、東京で活躍していた立花海咲(倉科)は、ある日突然目の難病を告知される。カメラマンとしての将来を悲観した海咲は、絶望感を抱えたまま、18年ぶりに故郷の熊本・天草へ足を向け…。
今回は、複雑な心情を抱える海咲を演じる倉科にインタビュー。天草での撮影や作品の見どころについて話を聞いた。
――まず、撮影を通しての感想を教えてください。
「私も海咲も熊本が出身で、東京に出てきてキャリアを積んでいるので共通点が多くて。熊本で撮影もしていて、すごく不思議な感じがしましたね。海咲と私が重なっていくような感じがして面白かったです」
――出身地の熊本での撮影はいかがでしたか?
「海咲は標準語と熊本弁が混ざっているので、そのあんばいが逆に難しかったです。あとは、共演者の皆さんが方言で悩まれている時に相談に乗ったりと、少しお力添えができたのかな」
――懐かしさはありましたか?
「最近、熊本が舞台の作品が多くて。でも、毎回あまり熊本弁はしゃべらなくて…(笑)。今回は東京での仕事もあったので、行ったり来たりして撮影をしていたのですが、天草発東京行きの飛行機がいい時間になくて。天草から車で熊本空港に帰る日があったんです。幼い頃、家族で天草へ遊びに行っていた道をマネジャーさんが私を乗せて走っているのがすごく不思議な感じがしました。幼い頃の私は自分が女優になることも分かっていなかったと思うし、いま作品を背負ってその道を通っているのが不思議でした」
――今回カメラマンの役ですが、倉科さんは普段から写真の撮影はされますか?
「私、カメラマンの役が多くて。マネジャーさんが『カメラを背負っているのはデジャビュかな』って言うぐらい(笑)。普段は、インドア派なのであまり写真を撮る機会がないのですが、今回、監督から『倉科さんがどういう画角で撮るのか知りたいから、ロケ弁でもいいから撮って』と言われて、ちょこっと撮っていました。あとは、友達にカメラマンが多いのでアドバイスをいただいたり。今作では、カメラマンという役柄よりも、海咲の心情の方を大切にしていました。海咲は熊本の故郷を捨てて、東京でキャリアを積むのですが、天草に母や妹との関係など、いろいろ置いてきたものがあって。物語では、天草に帰って、母や妹の写真を撮っていくにつれて、ちょっとずつずれていたものがフィットしていくんです。それが、自分でピントなどを合わせなきゃいけないフィルムカメラのようにも感じました」
――この「TRUE COLORS」というタイトルに込められた意味をどんなふうに捉えていますか?
「原作小説は『私だけのアイリス』でタイトルが違うんですけど、監督が原作を書く際にきっかけになったのがシンディ・ローパーの楽曲『True Colors』なんですよね。アイリスは虹彩という意味で、人それぞれの色合いだったり、オリジナリティーだったりをイメージしていると思うんです。(松浦)晶太郎(毎熊克哉)は本当の自分の色を探しているし、海咲も、本当の自分を探しているのかな…」
――今回、演じる上で大切にしていたことを教えてください。
「あまり作り込まないことを大切にしました。共演させていただいた皆さんが本当にすごくて。自分が頭でっかちに考えていくよりは、相手から受けたもので作っていくということをすごく大切にしてました。あと、天草、イタリア、そして東京もとても環境が良く、その自然の力、日光や風を力に変えて撮影していました。監督が自由にやらせてくださったので、本当に海咲として生きた瞬間を切り取ってもらった感じがします」
――継父・多一郎役に渡辺謙さんなど、そうそうたるメンバーとの共演になりますが、共演者の方とのエピソードはありますか?
「謙さんとお芝居できたのがすごくうれしくて。ずっと拝見していた大先輩なので、全てが勉強でした。たたずまいだったり、みんなに対してのフランクさだったり、すごく風通しがいい現場で、私たち後輩にもすごく気を使ってくださって。私と謙さんの役柄は、最初はお互い嫌悪感がある役だったんです。謙さんはすごくフランクな方なのですが、『役を演じるにあたっては仲良くなり過ぎない方がいいね』と気にしてくださって、すごく助かりました」
――天草での撮影で印象に残っていることがあれば教えてください。
「天草はどこを切り取っても美しくて、その美しさみたいなものが逆に切なく感じたりもして。今回の作品にすごくパワーをいただきました。『海咲はこういうところで育ったんだ』と思うと心が温かくなりましたね。熊本のロケは重いシーンの芝居も多くて、それが朝の真っ暗な状態から夜までずっと撮影が続いていて。気を抜けない日々だったのですが、ご飯や天草の皆さんの人柄に本当に助けていただきました」
――特においしかったご飯はありますか?
「海鮮がすごくおいしくて。いろんなおすし屋さんに伺ったのですが、特にイカがおいしかったです。謙さんは『イチジクがおいしい』ってハマっていました。個人的には天草の空が好きで、雲が東京と違って神秘的でした。あと、イルカウオッチングに行かせていただいたのが、すごく楽しくて癒やしでした。イルカウオッチングを経営していらっしゃるお母さんとお父さんもすごくすてきで、『食べてきなっせ』とご飯を出してくださったり。海外でイルカと一緒に泳いだことはあったのですが、イルカウオッチングは初めてで、定住型のイルカもいるんだなってすごくびっくりしました」
――最後に見どころを教えてください!
「海咲の再生、そして晶太郎との関係性にも、ぜひ注目していただきたです。東京も含め、天草、イタリアのロケ地が本当に素晴らしくて、映像も美しいと思うので、そういった点も楽しんでいただければ。源監督のセンスも素晴らしいので、ぜひ『TRUE COLORS』の世界に浸っていただければと思います」
――ありがとうございました。
【プロフィール】
倉科カナ(くらしな かな)
1987年生まれ。熊本県出身。連続テレビ小説「ウェルかめ」(2009年/NHK総合ほか)で主演を務め、注目を集める。最近の出演作にAmazon Prime Video「【推しの子】」&映画「【推しの子】-The Final Act- 」やLemino「情事と事情」(ともに24年)など。
【番組情報】
プレミアムドラマ「TRUE COLORS」
1月5日スタート
NHK BS/BSプレミアム4K
毎週日曜 午後10:00~10:50
取材・文/Kizuka(NHK担当)
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