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佐野勇斗が朝ドラ「おむすび」で経験した今までにないうれしい出来事とは…!?2024/12/23 07:00

佐野勇斗が朝ドラ「おむすび」で経験した今までにないうれしい出来事とは…!?

 NHK総合ほかにて、現在放送中の連続テレビ小説「おむすび」。食と人情の街・福岡、神戸、大阪を舞台に、日本の朝に元気と笑顔を届ける“朝ドラ”第111作だ。平成時代のギャル・米田結(橋本環奈)が人々の健康を支える栄養士となり、現代人が抱える問題を、食の知識とコミュニケーション能力で解決しながら、目には見えない大切なものを次々と結んでいく“平成青春グラフィティ”。今週放送の13週では、結の恋人で、社会人野球で活躍している四ツ木翔也(佐野勇斗)がけがをしてしまい地元・栃木へ帰ってしまう。

 今回はそんな翔也を演じる佐野さんにインタビュー。役作りや印象的なシーンについてたくさん語ってもらった。

――高校球児の役ということで、髪の毛を短くした時のご自身が所属するM!LKのメンバーやファンからの反響はどうでしたか?

「芸能生活を始める前から生まれてこの方、髪の毛をここまで短くしたことがなくて、地元の友人からも僕といえば長い髪の毛というイメージがあったので、切ることに関しては勇気が要りました。この世界に入ってからの夢だった朝ドラなので決意して切ったのですが、周りからは『意外と似合っているね』という声と、『モンチッチに似ているね』という声をいただきました。今回全部じゃないですけど、自分でそったんですよ。そりながら意外と悪くないなっていう。ちょっと絶望しながらそっていたのですが、意外と悪くないなっていう印象でした」

――ご自身でそるのは怖くありませんでしたか?

「いや、怖かったんですけど、どうしても1発目は自分でいきたいと、僕が志願していっちゃいました」

――最初の場面の福岡・糸島での思い出の場所はありますか。

「海の場所ですかね。結と出会う砂浜のシーンと、よく結と待ち合わせをしていた堤防、1話で海に飛び込んだシーンなど同じような場所で、撮影ではその1カ所しか行っていないんです」

――糸島フェスティバルの打ち上げとして、米田家で宴会をやった時の“福西(福岡西高校)のヨン様ポーズ”が非常に印象的でした。実際に本物のヨン様(ぺ・ヨンジュン)も何か参考にされましたか。

「あのシーンは僕のアドリブでやったわけではなく、しっかり台本に書いてあったシーンです。翔也のキャラクター的にどこまでやったらいいのかっていうのはすごく悩んだんですけど、もうやっちゃった方がいいんじゃないかなと思って、きちんと調べてぺ・ヨンジュンさんの画像を何度も見返して、手のどちらが上なのか、表情、首の角度なども研究しました」

――佐野さんはソフトボールとサッカーをやっていたということですが、今回高校球児から社会人野球選手という役で野球は初めてだったと思います。やってみて分かった野球の魅力について教えてください。

「元々野球がすごく好きで、ソフトボールをやっていたというのもありますし、父親とよく今でいうバンテリンドーム(ナゴヤ)などに足を運んで中日ドラゴンズを応援していました。でも、ピッチャーをきちんといわゆる野球の上投げでやるのは初めてでした。ソフトボールをしていた時も、ショートやセカンド、下投げでピッチャーもやったりして謎の自信があったのですが、難しくて苦労しました。魅力じゃなくて申し訳ないんですが、何度練習しても楽しくて、本当にプロの方々が剛速球を投げているのは相当な努力をされているんだなっていう、いちファンとしては、改めてプロの方々のすごさを感じることができました」

――同じ社会人野球チームのエース・澤田龍志を演じる関口メンディーさんとは、撮影の合間などお話はされましたか。

「メンディーさんは初めましてだったのかな。うち(M!LK)のメンバーの吉田仁人もお世話になっていて、そこから話を広げていったのですが、メンディーさんは野球経験者なのでグローブを磨いてくださったりもして。『こうやって投げた方が早く見えるよ』など、いろいろなアドバイスもいただきました」

――これまで撮影を進めてきた中で、現時点で一番印象に残っているシーン、またその理由も含めて教えていただけますか?

「これは結構反響もあったシーンではあったのですが、甲子園に行けなかった翔也が、いつもの海で結と会った時の『1回失敗しても最終的に夢にたどり着ければそれでいい』っていう、『何回失敗してもやり直せばいいんだよ』っていうセリフが僕の中ではすごく印象に残っていて。僕自身も夢や目標があるので、言いながら励まされたシーンで印象に残っています」

――翔也が自分と似ている、違うと思う部分があれば教えてください。そして、役作りで野球の練習以外にも何か準備したことがあれば教えてください。

「いろいろな役をやらせてもらう中で、自分と似ているところをよく探すんです。翔也は本当に僕と似ているところが多くて、もうほぼ自分なんじゃないかなと思うくらい。考えていることや日記を書いていることなど、逆に違うところを探すのが難しいです。一つあるとすれば、僕は多分あんなに長い期間、結のことを“米田結”とは呼ばないです。もっと序盤で呼び方を決める時間を作ります。役作りとしては、栃木ことば・方言を、猪瀬(光博)さんという方がずっと付きっきりで教えてくださって、何度も練習の時間を設けていただいて。僕は愛知県出身で方言がある地域で育っているので、方言のことで視聴者の方に違和感といいますか、クエスチョンを付けたくないなっていう思いがあって、毎日ずっと音声を聞いて練習していました」

――似ているところが多いとのことですが、翔也を表現するに当たってどんなことに気を付けましたか。そして、結とのお芝居で特に気を付けたことはありますか?

「一つはやはり朝ドラ特有といいますか、撮影の期間は1年ぐらいですが、高校生から大人まで演じなきゃいけないというところで、僕自身はほぼ変わらない中でその年齢を演じ分けなきゃいけないっていうのは意識していた部分です。初めての経験でしたが、声色やスピード、表情、落ち着きがない感じなどは意識して演じていました。結との出会いのシーンも、ちょっと格好つけちゃう節があったり。僕の中では、映画『となりのトトロ』に登場する(主人公のクラスメイト)カンタ(大垣勘太)をイメージしていました」

――本作は栄養や野菜など食事が大事というお話でもあると思いますが、本作を通して食事に対して何か考えが変わったことや元から大切にしていたことがあれば教えてください。

「本当に僕は食に疎く、毎日同じものでもいいぐらいなんですよ。一人暮らしなのもあって、栄養なども気にしないですし。ただ、本当に食事って大事なんだなっていうのをこの作品で学ばせていただいたので、野菜は食べていますね。あと、多少筋トレもしているので、タンパク質などは少しですが意識して取るようになりました」

――今、お気に入りの食べ物やパワーが出る食べ物はありますか。

「ラーメンです! みそ味が好きなんです」

佐野勇斗が朝ドラ「おむすび」で経験した今までにないうれしい出来事とは…!?

――この作品はつながりを大切にしている作品ですが、佐野さんがつながりや縁を感じている人はいらっしゃいますか。

「難しいですね。つながりとか縁を感じる人か、誰だろう。やっぱり撮影に立ち会ってくださる皆さん(笑)。こんなにたくさんの方に集まっていただいて、縁を感じますよね。昔から来てくださる方もいますし。あと、やはりM!LKのメンバーはすごくつながりを感じますね。先日10周年を迎えてライブを行ったのですが、節目というのもあって、普段真面目な堅苦しい話をしないメンバーたちがMCの時に自分への思いを語ってくれたんですよ。その時は心にぐっとくるものがありましたし、もちろん心折れそうな時も多々ありますけど、メンバーのために身を削って頑張りたいなって思えた瞬間だったので、すごくいいチームで活動させてもらえて幸せだなと感じました」

――朝ドラに出演されて、一番うれしかった言葉や意外なことを言われた経験はありますか。

「アイドルをやっているのもあり、僕より年下のファンの方が多いのですが、球場で撮影をしている時に、僕のおばあちゃんぐらいの世代の方々が大勢いらっしゃって。お散歩をしているのかなと思ったら、『佐野くんがいるらしいよ!』みたいな感じで集まってくれていたんです。ただ、皆さんの前を通ったのですが、僕は丸刈りだったので気付かれず(笑)。今までにない経験だったので、幅広い方々に知ってもらえたというのはすごくうれしく思っています」

――朝ドラに出るためには?

「ある俳優さんと映画でご一緒した時に、『ワンカットに命を懸けろ』という言葉を言っていただいたことがあって。全力でやっているつもりではあったのですが、やはりどうしても、常に最高の演技というのは難しいのが人間だと思うんです。ただ、ワンカットでも、例えば自分が死んだ時に使われるシーンを作るのが大事なのだと。『これが死んだ時に使われるんだっていう気持ちでやれ』という言葉をいただいたからこそ、そこから日々一つ一つのシーンを全力でやることと、口に出して言うことを続けていました」

――座長としての橋本さんの魅力と、結の魅力も教えてください。

「環奈さんとは2回目の共演なのですが、以前共演した映画のチームがすごく仲良くて、定期的にご飯を食べたりしていて、つながりがある中での共演だったんです。めちゃめちゃ上から見ているようで環奈さんには申し訳ないのですが、こんなに大きな作品で座長をやるってどういう感じなんだろうと思っていて。でも、環奈さんはもうありのままで、ずっと何も取り繕わないんですよ。人に対して、そして作品に対して愛がある子だなっていうのをすごく思います。ヒロインってスケジュールを見るととんでもないシーン数で、大変だなと思うことも多いのですが、あれだけ朝ドラ以外にも別の仕事をたくさんやっていて、この1年間元気じゃなかった時を見たことがないんです。彼女は当たり前と言うかもしれませんが、セリフも絶対きちんと頭に入れてくるし、先頭に立っている彼女が一番強く明るく、本当にありがちな言葉ですが太陽のような存在で現場にいてくれるので、そこは多分スタッフ一同、僕らキャスト一同、みんなが救われていると思います。すごく膨大な量のスタッフ陣の名前を、セリフを覚える時間すらもないだろうに、ちゃんと復習して覚えていたりして本当に尊敬します」

――結と橋本さんに共通点はありますか?

「結と環奈さんはちょっと似ているところがあって、環奈さんも世話焼きで、困ってる人がいたら助けてあげたり。お母さんのような節があって、僕が大阪で『やることないんだよね』という話をさりげなくしていたら、数件『ここ行って』と場所を教えてくれたりして、そういうところも本当にすごいなと思います」

――結と翔也の関係の変化を、演じる上で意識されたことはありますか。

「徐々にというのはありました。翔也は野球ばっかりやってきた子なので、初めは女性に対する目線、しゃべり方をちょっとぶっきらぼうにしたり。ただ、心を開けばすごく話すし、思いやりもあるし、真っすぐだし…というのは意識していたと思います」

佐野勇斗が朝ドラ「おむすび」で経験した今までにないうれしい出来事とは…!?

――佐野さんはデビューされて数多くの作品に出られてますが、今回ずっと出たいと思っていた目標の一つである朝ドラにご出演されています。本作は3月まで続きますが、ご自身にとってどんな作品になると思いますか。

「難しいな。今年4月から撮影していたのですが、朝ドラに出ているっていう実感があまりなかったんですよ。撮影中、本番でオッケーが出た後に映像をチェックできるタイミングがあるのですが、放送の時に出る『連続テレビ小説“おむすび”』みたいなテロップが付いた時に、『俺、朝ドラ出てる!』とすごく鳥肌が立ったのを覚えていて。そこで実感が湧きました。人生において夢をかなえるというのは、さっきも言ったように誰しもができるわけではないのですが、努力をしなければかなう可能性がゼロになるわけで…。そこに向かって頑張って、1個の結果をつかみ取れたっていうのは、自分の中でも本当に大きな自信につながりましたし、後輩や子どもたち、みんなにその気持ちを伝えていけたらなと思わせてもらえた作品になりました」

――ありがとうございました。

【番組情報】
連続テレビ小説「おむすび」

NHK総合
月~土曜 午前8:00~8:15ほか ※土曜は1週間の振り返り
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
月~金曜 午前7:30~7:45ほか

取材・文/a.o(NHK担当)



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