「あのクズ」斉藤由貴、娘役・奈緒との撮影秘話明かす「心配りや優しさに感動」2024/11/26 06:00
TBS系では、奈緒主演の火曜ドラマ「あのクズを殴ってやりたいんだ」(毎週火曜午後10:00)を放送中。今作は、完全オリジナルで描かれる“クズきゅん♡ボクシングラブコメディー”だ。
恋もボクシングも本気で向き合う主人公・佐藤ほこ美(奈緒)は、真面目で真っすぐな性格の29歳。結婚式当日に彼氏に逃げられ、人生どん底のタイミングで金髪の謎の男・葛谷海里(玉森裕太/Kis-My-Ft2)に出会う。それをきっかけに「もうクズな男に泣かされるのは嫌だ!」と、自分を変えるためにボクシングを始めるストーリーだ。
今回は、ほこ美の母で、スナック「明美」のママを演じる斉藤由貴さんにインタビュー。ヤンキー全盛期の頃に知り合った最初の彼氏に始まり、付き合う男はみんなクズという数奇な人生を歩んでいる明美。物語後半では、数多くの経験から母親としてほこ美を後押しする展開も見どころに。第8話に向けて、作品への思いや役について聞いた。
ドラマにとって、ベタさは実は重要なこと
――物語も後半になりましたが、明美を演じる上で感じた印象についてお聞かせください。
「まず、自分の娘にほこ美とさや美(鳴海唯)という名前を付けた、そのセンスにひかれました。そこが一番好きなところで、そういうお母さんを演じようと思いました」
――明美という名前についてはいかがでしょうか。
「明美という名前が、スナックのママとしてこれ以上にないくらいベタじゃないですか。きっとドラマにとって、そのベタさは実は重要なことで。キャリアを重ねるにつれて、それを嫌ってはいけないことを、その大切さをだんだん感じるようになりました。明美ママという呼ばれ方もしっくりきましたし、役作りの一助になっています」
――演じる上で意識していることはありますか?
「今作は、ラブコメでありながら真面目で固い女の子が、自分の殻を破る物語。その中で自分が出る分量みたいなものを考えた時に、私のアプローチの仕方というのは、ある程度ベタさを求められているんだろうなと思いながら演じています」
――明美ママがスナックで歌うシーンは、映像からも楽しさが伝わってきました!
「歌うシーンはすごく楽しかったです。今の世の中は、シティポップと言われるものが、若い世代を中心に日本だけではなく外国の人たちからも人気とのことで。劇中で歌った曲は、その時代にヒットしたものをピンポイントで歌っているので、私自身も楽しめました」
奈緒さんの心配りや優しさに感動しました
――奈緒さんと親子役で共演していかがでしたか?
「まず最初に、とても演技力の高い女優さんだなと、おこがましいですが思っていました。人当たりがすごくいいのはもちろん、彼女からお手紙とプレゼントを頂いたんです。お手紙には、『由貴さん演じる明美ママが大好きで、家に帰ってからも思い出すと涙が出ちゃうぐらい、ご一緒できてうれしかったです』と書いてくださっていて、うれしかったですし、それを書けることが素晴らしいなと。きっと私だけでなく、他の皆さんにも自分の思ったことを一筆書いてきちんと準備していたと思うので、そういう心配りや優しさに感動しました」
――明美が玉森さん演じる海里を見て「まぶしー!」と言うシーンもありましたが、本当にまぶしそうでしたね。
「画面上で玉森さんを見た時に、まずその存在が魅力的だなと。玉森さんは、演技がお上手なのはもちろん、そういう雰囲気をしっかりと携えた人だなと感じました」
ほこ美の変化に注目していただきたい
――今作はほこ美ががむしゃらにボクシングをし、自分を追い込んでいく作品です。そんな子どもの姿を親目線でどう思いながら演じていますか。
「『やりたいことをやりなさい』という気持ちと同時に、重傷を負う可能性もあるスポーツ種目なので、何かあったら取り返しのつかないことになります。それに対して不安になるのは、特にお母さんなら当然ですよね。物語の後半で、明美がほこ美に自分の気持ちを伝えるシーンがいくつか出てきますが、最終的に何があろうと彼女の人生なので、『そういうことなんだな』と考え過ぎずに受け入れる。ふっと目を離す天性の勘みたいなところを意識しながら演じています」
――天性の勘はどんなところから感じましたか?
「明美は、何十年もスナックで、相手の思いを察しながら寄り添って生きてきました。ほこ美を後押しする場面でも自然と心に刺さる言葉で伝えていて、演じながら私自身もこんなふうに言えたらいいなと何度も思いました」
――今作は、ほこ美がボクシングという未知の分野に飛び込んでいくわけですが、斉藤さんご自身、一念発起して踏み込んでみたい世界はありますか?
「最近は、禅の世界、道元禅師というお坊さんが書いた『正法眼蔵』という本を読み始めました。その本のテーマが“分からないということを分かることが悟り”、そこにまず興味を持ちました。さらに、“放てば手に満てり”という、手放せば大切なものが手に入るということが書かれています。なんて素晴らしい考えなんだと深く心に刺さり、学んでみたくなりました。でも、その本はとんでもなく難しいので、今は初心者向けの入門編を読んでいます」
――クライマックスに向けて、斉藤さん目線で注目してほしいところはありますか?
「やはりお母さん目線として、ほこ美の変化は大きいです。今、閉塞(へいそく)的な世の中で、自分の殻を破れない人が多分いっぱいいると思うんですね。そんな中でほこ美は、自分がけがしようがなんだろうが、スタートは自分を振った彼氏に復讐(ふくしゅう)してやりたい気持ちがきっかけかもしれないですが、それが最終的に自分を強引にでも前進させていく機動力になっているなと。そのほこ美の変化に注目していただきたいです。それとは逆に、全く別の意味で“自分は幸せになる権利がない”と自分を閉鎖している海里さんが、幸せを求めていいんだと心を開いていくさまも見どころです。最後まで楽しんでいただける作品になっていますので、まずは第8話をお楽しみください!」
【番組情報】
「あのクズを殴ってやりたいんだ」
TBS系
火曜 午後10:00~10:57
【プロフィール】
斉藤由貴(さいとう ゆき)
1966年9月10日生まれ。神奈川県出身。俳優、歌手、作詞家、ナレーターとして多岐にわたり活躍。最近の出演作は、ドラマ「大奥」(NHK総合)、「Dr.チョコレート」(日本テレビ系)(いずれも2023年)、「95」(テレ東系/24年)、映画「徒花-ADABANA-」「変な家」「立て髪貴婦人」(いずれも24年)など。
取材・文/N.E(TBS担当)
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