ビジネス動画メディア「ReHacQ」100万人登録、高橋弘樹プロデューサーを直撃!2024/10/31 20:30
テレビ東京を退社後すぐの2023年3月、高橋弘樹プロデューサーが立ち上げたビジネス動画メディア『ReHacQ(リハック)』。同チャンネルが開設からわずか約1年半後の2024年9月28日、YouTubeチャンネル登録者数100万人を突破した。テレビ東京時代に統括を担当していた「日経テレ東大学」(23年3月でチャンネル終了)が100万人を達成した1年10カ月より早く、偉業を成し遂げた。人気番組「家、ついて行ってイイですか?」(テレビ東京系)などのヒット作を手掛けてきた彼に、「ReHacQ」制作の裏話をはじめ、ゲストからの話の引き出し方、チャンネルが目指すもの、自身の野望について語ってもらった。
(本記事は2024年10月31日発売の「TV Bros. 」を一部抜粋したものです)
高橋プロデューサーの真骨頂、ゲストの魅力を最大限に引き出す方法
――「ReHacQ」では、政界の方からビジネス最前線の方のみならず、旬な方を即座にキャスティングされていますが、「ReHacQ」だからこそ聞ける話も多いと感じます。その“引き出し力”はどこにあるのでしょうか。
「一番大事にしているのは、“話をさえぎらないこと”です。あとは、自分ないしスタッフが興味のある人に声を掛けることを大前提としています。仮に案件をいただいたとしても、興味のないものは取り上げていないんです」
――多種多様なジャンルで活躍する方々がゲストに招かれていますよね。高橋さん自身が幼い頃から興味の幅も広かったのでしょうか?
「そうですね。中学受験のために勉強をしている頃から、学ぶ楽しさを感じていましたね。その頃は、勉強が楽しいというよりも、新しいことを知ることが楽しかったのを覚えています。でもきっと、これはどこかからの刷り込みだと思うんですけどね(笑)。知ることで世界がより理解できる面白さも感じていましたし、何よりもほかの人より多くを知っていることで自分の承認欲求を満たしていたように思います」
――最近の配信回で、交通系YouTuberのスーツさんが出演していた際、“知ることで地元も楽しい旅行になる”と言っていたことが印象的でした。
「そうなんですよね。先日家族と湘南に遊びに行ったんですが、逗子と鎌倉の間に、小坪という昔ながらの漁師町があるんです。その街の風景がすごくすてきなんですが、国道134号線から入ったところにあるがゆえに、地元の方にしかあまり知られていないんですよね。さらにその奥には日本のビバリーヒルズと呼ばれている高級住宅街の披露山庭園住宅地があり、見ているだけですごく楽しいんです。そこを抜けると逗子にたどり着くルートがあるんですが、これも知っていたから楽しめたことで、知らなければ134号線を真っ直ぐに走って逗子に向かうだけなので、もったいないなと感じたんです」
――まさに「ReHacQ」はそういった知的好奇心を刺激してくれるチャンネルだと思います。高橋さんがゲストをキャスティングする時に大事にしているのはどんなことでしょうか。
「“本物”であることです。ビジネス動画メディアなので、ビジネスパーソンや若い人、学生にも学びとなる役立つものにするのが大前提なので、出演いただく方は政治家をはじめ、企画経営者、学者などさまざまな肩書がありますが、どの方も決して怪しい人ではなく、しっかりと研究や行動で成果を出している人や、心(しん)が通っている人に声をかけさせていただいています。そういったお堅いと思われる方々のお話を、スポーツ新聞テイストでお届けするのが『ReHacQ』の特徴です。ただ、そのノリを警戒する人は出てくれないですけどね(笑)」
――それにしても、そうそうたる方が出演されていますよね。
「ありがたいことですね。先日、経済産業省・商務情報政策局長の野原諭さんに出演していただいた時は“やった!”と実感しました。政治家さんはリスクを取れるので、怪しいメディアでも知名度につながれば出てくれることはあるんですが、経産省や省庁などはリスクを気にするので、信用できるメディアでないと出てくれないんですよね。そういった意味では経産省の幹部局長が出てくれるようになったのは、信用されるチャンネルになっているのだなと思えたんです。これまでも、自民党総裁選の候補の方はスケジュールが合わない方もいましたが、ほとんど出てくれましたし、政治家の方からは一定の信頼を得ていると思います」
――東京都知事選の討論会も驚きでした。
「そうですね。実施できてよかったと思っています。企業の上場企業社長なども出演していただけるようになりました。今後もそういったジャンルの方々ともお話を聞いていきたいですし、テレビ東京の先輩でもある佐久間(宣行)さんも先日出演してもらいましたが、以前の会社にいた時とはまた違った角度でエンターテイメントの面白いお話がたくさん聞けました」
――高橋さんは前身の「日経テレ東大学」時代から、人から話を引き出す能力が高いように思いましたが、インタビューは得意だったのでしょうか。
「最初は怖かったですね。すごく難しいですし、失礼がないように、とにかく真面目にやっていました。でもいろんな方から話を聞いていくうちに、自分のペースに持っていくのではなく、相手の話すペースに合わせることが大事なことに気付きました。先日、高市早苗さんにお話を聞いた時も、話が途切れない方なので、おとなしく聞く側に徹しました(笑)。1時間で質問を6回くらいしかしていなかったかもしれません。でも、それでいいんです。その方が聞きたいことを聞けるんですよ」
――ほかのメディアでは偏見を持たれがちな方々も、「ReHacQ」ではその方の素顔が引き出されたり、魅力を発見できることも多いです。
「それはすごくあると思います。最近だと石丸伸二さんや自民党、立憲民主党、企業の経営者など、偏見を持たれがちな部分を取り除いて、ちゃんとその人の思いを届けることが、チャンネルとして大事にしていることでもあります。イメージアップされた方々から、僕はお礼をもらいたいです(笑)」
「オシャレで数字は取れない」しっかり“あおる”ことを意識している理由とは
――貢献者として(笑)。先ほど高橋さんが「ReHacQ」は“スポーツ新聞テイストで伝える”とおっしゃっていましたが、サムネイルや前振りなど“あおり”がいい方向になっているように感じます。“あおり”には技術が必要ですよね。
「ちゃんとあおることを意識しています。うそじゃない“あおり”をしますし、あおった先に何もないとスカシになってしまいますが、それはうちのチャンネルにはないです。“あおり”って、オシャレじゃないんですよね。それでも僕があおるのは、中身に自信があるからです。タレントや一流の文化人であればあるほど、ほかのメディアでは言わないようなことをどこまでも追求できるような、一定の下品さを保っていきたいなと思っています(笑)」
――たしかに、オシャレとは対極にあるチャンネルに見えます。
「でも視聴者層は最近女性も増えて、今は男女比7:3くらいです。20年この業界にいて、僕はオシャレができないことに気付いたんです(笑)。チャンネルに漂う男子校感とかは時代と逆行していることも分かっているんですが。でも、テレビというマスメディアに20年いて思ったのが、オシャレで数字は取れないし、世の中は変えられないんです。そういう意味でも、たとえオシャレではなくても、中身が本物であることが一番強いものだと思っています。現在、メジャーなビジネスチャンネルはいくつかありますが、一本当たりの平均の再生回数が一番多いのが、ダントツで『ReHacQ』なんです。それは、『見たい』と他人に言いたいものと、見たことで自分の脳に入り込み、世の中を変えていこうという思考するものって違うということの証明だとも思っていて。だからこそ、雰囲気に流されたり、自分がオシャレと思われたいと思って変えてはいけないなと思っています。それに、見てくれた人には、全体をしっかり把握してほしいというわけではなく、何かひと言でも、言葉が刺さればいいんですよね。たとえば、学生時代、いろんな本を読んだと思うんですが、覚えていることって断片ですよね。テレビやCMなども、ちょっとしたフレーズ以外は全部忘れちゃいますし(笑)。でも、その一言が『ReHacQ』の中にあればいいんじゃないかなと思っています」
――TV Bros.がサブカルチャーに焦点を当てた媒体なのですが、高橋さんが学生の時にハマっていたサブカルチャーはありましたか?
「サブカルとは言えないかもしれないですが、ニッチな旅は好きですね。普段誰も行かないような観光地を取り上げることも多いですし、廃墟なども大好きです。先日は、佐渡島をテーマにしている、けえ(島育ち)さんというYouTuberにお話を聞きました」
――そういった情報収集はどこでされているのでしょうか。
「ABEMAで番組制作もしているのですが、サイバーエージェントの若い方から、けえさんがはやっていることを聞きました。そういったところから得ることも多いですね。……少し話がそれてしまいましたが、サブカルというと、テレビ東京に入社した1年目に、みうらじゅんさんとお仕事をさせていただいたことが大きかったかもしれないですね。僕はテレビ東京に報道志望で入社しましたし、エンタメに興味なく生きてきたんですが、みうらさんと出会って、それまでは教科書を読んだり、本を読めば知識はついていきましたが、自分でジャンルを開拓して、自分で調べるべきものを作っていく姿勢に感銘を受けたんです。その出会いはかなり大きかったように思います」
――これまでのゲストの方のお話や、衝撃だったなど印象深い回はありますか?
「先日、高市早苗さんが永田町での飲み会に行く回数が少ない理由として、飲み会でのトーク内容がパンツの色やデリヘルがどうとかだからと話していて。令和の今もそんなことをやっているんだと衝撃を受けましたね。あとは旅での発見も多いですね。石丸伸二さんが安芸高田市長の頃、橋を渡ったら島根というような県境にある川根村に行ったときに見た光景が印象的でした。もう住人も少なく、誰も管理していないようなところだったんですが、そこでは数十年前は、能舞台の真ん中にコタツを掘って神楽の舞台をみんなで見ていたと話していて。その光景は写真でも見たことがなかったですし、話としてもそこまで興味ひかれる人も多くないから、語られてもいなかったんですよね。そうやって消えていくような歴史の一場面を残せた時は、聞いてよかったとも思いましたし、どこのメディアも取り上げてない、価値があるものを残せたなと思いました」
個人的に興味のあること、今後「ReHacQ」が目指す高みとは
―― 今、高橋さんが興味を持っていることはどんなことですか?
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インタビュー全文は、2024年10月31日発売の「TV Bros. 」にて掲載!
【プロフィール】
高橋弘樹(たかはし ひろき)
1981年生まれ。東京都出身。早稲田大学政治経済学部卒業後、2005年にテレビ東京へ入社し、「家、ついて行ってイイですか?」などのヒット番組を企画・演出。21年より登録者数100万人を達成したYouTubeチャンネル「日経テレ東大学」(23年3月で終了)の企画・制作統括を務め、23年2月末、テレビ東京を退社。同年3月より自身が代表を務める株式会社tonariにてビジネス動画メディア「ReHacQ(リハック)」を立ち上げる。株式会社サイバーエージェントにも所属してABEMAで映像制作も担い、2024年夏には前年に話題を呼んだ“せかはて”シリーズ第2弾、「世界の果てに、東出・ひろゆき置いてきた」も旋風を巻き起こした。著書に「1秒でつかむ」(ダイヤモンド社)、編著書に「なんで会社辞めたんですか?」(小社)などがある。
撮影/近藤誠 取材・文/吉田可奈
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