ドラマ「彼女のいない時間」主演キム・ヒョンジュンが込めた思いとは…2024/11/05 12:00
11月6日からメ〜テレで放送される「彼女のいない時間」(全4話)は、日韓のスタッフが集結し、韓国の江原道と日本の名古屋で撮影された日韓合作ドラマ。最愛の妻を事故で亡くした主人公・ウンテ役を演じたキム・ヒョンジュンに、撮影のエピソードや役作りについて話を聞くことができた。
――日韓合作ドラマで主演を務めるということですが、オファーを受けた時の気持ちを教えてください。
「日韓の合作作品に声を掛けていただき、とてもうれしかったです。韓国の作家が脚本を書き、日本の監督のもと、韓国の撮影・照明スタッフによって撮影され、メ〜テレさんで放送されるこの作品に主演できたというのは、とても感慨深いですね。僕がデビューした頃は、韓国のアーティストが日本の作品に参加するということはなかなかできませんでした。当時は、逆に日本の文化もなかなか韓国で受け入れられないようなこともありましたが、政治のことは分かりませんが、少なくとも文化的な面で今は韓国と日本の文化がすごく近づいたのかなと思います。なので、こうやって日本と韓国の合作作品が作られるようになったのは自然なことではないかなと。今作をきっかけに、日本と韓国の間でドラマや映画、演劇やミュージカル、音楽などで、たくさん交流ができたらいいなと思います」
――劇中では日本語のセリフもたくさん出てきますが、日本語のセリフはどのように覚えたのでしょうか?
「ただ覚えるだけではなく、まず自分がウンテの気持ちになり、その言葉を理解するということから始めました。相手に対してどういう気持ちでいるか…ということを考えながらやっていたので、単にセリフを暗記するのではなく、自然と覚えていけたのではないかと思います。ただ、日本語を全く知らないわけではなかったので、今まで日本でやってきた活動がこういう時にも助けになるんだなとありがたさを感じて。撮影しながら、ときどき自分で考えてアドリブを入れてみたりもしたんですよ」
――特に難しかったセリフ、また好きなセリフはありますか?
「なかなかうまく言えないセリフがいくつかありました。(ヒロインの)天翔天音さん演じる少女と一緒にゲストハウスに泊まってやりとりをするシーンでは、初めて見る日本語の単語が出てきたんです。その時は、特に難しいなと思いましたね。夜のシーンだったのですが、ほぼ丸1日かけて、朝の7時ぐらいまで撮影していました。そして、記憶に残っているのは、韓国語の『돌아가고싶다(トラガゴシプタ)』という言葉。もともと『帰りたい』という意味としては知っていたのですが、今回『取り戻したい』という表現で出てきたので、驚きました」
――ウンテは最愛の妻を亡くし、ショックのあまり妻の記憶を忘れてしまうという役柄です。ウンテを演じるにあたって、悲しみの表現など何か意識した部分はありますか?
「ウンテは妻を亡くした悲しみのあまり、後を追おうとまで考えるのですが、ある1枚の写真を見て思いとどまり、それをきっかけにチョンソンという町に向かうことになります。実際にその過程を考えたのですが、きっとウンテはその3~4日間、全然眠れていないんじゃないかなと。なので、メークさんにもできるだけ疲れた感じにしてほしいとお願いしたのと、僕自身もそう表現できるように心掛けました。そして、人目につかないように実際の葬儀場にも行き、そこでの悲しみを自分のものとして感じてみました。一人取り残された孤独や悲しみというものを、僕自身も感じながら、内面的にも外見的にも努力をしました」
――旅先で出会う不思議な少女を演じた天翔さんとは、演じる前に相談などすることはあったのでしょうか?
「天音さんと僕はかなり年齢の差があります。それにまだ若いので、恋人との別れのシーンなど、感情をうまく表現できるのかなと思っていたのですが、悲しみなどもきちんと分かっている方でした。とても大人っぽい部分があって、呼吸が合うだろうかと心配する必要もありませんでしたね。
ただ、天音さん演じる少女は高校生のような姿、僕は彼女よりずっと年上の妻を亡くした男という設定なので、演技でスキンシップを取る際、視聴者の方に変なふうに思われてはいけないと、ある程度の距離感を取りつつ美しく表現することを意識しました。実際に映像を見ていただくと分かるのですが、決して変には見えず、2人が寄り添うと、2人がよりかわいそうに、そして互いに支え合ってほしい…と、感じるような仕上がりになっていると思います」
――実際に天翔さんは高校を卒業したばかりの19歳ですが、お話をする時などジェネレーションギャップを感じることはありましたか?
「撮影の時は全く感じませんでした。ただ、先日ドラマの試写会が終わった後にみんなで食事に行ったのですが、その時に初めて感じましたね。どんな歌手や作品が好きかという話題になった時に、僕は歌手だと安室奈美恵さんや浜崎あゆみさん、倖田來未さん、ドラマは『1リットルの涙』(フジテレビ系/2005年)、映画は『Love Letter』(1995年)を挙げたのですが、天音さん(2005年生まれ)はあまり分からないようでした…(笑)」
――劇中にタイムカプセルが出てきますが、ヒョンジュンさんが今、タイムカプセルに入れておきたい思い出などはありますか?
「実際、僕にとってタイムカプセルと言えるようなものがもうすでにあるんです。家に金庫があるのですが、お金ではなく、そこに自分が今まで出してきたCDの音源を制作した時のマスターCDをしまっていて。これまで出演した作品の台本も保管しています」
――長い期間活動されてきたヒョンジュンさんのとても大切なものですね。では、20年前と20年後の自分に何かメッセージを伝えるとしたら、どんなことを言いたいですか?
「20年前の自分には…当時は練習生として歌手デビューを目指していましたが、もうこれ以上頑張りようがないというくらい頑張っていたので、『今のままで充分よくやっているよ、これからもその調子で頑張ってください』と伝えたいです。
20年後の自分に対しては、『これまでたくさんのことを経験して、たくさん守るべきものもできたと思う。これからもアーティストとして、演技や歌をしっかりと続けてくれるとうれしい。そして、自分のことを大切に思ってくれる人たちのことを忘れることなく、いつでも初心に返って、感謝の気持ちを持ち続けてほしい。その愛情に対するお返しをするつもりで、音楽と演技に取り組んでほしい。商業的な作品にも参加すると思うけれど、感動を与えられるような作品にも参加して、とにかく音楽と演技を続けていて』と、伝えたいです」
――ヒョンジュンさんにとって、演じることと歌うことをそれぞれひと言で表すと?
「そうですね。言ってみれば演じることも歌うことも僕にとっては右腕左腕みたいなもので、どちらもなくてはならない、僕にとっては必ずあってしかるべきもの。もしも両方なくなってしまったら、きっと僕は何もすることがなくなるだろうなと思います」
――それでは最後に、今作を楽しみにしている視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。
「この『彼女のいない時間』という作品を見てくださる皆さんに伝えたいことがあるとすれば、まずは自分の大切なものについて改めて考え直してほしいということです。人というのは、大切だと分かっていても、それが日常になるとその大切さを忘れてしまいがちです。別のものに意識を向けてそれを大切だと思うようになって、いつかそれによって傷を受けたりして、もともと大切だと思っていたものに戻ってきたりする。そういうことを無限ループのように繰り返していくものなんじゃないかなと思います。
また、人生というのは自分たちが思っているほど長くありません。本当に短いものです。だからこそ一番近くにある大切なものを改めて認識し直して、より大切にしてあげてほしいと思います。そして仮に、もしその一番大切なものがなくなったとしても挫折することなく、きっとまたいつか大切なものに会えるという、期待を持って生き続けてほしいです」
【プロフィール】
キム・ヒョンジュン
2005年に韓国の5人組グループ・SS501のリーダーとしてデビュー。ソロ歌手としても精力的に活動する傍ら、数多くのCMやバラエティー番組で活躍。ドラマ「イタズラなKISS~Playful Kiss」(10年)、「花より男子~Boys Over Flowers」(23年)などで日本でも大ブレークした。
【番組情報】
「彼女のいない時間」(全4話)
メ〜テレ
2024年11月6日スタート
毎週水曜 深夜0:20~0:50
※放送時間は前後する可能性あり
・TVerで見逃し配信あり
・Leminoで配信限定完全版の配信あり(テレビ放送と同時配信)
公式HP:https://www.nagoyatv.com/twh/
取材・文/haru*hana編集部 撮影/尾崎篤志
haru*hana(ハルハナ)とは?
アジアエンタメ好きのためのグラビア情報誌「haru*hana」。
ドラマやK-POPはもちろん、芸能ニュースまで網羅! アジアのエンタメの“いま”を知るならこの1冊!
Twitterアカウント:@haruhana_tvg
バックナンバー:http://haruhana.zasshi.tv/
キーワード
この記事をシェアする