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コリン・ファレルが特殊メークで挑む「THE PENGUIN-ザ・ペンギンー」に懸ける思い2024/10/31

コリン・ファレルが特殊メークで挑む「THE PENGUIN-ザ・ペンギンー」に懸ける思い

 「THE BATMANーザ・バットマンー」シリーズのスピンオフ作品で、コリン・ファレルが演じるオズ・コブ(通称・ペンギン)を主役にしたドラマ「THE PENGUINーザ・ペンギンー」が配信中。特殊メークによって全くの別人“ペンギン”の姿に扮(ふん)したファレルが作品への思いを語った。

――初めに、「THE PENGUINーザ・ペンギンー」シリーズと映画の関係について教えてください。

「本シリーズ全体で優先したことの一つは、『THE BATMANーザ・バットマンー』シリーズの映画を知らない人が見ても、物語が成立するようにすることでした。誰もが心に抱えてそれぞれに葛藤している幼少期のトラウマ、野心、欲望、悲しみ、喪失感など、人間心理の細部にまで十分に注意を払い、力強い物語を描きました」

――本シリーズに参加することになったきっかけは何ですか?

「『THE BATMANーザ・バットマンー』の撮影が始まって2〜3週間経った頃、僕はプロデューサーのディラン・クラークにメールで『ドラマを作ろう』と伝えました。『THE BATMANーザ・バットマンー』で僕が参考にしたのは、裏社会をのし上がっていく男を描いた映画『スカーフェイス』。でも結局、オズが登場するシーンは6シーンしかなくて、仕方がないことだけどもったいないと感じました。このキャラクターでもっと多くのことができるはずだと思ったんです」

――オズになるためにどんな気持ちで臨みましたか?

「マイク・マリーノが『THE BATMAN-ザ・バットマンー』で作り上げたペンギンの特殊メークの素晴らしさには感動したし、圧倒されました。僕はここまでの特殊メークを経験したことがなかったんです。マット・リーヴスが監督として『THE BATMANーザ・バットマンー』に着手しようとしていた頃、マイクはペンギンことオズ・コブというキャラクターについて、マットと話し合いました。それからマイクは、僕の顔立ちをベースにペンギンの胸像作りに取りかかったんです。それが最終的にどんなものになるのか、僕には全く想像がつきませんでした。完成したオズの顔には、人としての歴史がありました。傷あとがあり、あばたがあり、10代の頃のニキビの名残があった。その顔には冷酷さと悲劇の気配があった。僕はただ、自分が見ているものに圧倒されてしまいました。その頃、僕は『THE BATMAN-ザ・バットマンー』の脚本を読み、いくつかのシーンについて悩んでいました。オズというキャラクターやこの世界にどう入り込むべきかについて、まだインスピレーションが湧いていなかったんです。でもマイクが作り上げたオズの胸像が明確な言葉で僕に語り掛けてきて、想像もしていなかった可能性の世界が広がるのを感じました」

コリン・ファレルが特殊メークで挑む「THE PENGUIN-ザ・ペンギンー」に懸ける思い

――オズ役を演じることは、あなたにとってどんな意味がありますか?

「僕にとってこの役は思いがけない贈り物でした。マイクが作り上げたオズという素晴らしい人形に命を吹き込む使命を与えられたように感じました。自分が演じたキャラクターに対して所有権を感じないのは今回が初めてだけど、それは全く嫌なことじゃない。マイクが与えてくれたものに僕が入り込んだという感じなんです」

――全身に特殊メークを施されて演じることはどんな気分でしたか?

「信じられないほど解放感があります。パワーを感じるんです。守られていると感じます。嫌なことがあっても誰にもそれを気付かれない。撮影中は基本的にずっと特殊メークという仮面をかぶっています。この仮面の後ろに完全に隠れることができなかったら、傷つきやすく、くたびれた、利己主義者のサイコパスになりきることは難しかったと思います。とても解放された気分だった。エピソードが進みオズの心理が深掘りされるにつれて、オズを演じることはどんどんつらくなっていきます。権力の階段を昇り詰めるというよりも人間心理の毒にまみれて堕ちていくように感じられるから。そこから逃れられなかったので、最後には振り切って演じました」

――演じるにあたり、参考にした作品や俳優はいますか?

「これまでにさまざまな作品で演じられてきたギャングの姿を意識したことは間違いない。意図して『ザ・ソプラノズ』や『アンタッチャブル』を参考にしたわけじゃないけど、ロバート・デ・ニーロやジェームズ・ガンドルフィーニなど、先人たちの演技が確実に頭の中にありました。だから見る人にはその片鱗(へんりん)が伝わると思うし、そのことに対して抵抗はないです」

――ところで、キャラクターとの距離感はどのようにとっていますか?

「僕は常にキャラクターに入り込むタイプではなく、その日撮影しているシーンだけにエネルギーを注ぐタイプです。でも今回は着ぐるみ状態だったから、いつもよちよちと歩いていました。現場では普段よりかなり役柄になりきって話していました。現場ではスタッフの何人かに『いつか会えたらいいね』と言われたんです。というのも、特殊メークがあるから僕が現場入りするのは、ほかのスタッフが集合する3時間前だったし、現場から帰れるのはみんなの仕事が終わった1時間後です。だから素の姿でスタッフに会うことがなくて変な感じでした。トレーラーで退屈している時は、(オズとして)友達や子どもたちにメッセージを送ったりしていました。『元気? オズだよ。今日はゴッサムにいるよ』ってね。楽しかったです」

――ほかの「バットマン」作品との違いを教えてください。

「今回、ペンギンは生まれ変わった。ペンギンというキャラクターは、非常に深みがあり、典型的な人間らしさ備えた存在として、これまで繰り返し描かれてきました。だから今回のペンギンはこれまでの再解釈であり、再創造でもあります。そして舞台となるゴッサムも、これまでのどのゴッサムとも違っています。映画で描かれたゴッサムよりも汚らしい。オズはファルコーネやブルース・ウェインよりも下層の世界で生きています。だからこれまでのゴッサムとは違う側面を見ることができます。ビジュアル的にも全く違っていて独立した世界観です。8時間という限られた時間の中で、視聴者を魅了して、『THE BATMANーザ・バットマンー』シリーズの1作品として認めてもらえることを願っています」

【プロフィール】

コリン・ファレルが特殊メークで挑む「THE PENGUIN-ザ・ペンギンー」に懸ける思い

コリン・ファレル(Colin Farrell)
1976年5月31日生まれ。アイルランド出身。2000年に「タイガーランド」で主役を演じ注目を集める。代表作に「フォーン・ブース」(03年)、「アレキサンダー」(04年)、「ニュー・ワールド」(05年)、「マイアミ・バイス」(06年)、「ヒットマンズ・レクイエム」(08年)、「イニシェリン島の精霊」(22年)など。「THE BATMANーザ・バットマンー」(22年)でペンギン役を演じた。

【コンテンツ情報】

コリン・ファレルが特殊メークで挑む「THE PENGUIN-ザ・ペンギンー」に懸ける思い

THE PENGUIN-ザ・ペンギン-(全8話)
U-NEXT
独占配信中
犯罪組織のボス・カーマイン亡き後、長年彼の右腕を務めてきたペンギンことオズ・コブ(コリン・ファレル)が、ゴッサム・シティの裏社会を生き抜いていく姿を描く。

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