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坂口健太郎&イ・セヨンが過去と現在を巧みに演じ分ける「愛のあとにくるもの」2024/10/25

坂口健太郎&イ・セヨンが過去と現在を巧みに演じ分ける「愛のあとにくるもの」

 辻仁成とコン・ジヨンのコラボレーションによる恋愛小説を原作に、日本人男性と韓国人女性の終わったはずの愛の行方を描く「愛のあとにくるもの」。韓国の動画配信サービス・Coupang Playのオリジナル制作ドラマが、日本ではPrime Videoで独占配信されている。

 物語の主人公は、韓国から日本にやって来た留学生のチェ・ホン(イ・セヨン)と小説家志望の大学生・青木潤吾(坂口健太郎)。ホンが日本に到着して間もない頃、偶然の出会いを重ねて引かれ合うようになった2人は、やがて恋人同士の関係に。幸せな日々を過ごす中、ホンは“永遠の愛”を信じていたが、別れは突然訪れ、ホンは韓国に舞い戻る。それから5年後の韓国で、出版社で働くホンは結婚を視野に入れた相手と共に新たな人生を歩んでいたが、小説家になる夢をかなえた潤吾と再会を果たし…。

 10月11日に配信が始まった第1話と2話では、ホンと潤吾が出会い、仲むつまじい日々を送った5年前と、思いがけない再会を果たした5年後の現在が、交互に映し出されていく。日本の東京・吉祥寺や井の頭公園を舞台にしたパートは、温かみにあふれていて、恋の始まりに伴うときめきや甘酸っぱさがふんだんに詰まったもの。一方、ホンと潤吾の再会から始まる現在のパートは、クールでスタイリッシュな雰囲気に。潤吾に対するホンの冷え冷えとした態度も手伝い、5年前との違いを浮き彫りにしていく。

坂口健太郎&イ・セヨンが過去と現在を巧みに演じ分ける「愛のあとにくるもの」

 あんなにも愛し合っていたホンと潤吾は、なぜ別れに至ったのか。5年の間に2人はどんな道を歩んできたのか? 第1話と2話の時点では、これらの疑問に対する決定的な答えが明示されることはない。だが、同じ時間を過ごし、同じものに心を弾ませていた両者の人生が今や別々のものになってしまったのは一目瞭然で、イ・セヨンと坂口が過去と現在を巧みに演じ分けている。

 イ・セヨンは時代劇ドラマの秀作「赤い袖先」で演じた気丈な宮廷女官役などが印象深く、(少なくとも彼女の心情においては)“愛”の中にいた頃と“愛”を失った後のホンの変化を外見のみならず視線で表現。日本語が堪能であるという設定により、日本語のセリフにも多くのシーンで取り組んでいる。そんなホンの心をときめかせ、後に乱す存在に坂口は最適。甘い笑顔で魅了したかと思えば、濃厚なキスシーンで刺激と魅力を放ってくる。

 監督を務めたムン・ヒョンソンは、ハ・ジウォンとペ・ドゥナの共演映画「ハナ 奇跡の46日間」やNetflixのクライムアクション映画「ソウル・バイブス」などを手掛けた人物。本作ももともとは映画として企画されていたそうだが、ホンと潤吾の繊細な心の機微を追うのに全6話のドラマシリーズというスタイルは適しているように思う。

 それぞれの国でのロケ撮影によって紡がれた映像は美しく、日本での撮影についてイ・セヨンは記者会見で「一番記憶に残っているのは井の頭公園です。本当に美しくて広くて自然な印象がありました」と振り返る。坂口は韓国での撮影で印象に残っている場所として、クランクインをしたユルドン公園を挙げ、「空気はとってもすんでいたけど、木々が枯れていたり、どこか悲しい印象を与えてくれる場所。関係の冷えた5年後の2人と冬の寒いユルドン公園が合っていました」と語っている。視聴者からすれば秀逸な作品ほど「ロケ地巡りをしたい」と思わされるもの。その点、この「愛のあとにくるもの」も“ロケ地巡り欲”を刺激することになりそうだ。

坂口健太郎&イ・セヨンが過去と現在を巧みに演じ分ける「愛のあとにくるもの」
坂口健太郎&イ・セヨンが過去と現在を巧みに演じ分ける「愛のあとにくるもの」

 ロケーションの美しさに触れた記者会見で、坂口は「4人の登場人物の中でいろんな愛が動いているので、その瞬間を皆さんに見ていただけたら」とも発言。となると、第3話以降はホンと潤吾の現在に関わる人物である、潤吾の編集者・カンナ(中村アン)やホンの婚約者・ミンジュン(ホン・ジョンヒョン)もより存在感を放ってきそうだ。タイトルの“愛のあとにくるもの”は何を指すのか。ホンと潤吾の物語の行方を追っていきたい。

【コンテンツ情報】

坂口健太郎&イ・セヨンが過去と現在を巧みに演じ分ける「愛のあとにくるもの」

愛のあとにくるもの(全6話)
Prime Video
見放題独占配信中

日本留学中に運命だと信じていた初恋を心にしまい、韓国で新しい人生を歩んでいたチェ・ホン(イ・セヨン)は、この5年間、別れの後悔を積み重ねてきた青木潤吾(坂口健太郎)と偶然の再会を果たす。現在の冬の韓国と5年前の春の日本を舞台に、美しくも切ない、終わったはずの愛の行方を描く。

文/渡邉ひかる

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