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BS松竹東急で「超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ」放送開始! 主人公・ホークを演じる磯部勉「頭を空っぽにして楽しんで」2024/09/06

BS松竹東急で「超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ」放送開始! 主人公・ホークを演じる磯部勉「頭を空っぽにして楽しんで」

 BS松竹東急で9月8日から放送される「超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ」は、1984年からアメリカ・CBSで放送されたアクションドラマ。日本では日本テレビで86年10月にスタートし、87年4月からは全国ネットのゴールデンタイムで放送されて人気を集めたヒット作だ。物語はベトナム戦争帰りのパイロット、ストリングフェロー・ホーク(ジャン=マイケル・ビンセント)が秘密裏に開発された、超音速飛行が可能な攻撃用ヘリコプター・エアーウルフを操り、さまざまな事件に挑むというもの。ホークの日本語吹き替えを担当した磯部勉に、当時の思い出などを聞いた。

BS松竹東急で「超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ」放送開始! 主人公・ホークを演じる磯部勉「頭を空っぽにして楽しんで」

――磯部さんにとって、声優としてのテレビシリーズレギュラーは「エアーウルフ」が初めてですよね?

「そうです。この作品の前に、初めていただいたアテレコ(吹き替え)の仕事が映画『クレイマー、クレイマー』(85年のテレビ初放送時)で、ダスティン・ホフマンが演じた主人公の声をあてたんですが、エラいことになりました。僕だけで収録が12時間かかってしまったんですよ(苦笑)。それで二度と声の仕事はやりたくないと所属していた劇団の事務所に伝えて、1、2年仕事がなかった後に、この『エアーウルフ』のお話があった。最初は断ったんですよ、また皆さんにご迷惑をおかけするのは嫌だから。でもせっかく回ってきた仕事なんだからと説得されて、引き受けたんです。で、収録現場に入ったら、富田耕生さん、家弓家正さんをはじめ素晴らしい声優の方々がいらっしゃった。シーズン2から加わった戸田恵子さんも含めて、皆さんに教えていただきながらなんとか演じ続けることができました。その後、今まで声の仕事をずっと続けてこられたのも、この作品のおかげだと思っています」

――声をあてるために映像をご覧になったときの感想は?

「主人公のホークはヘリを操縦してバンバン敵を攻撃するんだけど、普段は湖のそばの山荘に犬と一緒に住んでいて、湖に向かってチェロを弾いたりする。そういう静と動の対比がとてもうまく表現されているなあと思いました。ホークだけじゃなくキャラクターみんなの個性が際立っていましたし、映像を見るのも、演じるのも楽しかったですね」

BS松竹東急で「超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ」放送開始! 主人公・ホークを演じる磯部勉「頭を空っぽにして楽しんで」

――ホークというキャラクターをどう捉え、どう演じようと心掛けていましたか?

「難しそうな、神経質そうな男という印象で、演じているジャン=マイケル・ビンセントは比較的、無表情でしゃべる。表情豊かな感じの声にすると画と合わなくなってしまうから、どう表現しようか考えました。僕は海外ドラマに声をあてるとき、原音のニュアンスをできるだけうまくつかまえて、日本語として伝えたいんです。この作品でもそういう思いがありました。もっとも自分自身のスタンスは、声の仕事を続けるうちに自覚したことで、『エアーウルフ』の初期はほかのキャストの皆さんに合わせられるように無我夢中だった記憶の方が強いです。皆さんに声をかけられ、うまく乗せられて、収録を続けていました」

――この取材前、今回の放送告知用に、ホークとして音声を収録したんですよね?

「ええ、当時の映像を見ながら。家を出るときからずっと心配でね。映像の中のジャン=マイケル・ビンセントは当然ながら若いままですけど、僕はいい年になったので。でも『もっと若く』とか指示されず、OKをいただいたので、大丈夫だったようです。当時の映像を見るのは久しぶりでしたが、富田さんの声がひと言入っていて、やっぱりいいなあと思いましたね。自分の声は…聞きたくない(笑)」

――富田耕生さんはホークの相棒、ドミニク・サンティーニの声を演じました。

「富田さんの声は、包容力というのかな、聞いているだけで癒やされる感じがして、好きでしたねえ。いつも周りの人間を褒めてくれて、とても大きな心を持っている方でした」

――富田さん以外に、先ほどお名前が上がった家弓家正、戸田恵子さんとの思い出は。

「家弓さんはモダンで粋な雰囲気を持っている方でしたね。もちろん声も演技も素晴らしかった。勉強させていただきました。戸田さんにもいろいろ教わりましたね」

BS松竹東急で「超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ」放送開始! 主人公・ホークを演じる磯部勉「頭を空っぽにして楽しんで」

――毎回のゲストキャラクターの声優さんも豪華ですね。

「この作品よりも前の時代の吹き替えの海外ドラマをよく見ていて、中でも『奥様は魔女』(日本では66年から放送)が好きで。主人公のサマンサの声は北浜晴子さんが声をあてたんだけど、『エアーウルフ』のあるお話で北浜さんがゲストキャラクターの声を演じられると聞いて、うれしくてね。収録が終わった後、台本にサインをしていただきました。北浜さん以外にもベテランの方がゲストにいらして、共演する機会をいただけたのは光栄でした。僕の財産ですね」

――今回の放送で改めて視聴しようと思っているかつてのファンや、興味を持って初めて見ようと思っている人たちにメッセージを。

「ゲストキャラクターはいわゆる悪役としてドラマに絡んでくることがありますが、悪役にもいろいろあって、自分が正しいと思ったことを貫いた結果、ワルを担ってる場合がある。今作ではそういうことも描かれているので、楽しんでいただけたらなあ、と思います。アクションシーン全般は、現代の感覚だと、とても新鮮に目に映ると思いますし、頭を空っぽにして楽しんでいただきたい(笑)。その方が面白さが倍増します」

BS松竹東急で「超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ」放送開始! 主人公・ホークを演じる磯部勉「頭を空っぽにして楽しんで」

――確かにエアーウルフのメカとしてのカッコよさと、戦闘シーンの迫力は見どころです。

「そうそう、当時、エアーフルフが日本に来るという話があって、来たら乗せていただけるということだったので、楽しみにしていたんです。そうしたらある日、荒川の土手に行ってくれと言われて、そんなところに来るの? と思いながら指定された場所に向かったら、ラジコンのヘリコプターの大会が開かれていて(笑)。で、ラジコンの機体を持たされて写真を撮られました。でも、本当に来日する計画が進んでいたらしいんですよ、プロモーションのために。ぜひ乗ってみたかったんですけどねえ。普通のヘリコプターには乗りたいと思わないし、実際に乗ったこともないんですけどね。高所恐怖症なので(笑)」

 現代であればCGで制作されるだろうヘリや戦闘機の飛行シーン(厳密には本作でもモニター画面にCGを使っているが)、スタントマンや大量の爆薬を使ったアクションシーンは“本物”の迫力と、驚きに満ちあふれている。一見をオススメしたい。

【プロフィール】

BS松竹東急で「超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ」放送開始! 主人公・ホークを演じる磯部勉「頭を空っぽにして楽しんで」

磯部勉(いそべ つとむ)
1950年10月13日生まれ。東京都出身。A型。72年に劇団俳優座に入団。シェイクスピア劇に出演した。ドラマは大河ドラマ「元禄太平記」(NHK/75年)、連続テレビ小説「虎に翼」(NHK総合ほか)、映画は「紅い襷 富岡製糸場物語」(17年)などに出演。吹き替えはメル・ギブソン、ハリソン・フォード、ブルース・ウィリスらの声を主に担当し、「劇場版 MEMORIES~彼女の思いで」(95年)などアニメ作品でも声優を務める。

【番組情報】

BS松竹東急で「超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ」放送開始! 主人公・ホークを演じる磯部勉「頭を空っぽにして楽しんで」

「超音速攻撃ヘリ・エアーウルフ」
BS松竹東急
9月8日スタート
日曜 午後10:00~11:00
※初回は後9:00~11:00の2時間SP

※BS松竹東急は全国無料放送・BS260ch

取材/TVガイドWeb編集部、佐藤新 文/佐藤新 撮影/蓮尾美智子



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