東京パラリンピックの競技を解説【車いすバスケットボール】第1回大会から行われる花形競技。高度な技術と戦術、スピーディーな展開はエキサイティング2021/08/20
車いすバスケットボールは、脊髄損傷、切断など下肢に主な障がいのある選手を対象に、敏捷性(びんしょうせい)の高い専用の車いすを使って行われる。パラリンピックでは1960年の第1回ローマ大会から行われ、昔も今も高い人気を誇る花形競技だ。今大会は男子12チーム、女子10チームが出場。男子は6チームずつ、女子5チームずつに分かれて予選リーグを戦い、各組上位4チームが準々決勝に進む。
ボールの大きさやコートのサイズ、ゴールの高さや、1チーム最大12人構成で出場は5人といった点は、バスケットボールと同じ。競技時間やボールを保持している時の時間制限、5回ファールすると退場になるなどのルールも共通している。違いはダブルドリブルがないこと、ボールを持って車いすを手で漕ぐのは連続2回までであることなどが挙げられるが、最も大きな違いは「持ち点制」だ。障がいの程度や身体能力によって、選手たちは重い方から順に1.0点から4.5点まで0.5点刻みで8クラスに分けられ、コート上の5人の持ち点の合計を14.0点以内で構成しなければならない。障がいの重いローポインターから軽いハイポインターまで、バランスよく起用する必要がある。
役割分担によるチームプレーが見どころの一つで、代表的なものがスクリーンプレー。もともとバスケットボールの基本戦術であり、相手ディフェンスのスクリーン(壁)になるように動き、味方にシュートを打つ時間と空間を与えるプレーだが、競技用の車いすは幅が広く、スクリーンを回避して方向転換する際にもスペースが必要になるため、より効果的で、主に障がいの重いローポインターが行う。ボールのないところでチームに貢献する献身的なプレーに注目したい。一方、ハイポインターは主に攻撃面で活躍し、チームを勝利に導く。相手ディフェンスをすり抜ける巧みなチェアワーク、下半身のバネを使わずに美しい放物線を描くシュート、シュートやリバウンドの際、車いすの片輪を上げて高さを出す「ティルティング」と呼ばれるテクニック。高度な技術と戦術に裏打ちされたスピーディーな試合展開はエキサイティングであり、1度見れば、なぜ人気競技なのかが分かるだろう。
男子は前回2016年リオデジャネイロ大会金メダルのアメリカ、銀メダルのスペイン、2018年世界選手権でアメリカを決勝で破って初優勝を果たしたイギリス、女子はリオ大会金メダルのアメリカ、2018年世界選手権優勝のオランダ、準優勝のイギリスなどがメダル候補。日本男子は1976年トロント大会から連続出場し、最高順位は7位。女子は3大会ぶりの出場だが、過去2大会で銅メダルを獲得している。それぞれ過去最高成績を目指し、世界の強豪に挑む。
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