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大河ドラマ「光る君へ」で藤原道長役の柄本佑「道長はパパです」2024/08/18

大河ドラマ「光る君へ」で藤原道長役の柄本佑「道長はパパです」

 NHK総合ほかで放送中の大河ドラマ「光る君へ」。まひろ(吉高由里子)の夫・宣考(佐々木蔵之介)や、藤原道長(柄本佑)の姉・詮子(吉田羊)が世を去り、月日は3年が流れ…。宮中では「枕草子」が流行し、これを読んでは亡き定子(高畑充希)に心を奪われたままの一条天皇(塩野瑛久)。一条天皇に相手にされず寂しく暮らす、道長の娘・彰子(見上愛)。

 8月18日放送の第31回「月の下で」では、道長がまひろに、一条天皇に献上するための物語を書いてほしいと頼み込み、まひろがいよいよ「源氏物語」を書き始めます。道長はどんな思いでまひろに執筆を頼んだのか? 道長の生き方や考え方についてどう捉えているのか? 道長役の柄本佑さんにお聞きしました。

“三郎としての人間性”をより意識するようになっている

――物語もいよいよ佳境を迎えます。ここまで道長を演じてきていかがですか?

「“人間味あふれる人物像”としての道長を演じるところからスタートし、いろいろんな因果が巡って、いよいよ政治のトップに立ちます。これまで以上に一条天皇に意見をしたり、はかりごとをしたり、『民のためのよき政』という、まひろとの約束を果たすために娘の彰子を入内させたり。今までの道長と乖離(かいり)した部分が現れてきたことを肌で感じながら演じています。手助けしてくれた姉・詮子もいなくなり、道長自身も悩んでいて。今の地位にいるけれども、もともとは、木村皐誠さん演じる“のんびり屋の三郎”であり、その“三郎の人間性”がとても大事になっていると実感しています。ここ最近になって“三郎”をより意識するようになりました」

大河ドラマ「光る君へ」で藤原道長役の柄本佑「道長はパパです」
大河ドラマ「光る君へ」で藤原道長役の柄本佑「道長はパパです」

――「光る君へ」で描かれる道長のキャラクターに対して、世間ではいろんな意見が上がっています。

「世間がイメージする“ヒール(悪役)な道長”ではなく、“新しい道長”を描きたいとお聞きしたので、“『光る君へ』の道長”を全力で演じています。道長は必死に家族の幸せを願っているんですよね。彰子の入内を盛り上げるために、花山院や公卿たちの和歌が貼られたびょうぶを用意することで、一条天皇に道長の力を見せつけました。これは、当時の行動としてはものすごいことなんですけど、僕は非常に地に足の着いたことだと捉えています。自分の家族を政治に絶対関わらせたくなかったのに、晴明(ユースケ・サンタマリア)に提案され、詮子にも『血を流すべき』と言われて入内させることになったからには、とにかくに彰子に幸せになってほしいわけです。『家族の幸せを願う』という地に足の着いた思いを実現するための行動。道長は、“家族の幸せ”と、“まひろとの約束”を果たすために、まだまだ悩みながらまい進しています。非常に真っすぐな人です」

大河ドラマ「光る君へ」で藤原道長役の柄本佑「道長はパパです」

――道長の「民のためのよき政」という考えに対して、父・兼家(段田安則)の「政とは家だ」という考えは対照的ですが、道長の行動は兼家と同じように思えます。

「言葉にするのは非常に難しいんですけど、道長の気持ちは分かる気がするんです。兼家と同じことはしたくないという思いと、結果として同じようなことをしてしまった、ということの整合性をどう保つかだと思っていて。根は非常に深いので、正直なところ全ての撮影が終わってみないと答えは出ないですね。今は『同じことをしていても気持ちが違う』という感覚です」

――複雑な心境ですね…。

「台本のト書きに、(政治の心得を説く兼家に対し)“共感しないが圧倒される”と書いてありましたので、兼家の考えとのはざまで悩むことはなかったんですけどね。民のために動き、民のためによき政をするために、兼家と同じことをしてしまう。でも、兼家は自分の家のためなんですよね。僕は『出発点の違い』と捉えて演じています。僕自身も、まだまだ“道長の旅路”の途中なので、撮影が終盤に近づくにつれて見えてくるものがあるのかなと。とても楽しみにしています。今は『気持ちの違い』と思っています」

大河ドラマ「光る君へ」で藤原道長役の柄本佑「道長はパパです」

――一条天皇に対するアプローチも兼家とは違いますよね。兼家は圧をかけるような言動でしたが、道長は何度も辞表を出したり、清少納言の「枕草子」にまひろの物語をぶつけようとしました。

「道長は相手によって表情や言動が変わるようなキャラクター設定なんですよね。だから、一条天皇に回りくどいのも、道長流の人との付き合い方なんです。それに、今よりも今後のことを考えて行動しているように感じます」

――「道長は一条天皇のことを緻密に考えてくれるので信頼している」と塩野さんがおっしゃっていました。

「強い信頼関係を感じます。一条天皇の行動に心配して進言することもありますけど、道長も一条天皇のことを信頼しています」

吉高さんは道長の演技を引き出してくれる

――まひろ役の吉高さんとは、逢瀬を重ねる場面などエモーショナルなシーンが印象的でした。吉高さんとの演技はいかがですか。

「吉高さんは懐が深いです。まひろとは、長くて強度の高いシーンが度々あります。セリフや台本のト書きに対して『こういう表情をされるんだ』という新たな発見があって。『だったら、道長はこういう表情になるかな』と導かれます。脚本の大石静さんのト書きをさらに具体的に示してくれているようで。吉高さんの演技に引き出していただいている部分も非常に大きいです」

大河ドラマ「光る君へ」で藤原道長役の柄本佑「道長はパパです」
大河ドラマ「光る君へ」で藤原道長役の柄本佑「道長はパパです」

――これから、まひろも本格的に「源氏物語」を書いていくことになります。まひろとの関係がどうなるのか楽しみです。

「今までは、離れている時間が2人の思いを強めている印象でしたが、その関係性が変化していきます。“ソウルメイト”だからこその信頼関係は変わりませんが、落ち着いた形になっていきます」

――妻でもなく妾でもなく“ソウルメイト”。柄本さんにとって“ソウルメイト”はどんな存在ですか?

「本気を出せる人かな。愛し合うことや憎み合うこと、弱みを見せることが本当にできる、そうなってしまう。だからよくも悪くも、ものすごくいがみ合ったり、怒り合ったり、本気で決別できたりするんだと思います」

――道長は、“ソウルメイト”のまひろに心ひかれながらも、物語を政治利用しようという思いも持っています。

「まひろに物語の執筆を頼んだ時は、政治的な思惑は全くなかったわけではありません。けれども、ほかの人には見せられないような表情や情けなさを本気で出せる唯一の存在がまひろ。だから、『一条天皇が彰子に会いに行ってくれないんだ、娘のために頼む!』と、すがるような気持ちだったと思うんですよね。政治よりも家族を思っての行動で、それが結果的に政治につながる。そう考えると、道長は非常にパパをしていますよね(笑)。だから、全力でパパを演じました(笑)」

大河ドラマ「光る君へ」で藤原道長役の柄本佑「道長はパパです」
大河ドラマ「光る君へ」で藤原道長役の柄本佑「道長はパパです」

――道長には「彰子の幸せ」が一番にあるということですね(笑)。道長はどんな気持ちでまひろの物語を読んだのでしょうか。

「“汗たら案件”だったと思います(笑)。『これを一条天皇に渡すのか?』ということも考えていたはずなので、冷静には読めず、不安でいっぱいだったと。できあがった物語について、道長はまひろに『かえって帝のご機嫌を損ねるのではないか』と正直に話しています。ちなみに、吉高さんは、紫式部そのものですよ(笑)。以前、目にしたことがある『紫式部像』のようです。本当にすごいですから(笑)」

――楽しみにしています! お話ありがとうございました。

 道長の複雑な思いを演じることに難しさを感じながらも、演じ切った先に見えてくる“道長の考え”に期待を寄せる柄本さん。これから道長はどんな手段で「民のためのよき政」を実現していくのか? 道長とまひろの関係はどのように変化していくのか? 「枕草子」VS「源氏物語」の行方は? 今後の展開に目が離せません!

【プロフィール】
柄本佑(えもと たすく)
1986年12月16日生まれ。東京都出身。2003年公開の映画「美しい夏キリシマ」役で主演デビュー。映画「きみの鳥はうたえる」ほかで第92回キネマ旬報ベスト・テン主演男優賞などを受賞。近年の出演作は、映画「アルキメデスの大戦」(19年)、「先生、私の隣に座っていただけませんか?」(21年)、「ハケンアニメ!」(22年)、「シン・仮面ライダー」(23年)、「春画先生」(23年)、ドラマ「心の傷を癒すということ」(NHK総合)、「天国と地獄~サイコな2人~」(TBS系)、「ドクターホワイト」(フジテレビ系)、「初恋の悪魔」(日本テレビ系)、「空白を満たしなさい」(NHK総合ほか)など。

【番組情報】
大河ドラマ「光る君へ」
NHK総合
日曜 午後8:00~8:45ほか
NHK BSプレミアム4K
日曜 午後0:15~1:00ほか
NHK BS・NHK BSプレミアム4K
日曜 午後6:00~6:45

NHK担当/Y



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