中村隼人は長谷川平蔵役、生田斗真は怪物・一橋治済役で“鎌倉超え”? 「べらぼう」新キャスト11人発表2024/07/15
中村隼人、生田斗真、眞島秀和、高梨臨、奥智哉、寺田心、映美くらら、吉沢悠、矢本悠馬、相島一之、石坂浩二が、2025年にNHK総合ほかで放送される大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~(つたじゅうえいがのゆめばなし)」(日時未定)に出演することが分かった。
親なし、金なし、画才なし…ないない尽くしの生まれから、喜多川歌麿や葛飾北斎などを見いだし、“江戸のメディア王”として時代の寵児(ちょうじ)になった“蔦重”こと蔦屋重三郎(横浜流星)の生涯を笑いと涙と謎に満ちた物語として描く「べらぼう」。脚本は、NHKで、大河ドラマ「おんな城主 直虎」や連続テレビ小説「ごちそうさん」、ドラマ10「大奥」など数多くのヒット作を手掛けてきた森下佳子氏が担当する。
今回発表された11人が演じるのは、足軽身分の出自から大名まで成り上がった“希代の老中”にして、絶対的権力者の田沼意次(渡辺謙)が政権を握っていた“田沼時代”を生きる江戸城の人々たち。
中村隼人が務めるのは、時代劇のヒーロー“鬼平”として、その名が知られる長谷川平蔵。青年時代は風来坊で「本所の銕(てつ)」と呼ばれ、遊里で放蕩(ほうとう)の限りを尽くしたという逸話も持ち、のちに老中・松平定信に登用され「火付盗賊改役」を務め、凶悪盗賊団の取り締まりに尽力。その人柄も相まって庶民から「今大岡」「本所の平蔵さま」と呼ばれて絶大な人気を誇った人物だ。
オファーを受けた中村は、「たくさんのすてきな俳優さんが発表になり、来年の大河ドラマも楽しみだなと思っていた所にオファーをいただけたので、とても驚きました。主演の横浜流星くんとは、昨年舞台をご一緒してから公私共に仲良くさせてもらっているので、映像で共演できるのが楽しみです」と横浜との共演を待ちわびている様子。
平蔵というキャラクターについては、「(“鬼平”こと長谷川平蔵は)長い間、時代劇の中でさまざまな世代の方々に親しまれている人物です。本作では火付盗賊改方になる前、吉原で放蕩三昧していた若い頃から演じさせていただくので、カッコイイ平蔵ばかりではなく意外な一面も見せていきたいと思います」と意欲を燃やす。
11代将軍・家斉の父で、御三卿の一橋徳川家の当主・一橋治済を演じるのは生田斗真。徳川吉宗の孫にあたり、10代将軍・家治とは“いとこ”。次々と将軍後継者が早世する中、最後に残った治済の息子・家斉が11代将軍となり、治済は「将軍の父」としてすべての富と権力を得るようになる。
生田は、大河ドラマ「鎌倉殿の13人」(22年)を引き合いに出し、「『鎌倉殿の13人』で源仲章を演じた際、あまりの悪役ぶりに多くの皆さまに嫌われることとなりました(笑)。今回は”なんかむかつく仲章”を超えるべく、怪物と呼ばれた男、一橋治済を務めます。ニコニコしながら邪魔者を次々と排除していく気味悪さを身勝手に演じたいと思います」と“鎌倉超え”を宣言。加えて、「昨今、治済が全ての黒幕であり、自らの息子を将軍にすべく暗躍していたのではないか、という説が有力なようです。人当たりが良くて、すごく優しそうなのに、非道な行いを平気な顔でやり遂げていく。そんな治済を目指していきます」と役づくりについて触れた。
初共演となる横浜には「ストイックで色気にあふれた俳優さんというイメージがあります。1年半という長い戦いを愛情深いスタッフの皆さまとともに、どうか楽しみながら駆け抜けていただきたいです」とエールを送った。
意次との深い絆を持つ10代将軍・徳川家治役は眞島秀和が担う。家治は9代将軍・家重が言語不明瞭で体が弱かったため、8代将軍・吉宗の英才教育を幼い頃から受けてきた人物。家重の遺言に従い意次を側用人に重用し、松平武元らとともに政治に励んだ。将棋を趣味として、その腕前は高く、将棋を通じて意次との絆を深めたといわれる。
眞島は「(「べらぼう」出演の話を聞いて)また大河ドラマに参加できる喜びが大きかったです。時代劇の経験がまだまだ少ないので、一生懸命頑張ります。将軍としての思慮深さや品格を、探り探り演じています」とコメントし、「役どころとしては、田沼意次役の渡辺謙さんとのやりとりがメインになると思いますが、自分らしい家治を演じていきたいです。台本を読んでいると当時の人々の話し言葉が魅力的で思わず口にしたくなりますし、今とは違う価値観の中、力強く生きる登場人物たちにとても心引かれます。そんな江戸市中と江戸城内の雰囲気の違いも楽しんでいただきたいです」と江戸で生きる人々の魅力を話す。
そんな家治の側室・知保の方を演じるのは高梨臨。意次の強い後押しで知保の方は家治の側室となり、家基を出産。長子出産の功労から「老女上座」の格式をたまわる。
18年の大河ドラマ「西郷どん」以来、2度目の大河出演となる高梨は「またいつか大河ドラマに出演したいという目標を持っていたので、お話をいただいてとてもうれしかったです。今回は実在していた人物を演じるのでさらに身が引き締まる思いです。収録の最初のシーンは大奥でのシーンでした。素晴らしいセットで、その場に存在する喜びと緊張を感じました。役柄的にたくさんの方とお会いすることはありませんが、眞島さんとは久しぶりの共演、そして渡辺謙さんと初めてご一緒させていただくのが今からとても楽しみで、大変光栄に思っています」と今作の撮影の感想を報告。
役どころについては「知保の方、そして家基については、史実のいろんな説があり、役柄や思いをどのように表現していくのか。知保の方はとてもつらい思いもしてきた女性だと思います。視聴者の方にも知保の方の思いが届くように心を込めて演じたいと思っています」と知保の方へ思いをはせる。
幻の11代将軍・徳川家基役は奥智哉。幼い頃より聡明で成長するにつれて政治に関心を持ち、田沼意次の政策を批判。11代将軍として将来を期待されるが、鷹狩に出かけた折に体調不良を訴え、“謎の死”を遂げる。徳川宗家の歴史の中で「家」の通字を授けられながらも唯一将軍位に就けなかった。
大河ドラマ初出演となる奥は「名だたる役者さんたちと江戸の世を生き、政を動かしていくと想像しただけで武者震いしています! 大原拓監督には時代劇を初めて経験させていただいた『大奥』(23年)の時にお世話になりましたので、『べらぼう』で成長した姿を見せれたらと思います」と意気込み、「家基は聡明で、文武両道。政治への強い関心を持ち、田沼意次の政治を批判したり、父親である将軍・徳川家治に対しても自分の意志をしっかりと貫く人でもあります。しかし、若くして亡くなってしまいます。その短い生涯の中で、どのように生きたのか僕なりに徳川家基を一生懸命演じさせていただきます」と役柄への思いを語った。
そして、楽しみな共演者として渡辺を挙げ、「僕が演じる徳川家基と渡辺謙さん演じる田沼意次は対立関係にあるので、お芝居をご一緒できると思うとすごく楽しみです」とうれしそうに話し、続けて、「(主演の)横浜流星さんの目が好きです。キレと色気があり、そのうえ役によって力強さとあふれる情熱を感じます。横浜流星さん演じる蔦屋重三郎をとても楽しみにしています!」と期待に胸を膨らませる。
「御三卿」の一つ、田安徳川家の七男・田安賢丸を寺田心が担当。のちに「寛政の改革」を行う“松平定信”となる賢丸は幼少期より聡明で、兄たちが体が弱かったため、若くして田安家の後継者、また、10代将軍・家治の後継と目されていた。陸奥白河藩の養子に迎えられ、幕政の中心から遠のくも、田沼意次の失脚後は11代将軍・家斉の命で老中となり、寛政の改革を行う。寛政の改革では、風紀の取り締まりから蔦屋重三郎に厳しい処分を科すこととなる。
寺田は「『大河ドラマ』と言うとても大きな場所に田安賢丸・松平定信として参加させていただける事に緊張と幸せを感じています。クランクインが偶然にも僕の16歳の誕生日と重なり、今年もまた思い出に残る日となりました。小さい頃から、尊敬している渡辺謙さんと、またお芝居で向き合えることが嬉しく、田沼意次役で現場でお会いした時には胸がいっぱいになりました」と記憶に残るクランクインになったという。
演じるにあたり、「聡明で芯(しん)を強く持ち、いずれは田安家を継いで将軍になるだろうと言われていた賢丸を精いっぱい演じたいと思っています。定信は日常のささいな幸せを大切にし、国民のことを誰よりも考えたのではないかと僕は思っています。そんな名君、福島の白河藩主を凛々しく演じさせていただきたいと思います。福島の皆さま、楽しみにしていただけたらうれしいです」とのちに藩主となる福島の人々に向けてメッセージを寄せた。
家斉の将軍就任後、大奥で絶大な権力を持ったといわれる家斉の乳母・大崎を演じる映美くららは「『すべては家斉のため』。ここを肝に動きたいと思っています。一橋家に仕え、治済をずっと側で見ている、言うなればツーカーで、影の協力者だったかもしれません。とは言え、果たしてどんな人物になっていくのか私自身も今は未知のところではあります。物語の序盤では、まだ言葉を発することもありません」と役柄を説明しつつ、「撮影初日、後の大崎を連想する様な表情を、監督とお話ししながら一瞬だけ織り交ぜてスタートしました。何か一筋のヒントを得たように感じました。異色な一橋治済の下でうまく差配してのし上がっていく大崎のキャラクターがこれからどのように膨らみ、深めていけるかとても楽しみです」と手ごたえを感じた様子。
また、大河ドラマ初出演について「俳優としてずっと夢を抱きつつも、私には雲の上、遠い夢のように思っていたかもしれません。6月にクランクインを迎え、かつらを着けて衣装をまとい、京都の東本願寺をお借りしての撮影が始まりました。目に飛び込んでくるすべてがあまりに壮大で、ようやく事の大きさを実感したかもしれません。心からうれしいです!」と念願がかなったことを実感。そして、「横浜流星さんが演じる蔦重、きっと熱く、人間くさく、生き生きと魅力的に違いありません! その姿が脳裏に浮かび、私も今からとてもわくわくしております」と心待ちにしていることを打ち明ける。
親田沼派の勘定奉行・松本秀持役を請け負うのは、吉沢悠。身分の低い家柄であったが、田沼意次に抜てきされ勘定奉行となり、印旛沼・手賀沼の干拓事業や経済政策などに従事。また蝦夷地調査を意次に上申し、調査隊を派遣することになる。
「平清盛」(12年)以来、2度目の大河ドラマ出演となる吉沢は「『べらぼう』は江戸の町が舞台ということで、現代の日本に生きるわれわれは、今一度“人情“を再確認できるドラマだと感じています。カッコいい男たち、カッコいい女たちが必死に生きているさまが魅力の1つだと思います。その中で繰り広げられる人間模様に加われることが、今からとても楽しみです」と江戸時代の魅力を語る。
共演歴がある横浜の印象について、「とても誠実に役に向き合う方だという印象があります。これから30歳を目前にして、長い時間1つの役に向き合っていくことで、たくさんの気付きがあると思います。その時に変化していく彼の姿が楽しみです」と。そして私は、渡辺謙さんとご一緒するのが初めてなので、大河の主演を経験し海外で多くの作品に関わられた渡辺謙さんの背中を間近でみれますので、その時間を大切にしたいと思っています」と共演を待ち望んでいる。
秀持の人物像として、「田沼を支える人物の中でも『松本秀持』と言う人物は理系の考え方をするイメージです。群像の中にいても、どこかで俯瞰(ふかん)にモノを捉えていたり、田沼の意向をどうやったら論理的に物事を進めていけるか、と考える人物なのではないかと思っています」と分析し「どこかで、ずる賢い考えがあっても面白いかもしれません。そんな一面が演じられたらと思っていますので、お楽しみに」と期待をあおる。
一方、反田沼で“世直し大明神”の異名を持つ佐野政言役には矢本悠馬が従事する。佐野家は三河以来、徳川家に仕えた歴史があり、代々番士を務めた家柄。江戸城内で若年寄の田沼意知に切りつけ、重傷を負わせ絶命させた。幕府は「私憤からの乱心」として切腹を命じるが、庶民からはこれを「世直し大明神」と称えられることになる。
政言の印象として、「思い返せば中学だったか高校の時、黒板にチョークの白い字で『世直し大明神』、ウトウトとしていた授業中の記憶。まさか自分が役者となって演じ出会うとは。佐野政言、どう演じようかとトライ&エラーしている最中です」と学生時代の思い出を告白し、「佐野政言は、江戸時代中期という時代背景においても、『べらぼう』の世界観においてもスパイスになってくる人物だと思っております。旗本としての野心的な部分や、田沼家に対しての乱心的な部分が品のある怒りに仕上がっていけばいいのかなと、まだまだ漠然としたイメージです。これから勉強して細やかにキャラクターをデザインしていくのが楽しみな人物です」と役柄の魅力を話し、抱負を述べた。
相島一之は、田沼の外戚の老中・松平康福に扮(ふん)する。康福は、石見国浜田藩主、下総国古河藩主、三河国岡崎藩主、そして浜田藩主とたびたび国替えを経験。娘を意知に嫁がせ、田沼意次とは親戚関係となり、意次の失脚後も松平定信の老中就任や寛政の改革に最後まで反対したといわれる。
相島は「(『べらぼう』出演について)単純にうれしい。私にとってNHKの大河ドラマと朝ドラは特別なものです。子どもの時から見ていて、役者になってからは憧れのドラマです。それは60歳を過ぎた今も変わりません。大河ドラマのスタジオセットに入った時の感動は格別です。一瞬でその時代に連れていかれます。美術最高!」と素直に喜びを表現。
今作の気になる点として「私は落語が好きなので吉原のことはよく考えていました。本当はどんな世界だったんだろうか? 光と影がはっきりとある世界、吉原。このドラマはそこに切り込むのかとワクワクしました。私は武家側の人間なので吉原とは関係なさそうですがどう描いていくのかとても楽しみです」と吉原を挙げた。
松平武元として参加するのは、今作が大河ドラマ14年ぶりにして12作目となる石坂浩二。吉宗、家重、家治の将軍三代に仕え、家治からは「西の丸の爺」と呼ばれ信頼された「老中首座」。上野国館林藩主でもあり、その官位から「右近将監」(うこんのしょうげん)さまと呼ばれ、敬愛を集める。
石坂は「『大河ドラマ』、この響きは本当に特別で懐かしいもので私の心を揺さぶります。徳川幕府を守ろうと昔ながらの手法に固執する松平武元。その古さと、われながらの年の積み重ねを演じたいと思います。久しぶりに大河ドラマの撮影に臨みましたが、昔から変わらない独特な雰囲気と、伝統的な熱気を感じ感動しました。また、約15年ぶりに渡辺謙さんと新しい作品でご一緒出来るのが楽しみです」と変わらない現場に感銘を受けたことを明かした。
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