広瀬アリスが「完全無罪」で初の本格ミステリーに挑戦！ 奥田瑛二「広瀬アリスは“逃げられない目”をしている」2024/07/05
WOWOWで7月7日から放送・配信がスタートする「連続ドラマW 完全無罪」（日曜午後10：00）の記者会見が行われ、主演の広瀬アリスと、共演の北村有起哉、奥田瑛二、大森立嗣監督が登壇した。
大門剛明氏によるミステリー小説「完全無罪」（講談社文庫）を原作に、映画「星の子」「MOTHER マザー」（ともに2022年）などを手掛けてきた大森監督が、脚本と監督を務めるミステリードラマ。21年前に起こった少女誘拐殺人「綾川事件」と同時期に起こった別の少女誘拐殺人の被害者である松岡千紗（広瀬）は、時を経て弁護士となり、弁護士としての職業倫理と、自らの過去とのはざまで葛藤しながらも、事件の真相を追求していく本格ヒューマンミステリーだ。
会見に登壇した広瀬は、自身にとって初の本格ミステリーとなる本作のオファーについて「お芝居をしていく上で、いろいろな面を皆さんにお見せしたかったのでお話をいただいたときは、素直にうれしかったです。ただ本当にコメディばかりをやっていたので、何を見て、普段自分が出ている作品と対極にあるようなこの作品をオファーしてくださったのか、という不思議はありました」と告白。そんな今回の抜てきには「初めての広瀬さんが見たかった」というプロデューサーの思いがあったそうで、普段、恋愛ドラマやコメディ作品でのコミカルな演技に定評がある広瀬の新境地を開いた作品になっている。
作品について北村は「原作を読んで、すごい本だなと。WOWOWのドラマは何度もやらせていただいているんですけれど、いつも難しい役ばっかりで、やりがいがあります。今回もやっぱりやったことがない役で…。派手なアクションがあるわけではないですが、ついついひきこまれてしまう大森監督の世界観の中で、存分にやらせていただきました」と大森監督の作品に出演できた喜びを口にした。
また奥田は、「クランクインのかなり前にオファーをいただいて、台本がすごく分厚くて、手をつけるのをいつ、これに手をつけるかと、体調などいろんな状況を考えてました。そろそろ読むかというと、読んでいるうちに『すげーな、俺も無理かもしれない』と思いながら読み終わって、そこから『よし、行くぞ！』と冒険心とチャレンジ精神を持って挑みましたね」と臨むのに覚悟がいる作品だったと語った。
大森監督の現場での演出について聞かれると、広瀬は「最初のほうは監督に、『いまお芝居しちゃったね、お芝居しないで』と言われてました（笑）。カメラが回ると、（自分は）エンジンがかかってしまうので、力を抜いた状態でやってくださいということだったと思います。あと、（大森監督は）長回しで撮るので、かんだらまた最初からになるので、どうやって平常心でいようかと考えていましたね」と振り返った。それを受けて大森監督も「僕の演出の仕方は広瀬さんが“松岡千沙”という役をやった時点で、“松岡千沙”は“広瀬アリス”なんですよ。だから、広瀬さんが感じたことが役になっていく、ということをやりたいんですよね。広瀬さんが、奥田さんや北村さんのセリフを聞いて、その場で何を感じるんだろうというのがありました」と広瀬に伝えた言葉の真意を明かした。
奥田は、そんな広瀬と現場で対峙（たいじ）して思ったことがあったそうで、「広瀬さんと対峙して長いシーンを撮ると、不思議なんですけれど、目をそらすことができないんです。ずっと見てしまう目をしてるんですよね。そこが、（演技の）計算を許されない目をしている。俳優として不思議な世界観を持っている人だなと感じました」と話し、広瀬のことを「逃げられない目をしている」と評した。
撮影は、2週間ほど香川で行われたそうで、香川での撮影の日々について「（香川は）とても開放感がありましたね。午前中しっかり仕事をしたあとに、うどんを食べに行ったり、骨付き鳥を食べに行ったりと、食を楽しんでました」と広瀬が答えると、北村も「大森監督は、撮るのが早くて。スタッフさんたちも有意義に、空いた時間でおいしいものを食べに行ったりしていて、それが、次の日のみんなの活力になっていたりしてよかったですね」と振り返った。北村自身も、香川に折り畳み式の自転車を持参し、撮影の合間に乗っていたそうで、広瀬が「運がいいと自転車に乗っている有起哉さんと出会えるってなっていました」とほほ笑んだ。
さらに、作品が7月7日の七夕からスタートからすることにちなみ、会見では短冊に書いたそれぞれの願いを発表する一幕も。広瀬は「ライブにたくさん行けますように」と願いを発表し、「音楽がすごく好きなので、今年はいっぱいライブに行きたいですね。あといつか自分が主催の音楽イベントつくりたいです」と自身の野望を語ると、北村は「適応したい」とシンプルな一言を挙げ、「夏の暑さと、人間関係と、仕事とか…。あと妻ともちゃんと適応したい（笑）」と話し、笑いを誘った。
一方、奥田は「読み上げた方がいいですか…」と前置きをし「101歳まで空を見ていたい」という願いを披露。奥田の願いに会場から、感嘆の声が漏れると「朝から真剣に（どんな願いにしようか）考えていたんですけど…。僕は自分の寿命を決めていて、101歳まで生きることにしているんです。それまであと20年くらいあって、世界はこのあと、どんどん大変になっていくとは思うのだけれど、みんなが平等に見ることができるのは空だなと。あと、子どもや孫たちがどうなっていくのかを、見ていきたいですね」と語った。その流れで、大森監督が「早くおいしいおすしをゆっくり食べたい」と出すと会場は笑いに包まれ、大森監督は「最後はダメだって（笑）」と笑い、「あんまり最近（おすしをゆっくり食べるような）時間を取れていないので、そういう気分に今なっているだけです（笑）」と恥ずかしがった。
最後に広瀬が「自分でも、ストーリーは分かっているけれど、次が気になって、一気見してしまいました。この作品はミステリーなので、ストーリーとしてももちろん面白いんですけれど、幸せな人があまり出てこなくて（笑）。笑顔なんてほとんどないです。でもそれが私の役者人生の中で、大きなものでしたし、挑戦でした。良くも悪くもどろどろした人間のむき出しの心情が表現された作品だと思います」と改めて作品の見どころをアピールし、会見を締めくくった。
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