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ポン・ジュノ監督が来日! 巨大生物を救うために少女が奮闘する話題作「オクジャ/okja」2017/06/23

ポン・ジュノ監督が来日! 巨大生物を救うために少女が奮闘する話題作「オクジャ/okja」

 6月29日からオンラインストリーミングサービス・Netflixで全世界同時配信される、オリジナル映画「オクジャ/okja」のポン・ジュノ監督と主演のアン・ソヒョンが来日。6月22日に東京・六本木で記者会見を開いた。

 映画「母なる証明」(2009年)、「スノーピアサー」(2013年)などで知られるポン監督が監督と共同脚本を担当、ブラッド・ピットがエグゼクティブプロデューサーに名を連ねる同作は、少女・ミジャと巨大生物・オクジャの絆を描く壮大なアドベンチャー。韓国の山奥でオクジャと暮らしてきたミジャは、多国籍企業に連れ去られたオクジャを救出しようとするうちに、オクジャを巡る激しい争いに巻き込まれていく。第70回カンヌ国際映画祭コンペティション部門にノミネートされた。ティルダ・スウィントン、ピョン・ヒボン、ジェイク・ギレンホールら豪華なキャストも話題を呼んでいる。

 「大きくて従順な動物と少女の物語を撮りたかった。私が初めて撮ったラブストーリーです」と4年ぶりの新作について語るポン監督。「オクジャはミジャにとって両親か妹のような存在。家族が連れ去られたら、当然、救い出そうとしますよね。そんな気持ちで演じました」と言うアンは、撮影中のエピソードを聞かれると「オクジャが渓谷で水に落ちるシーンでは水鉄砲で20回くらい水を浴びて、どんな魚でも気絶すると思いました(笑)」と苦労話を披露。

 するとポン監督が「本当にすみません。監督は悪魔です(笑)」とすかさず日本語で応じ、会場の笑いを誘っていた。とはいえ、アンにとってポン・ジュノ組の撮影は充実した経験になったようで、「これほど俳優に気を使ってくれる監督さんがいるだろうかと思いました。これから私を必要としてくれる人がいたら、いつでも、どこでも(撮影に)駆けつけたいですが、ポン監督のオファーが最優先。『オクジャ』ではお見せできなかったものを、ポン監督と一緒にほかの作品で見せていきたい」と、13歳とは思えないしっかりした口調で語っていた。ポン監督も「撮影現場ではケータリングやおやつのことばかり話していましたね(笑)。それができたのはソヒョンさんの演技が素晴らしく、いつもしっかり準備ができていたから。リラックスした雰囲気の中でもカメラが回ると本能的にすごい集中力を発揮していました」と彼女の演技を絶賛していた。

 本作の自然描写について宮崎駿作品の影響を受けていることを公言しているポン監督だが、ミジャには「未来少年コナン」のイメージがあるという。「コナンの少女バージョンでしょうか。ずっと走り続けていて誰にも止められない。コナンは島で魚を取って暮らしていますが、自然の中での暮らしぶりは共通していると思います」と人物造形について語った。また、ミジャとオクジャがニューヨークでパレードのど真ん中に姿を現すシーンは押井守監督の「イノセンス」(2004年)のパレードのシーンを参考しにしたが、実写映画では同様のスケール感を出すことは難しかったこと、子ブタを主人公にしたジョージ・ミラー監督の「ベイブ」(1995年)と続編「ベイブ/都会へ行く」(1998年)にもインスパイアされていることも明かした。一方のアンも「私も日本の映画やアニメ、音楽が好きです。『となりのトトロ』(1988年)や『千と千尋の神隠し』(2001年)、『崖の上のポニョ』(2008年)などは何度も見ています。『君の名は。』(2016年)も大好き。ヒロインの三葉のような役を演じてみたいです!』と日本カルチャー好きをアピールしていた。

 近年、マーティン・スコセッシやデビッド・フィンチャーらの名だたる映画人がNetflixでオリジナル作品を制作していることについて、ポン監督は「大きな予算の作品でありながら創作の自由が100パーセント与えられている。クリエーティブがコントロールできることが魅力だと思います」と述べ、デジタルメディアの発展で映画の制作方法や鑑賞の仕方が多様になってきたことに関しては「1960年代にテレビが登場して映画が終わってしまうと恐れた人がいましたが、現在、テレビと映画は共存している。同じようにデジタルストリーミングと映画も共存していけると思っています」と考えを語った。会見の間中、テーブルに置かれたオクジャの縫いぐるみをいとおしそうに触っていたポン監督。シリアスなテーマを扱いながらもつねにユーモアを忘れない自身の作風を思わせる姿が印象的だった。


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