門脇麦が“座右の書”「夜と霧」の著者を取り上げる「こころの時代 宗教・人生」新シリーズのナレーションを担当2024/04/16
門脇麦が、NHK Eテレで4月21日から新シリーズがスタートする「こころの時代 宗教・人生」(日曜午前5:00、月1回放送)のナレーションを担当することが分かった。
「こころの時代」は、科学的思考が判断基準となりがちな現代において、それだけでは解決できない生老病死の問題にいかに挑むのか、先人たちの知恵や体験に耳を傾けて考える教養番組。2024年度は、ホロコーストを生き延び、人生を懸けて「それでも生きることには意味がある」と訴え続けたオーストリア人精神科医のヴィクトール・E・フランクルの人生と思想をたどる。
80年前、600万のユダヤ人の命を奪ったホロコースト。精神科医・フランクル(1905~97)は、戦後に強制収容所の体験記「夜と霧」で世界的に有名になったが、本当に伝えたかったのはナチスの残虐性ではなく、「どんな苦境においても生きることには意味がある」というメッセージだった。フランクルは、精神科医として多くの患者と接する中で育み、強制収容所では自ら実践することで生き延びる助けにもなったこの思想を「ロゴセラピー(“意味”を軸とした心理療法)」と名付け、生涯普及に尽くした。
フランクルはなぜ、数えきれないほどの苦難を経験してもなお、人生を肯定できたのか? 今シリーズでは、フランクルが残した膨大な著作や資料を通じて、その生涯と思想に迫る。そして、争いや生きづらさがまん延する現代で、私たちが苦悩を乗り越え、より広い世界に目を向けて生きる手がかりを探る。
4月から月1回、全6回にわたって放送されるシリーズのナレーションを担当する門脇は、「夜と霧」に小学生の頃に出合い、折々読み返してきた人生の座右の書だという。
門脇は「最初お話をいただいた時、『私ではない方がいいと思います』と言いました。まだまだ人生ひよっこの私が、人生の話をする番組のナレーションをやらせていただくのは早い気がして。でも『夜と霧』は人生の座右の書と話してきましたし、思いは人一倍あると思うので、責任をもってお届けできるように頑張ろうと思います」と、出演を決めるまでの経緯を明かす。
そして、「『夜と霧』のことだけでなく、フランクルの生い立ちであったり、ほかの書で残されている哲学的な言葉が散りばめられている番組です。解釈も深まると思いますし、これを自分の中に咀嚼(そしゃく)した時にどういう言葉になるのか、ヒントがとてもたくさんあるように思います。私自身も、全6回が楽しみです。いろんなことを考えたり、何かに思いをはせる時間って意外と日常生活で少なかったりするので、皆さんもこの番組を通して、そういう大切な時間を設けていただけたらと思います」と呼び掛けている。
番組に出演する、日本ロゴセラピスト協会・会長である講師の勝田茅生氏は「ヴィクトール・フランクルという名を聞いて、ほとんどの人が『夜と霧』という本を思い出すことでしょう。今からおよそ90年前に、ドイツ議会で政権を勝ち取ったアドルフ・ヒットラーは、自分の権力を堅固なものにするために、政治的批判をする人々を闇に紛れて葬っていきました。そして、欧州制覇を目指して巨大な富を得るために、ユダヤ人から財産を取り上げたのです。仕事も居場所も財産も失ったユダヤ人の行き先は強制収容所でした。フランクルも家族と共に移送され、四つの収容所で、言葉には言い尽くせないほどの悲惨な体験をしたのです。けれどもフランクルはそのような過酷な運命の打撃の中でも、生きることの意味を信じようとしました。たとえどんな状況にあっても、人生には意味があるということを、私たちに言い残そうと苦悩に耐えたのです。この希望の光を抱いた心理治療、ロゴセラピーについて、誰にでも分かるような言葉でお話したいと思っています」とフランクルについて解説し、番組へ臨むスタンスを語る。
聞き手となる作家・小野正嗣氏は「フランクルは、『人生から何を期待するかではなく、むしろ人生が私たちから何を期待しているかの方が、ずっと重要だ』と言っています。『人生から意味を問われているのだ』と。人生に対して、私たちを取り巻く世界に対して、他者に対して、つまり今自分が置かれた『状況』に対して、絶望や怒りや悲しみではなく、希望や平穏や喜びで応答できないものでしょうか。その時、私たちの人生は明るく優しい光に満たされるのではないでしょうか。勝田茅生さんの言葉に、その言葉を通して現われるヴィクトール・フランクルの生きざまや思想に触れながら、人生の期待に応えるとは、人生に意味を与えるとはどのようなことなのかを、皆さんと一緒に考えていければと願っています」と番組への思いを伝える。
朗読を担当する井上二郎アナウンサーは「『私には務まらないのではないか』。今回のお話をいただいた時に抱いた率直な感想です。私にとって『夜と霧』は、いつもおそれをもって手にし、読後はあまりの事実に呆然としながら本棚に返す本だったからです。そして今回、久しぶりに手に取り読み返しました。現代の戦争と災害、そして分断の時代に読む『夜と霧』。どんな暴力も決して奪うことのできなかったフランクルの言葉は、今を生きる私たちの心の内側に直接語り掛けてくれます。『人生というのは結局、人生の意味の問題に正しく答えること』。この本に散りばめられた言葉の数々は、私たちの道標となってくれるものだと、あらためて確信しました。重責に戸惑いながらも、言葉と精いっぱい真摯(しんし)に向き合い、語っていければと思っています」と作品との関わりと、番組に臨む心境を明かしている。
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