富樫勇樹を擁する千葉ジェッツが連覇で5回目の優勝! 天皇杯決勝「琉球×千葉J」をリポート2024/03/22
トップリーグのプロチームをはじめ、日本全国の学生、社会人チームが日本一を目指す「第99回天皇杯 全日本バスケットボール選手権大会」。全103チームが参戦した今大会の決勝が3月16日に開催された。ファイナルへ駒を進めたのは、琉球ゴールデンキングスと千葉ジェッツ。昨季の天皇杯決勝、さらにはBリーグファイナルと同じ顔合わせとなり、大きな注目を集めた。舞台はさいたまスーパーアリーナ。満員となる1万5385人のファン、ブースターが詰めかけ、会場はお互いのチームカラーの白(琉球)と赤(千葉J)でほぼ真っ二つに分かれた。
第1Q(クォーター)は、クリストファー・スミス選手(千葉J)、岸本隆一選手(琉球)、原修太選手(千葉J)、富樫勇樹選手(千葉J)が3ポイントシュートを決め、決勝戦にありがちな選手の硬さは見られず、お互いに得点を取り合って21-25。千葉Jが4点リードするもほぼ互角の展開で、第2Qへ。
ゲームが大きく動いたのが、第2Qだ。千葉Jがディフェンスで琉球を圧倒し、わずか11点に抑える。千葉Jは着実に得点を伸ばし32-48。千葉Jが16点リードと差を広げて前半を終える。試合後、富樫選手は「オフェンスに目が行きがちだけれど、今日はディフェンスの勝利。コーチ陣のゲームプランが完璧だった」と振り返っている。
後半に入っても琉球は千葉Jのトラップディフェンス(ダブルチームなどで相手のボール保持者にプレッシャーを与えるディフェンス)を打破できず。一方の千葉Jは、ベンチプレーヤーの小川麻斗選手、ゼイビア・クックス選手、金近廉選手なども伸び伸びとプレーし、コート上で躍動。第3Qは37得点、第4Qは32得点を挙げ、大きく得点を伸ばし、試合を決定づけた。最終スコアは、69-117。48点差の圧勝で千葉Jが2連覇、5回目の優勝を成し遂げた。千葉Jの3ポイントシュート成功率は驚異の56.8%(37本中・21本成功)を記録した。
千葉Jは、3月10日に行われた東アジアスーパーリーグ(EASL)でも初優勝を成し遂げており、今回の天皇杯制覇で今季2冠を達成。わずか1週間で二つのビッグタイトルを獲得した。
試合後の会見で、千葉Jのジョン・パトリックヘッドコーチ(HC)は、「選手たちは最初のジャンプボールから集中していた。非常にフィジカルな相手に対して、うちもタフに、ボディーブローをもらっても、何があっても集中していた。48点差というのは見たことのないような結果です。選手たちがコート上で100%の力を出して、ディフェンスからオフェンスへつなげる戦いをやってくれました。力のある相手のインサイドに対しても、怖がらずに40分間、リバウンドでも戦ってくれた。ディフェンスではダブルチームもよく効いていた。また、40分間通してチーム全体で3ターンオーバーしかなかったのはすごいこと。ガード陣はゼロです。パーフェクトに近い試合で、相手のプレッシャーにも冷静に対応できていたと思います」と喜びとともに選手をねぎらった。
会場を赤く染めてくれた千葉Jブースターには「赤の海。コートサイドから会場の一番高いところまで赤くて、いつもサポートしてくれて、感動しました」と感謝を述べた。
3ポイントシュート6本を含む20得点でチームの勝利に貢献した富樫選手は、「本当に最高という言葉しかないです。千葉Jのブースターと、遠くから駆けつけてくれた琉球のブースターが作ってくれた、この雰囲気の中でプレーできたことを本当に幸せに思います」と、両チームのブースターへ感謝を表した。
高確率の3ポイントシュートについては、「僕だけじゃなくてチームとして50%を超える3ポイントを入れることができたと思うんですけど、チームでしっかりボールを回して、スクリーンを掛け合って、オープンを作って打ったシュート。全員で点数を取ることができて、本当に素晴らしいオフェンスを展開することができたなと思います」と、チームとしてオフェンスが機能したことを強調した。
Bリーグ、天皇杯、EASLに日本代表戦と過密日程の中、活躍を続ける富樫選手に対して、パトリックHCは「普通じゃない。勝負が大好きで、勝負強い選手だと思う。決勝戦に集中して、結果を出す。大事な試合に強い」と絶賛。富樫選手本人は「コートに立った時はもちろん真剣に、プロ選手として責任をもっていますが、心の大きな部分で、楽しくプレーしているというか…。小学生の時に公園に遊びに行くような気持ちを持って、今もプレーできているので、疲れというより、シンプルに楽しいことができているということが大きいと思います」と、バスケットボールをプレーできる喜びが疲れを上回っていることを明かしてくれた。
それと同時に「(チームメートに対して)コート上で全員に好かれたいとは思っていないので、厳しく言うこともありますし、言われることもある。そういう関係でありたいなと。もちろんそれは、みんなが同じゴールがあるので、分かり合えるもの。それをシーズン通してやり続けることができるチームが強くなっていくと思う」と語り、千葉Jの強さの秘密が垣間見えた気がした。
ベンチスタートながら、14得点をマークしポイントガードとして存在感を発揮した小川選手は、千葉Jに加入してからの約1年半での成長ぶりを問われると、言葉を選びつつも「大学を辞めてよかった(笑)。言い方が難しいですけど」とコメントし、周囲は笑いに包まれた。もちろんそれは、大学を軽視するようなことではなく、自分が覚悟を決めて選んだ道で成長を実感できていて、“プロになって、千葉Jに加入してよかった”という意味だろう。「このチームで、原(修太)さんだったり(富樫)勇樹さんだったり、お手本となるような先輩方がいるので、この1年ちょっとで自分としても成長したのかなと思います」と続けた。
これまでの千葉Jでの小川選手のプレーは、ディフェンスが得意な選手というイメージもあるが、学生時代は攻撃が得意だった。「千葉Jには得点の取れる選手はたくさんいますし、ディフェンスができないと試合に出られません。それで自分の役割をディフェンスと明確にして、1年間やってきました。昨季は消極的なプレーで悔しい思いもしましたが、オフェンスは自信を持ってやればできると思っていて、ここ数試合、EASLでの試合ぐらいから自信を持ってプレーできるようになってきました。これを残りのシーズンにつなげていきたい」と、オフェンスでの手応えも感じているようだ。
一方、完敗を喫した琉球は、HCも選手も悔しさをにじませる。
桶谷大HCは「ファーストショットで富樫選手とスミス選手に決められたことで、2人を乗せてしまった。多くの応援している人がいて、期待される中でのこの大敗なので、めちゃくちゃ恥ずかしいです」とコメント。
岸本選手は「今日ここに駆けつけてくれたファンの人たちに対して申し訳ない。選手個人の悔しいという気持ちを言うのもおこがましいくらい、たくさんの人の期待に応えられなかった試合です。ここから一つずつ、毎試合毎試合、気持ちのこもったプレーをするしかないと思う。その上で結果を出して、もう一度みんなに期待してもらえるように、日頃から取り組んでいきたいと思います」と悔しさをにじませながらも、今後についても言及。
今村佳太選手も「本当に恥ずかしい試合をしてしまった。沖縄からわざわざ足を運んでもらったにもかかわらず、こういう結果になってしまったのは本当に悔しいですけど、まだまだこれから試合もあるので、今の時点で、まだ皆さんに応援してもらえるチームじゃないと思うので、もう一度自分たちのことを見直して、切り替えてやっていかないといけない。まずは、40分間、自分たちのプレーをやり続けられるか。そこにプライドをもってやりきれるか。それに加えて、個人で打開する力は必ず必要だと、今日の試合でもあらためて感じました」と反省を口にしながら、前を向いた。
リーグ戦はこれから終盤戦へ突入。3月20日に開催された琉球×大阪エヴェッサでは、琉球が88-79で勝利を収め、天皇杯での悔しさをばねに次の一歩を踏み出した。琉球と千葉Jは第30節(4月6・7日)に再戦し、5月から始まるチャンピオンシップでも争う可能性がある。両チームの今後の戦いからも目が離せない。
【天皇杯 最終結果】
優勝:千葉ジェッツ(2年連続5回目)
準優勝:琉球ゴールデンキングス
第3位:川崎ブレイブサンダース、宇都宮ブレックス
共同通信社MVP賞:富樫勇樹選手(千葉ジェッツ)/2大会連続・3回目
大会ベスト5
富樫勇樹選手(千葉ジェッツ)/3大会連続・5回目
ジョン・ムーニー選手(千葉ジェッツ)/2大会連続・2回目
クリストファー・スミス選手(千葉ジェッツ)/初受賞
岸本隆一選手(琉球ゴールデンキングス)/初受賞
比江島慎選手(宇都宮ブレックス)/3大会ぶり3回目
【放送・配信情報】
「Bリーグ2023-24シーズン」
●地上波
NHK沖縄(沖縄ローカル)
4月6日 午後6:10(ティップオフ)
「琉球ゴールデンキングス×千葉ジェッツ」
NHK広島(広島ローカル)
5月5日 午後1:10(ティップオフ)
「広島ドラゴンフライズ×琉球ゴールデンキングス」
●BS放送
NHK BS
3月24日 午後2:05(ティップオフ)
「横浜ビー・コルセアーズ×長崎ヴェルカ」
4月21日 午後3:05(ティップオフ)
「宇都宮ブレックス×アルバルク東京」
5月4日 午後3:35(ティップオフ)
「横浜ビー・コルセアーズ×川崎ブレイブサンダース」
BS12 トゥエルビ
3月24日 午後2:05(ティップオフ)
「広島ドラゴンフライズ×名古屋ダイヤモンドドルフィンズ」
●CS放送
J SPORTS https://www.jsports.co.jp/
●配信
バスケットLIVE https://basketball.mb.softbank.jp/
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