真田広之と二階堂ふみが語る「SHOGUN 将軍」への熱い思い2024/03/23
真田広之が主演&プロデューサーを務めたハリウッド製作の戦国スペクタクルドラマシリーズ「SHOGUN 将軍」。戦国一の武将・虎永を演じた真田と、その虎永に対立し、息子を守るためには手段を選ばない落葉の方に扮(ふん)した二階堂ふみに、製作の裏側を聞いた。
── 初めにお互いの印象をお聞かせください。
真田 「本作で初めてご一緒させていただきました。虎永と落葉の方の関係は、この2人の在り方次第では日本の未来が変わってくるという、非常に重要なテーマを伴っているので、すてきな距離感といいますか、それはもう俳優としてはビシビシとエネルギーを感じながら、落葉の方の目力をどう受けて、受け流すか、という面白さがありました。最初にご一緒した撮影でも、遠くの方で目線のためにカメラに映らない場所に立っていてくださるだけで、ビームがすごいんですよね。10話までの大きなアーチの中で、この2人の距離感がすごく大事だからこそ、おふみさんでよかったと、最初のシーンで思いました」
二階堂 「真田さんは数多くの作品にご出演されていて、俳優部の後輩としてそれをずっと見てきましたので、ご一緒させていただけるとなった時には、『一体どんな方なのだろう』と思っていました。私の撮影初日は、真田さんがさっきおっしゃっていたシーンで、非常に緊張感のあるシーンでした。そんな中、初めての海外作品への参加で、しかもスタジオの中は真っ暗で、見えないけどいろんなところから声が聞こえてくるという状況で。真田さんは俳優として、プロデューサーとして、いろんなものを見てくださいました。この現場に参加して、私が今まで日本でやってきたやり方、自分の仕事に対する向き合い方やプロセスの違いなどで悩んだりした時も、そっと寄り添ってくださいました。その時にかけてくださった言葉がずっと心に残っていて、日本に帰ってからもその言葉がすごく強く残っています」
── プロデューサーとしての真田さんはいかがでしたか?
二階堂 「カッコよかったです。誰よりも先に現場にいらっしゃって、誰よりも長くいらっしゃる。それでいて、エキストラの方までちゃんと見ている。そういうクリエーティブに対する妥協のなさ、真田さんが真ん中に立って細部までちゃんとこだわってくれているからこの作品は成立しているんだと、完成版を見た時に感じました」
── 二階堂さんが演じる落葉の方はいかがでしたか?
真田 「力強さと繊細さが同居しながら、母性愛もそこに存在していて。いろんなレイヤーがある中で、それを自然に、素晴らしいバランスで発信して、おふみさんならではの落葉を作り上げていただいたなと。カツラ合わせでも衣装合わせでも、ちゃんと意見を持っていて。履物でも意見・アイデアをスタッフに伝えたりして、ビジュアル的にもお芝居的にも、自分の“落葉像”というものを追求しているところが、準備段階からすごく印象に残ってますね」
── 履物のアイデアというのはどのようなことですか?
二階堂 「当時は裸足で歩かれる方も多かったみたいですが、落葉の方が位の高い役で、足元のシーンなどもありましたので、『この着物の生地を鼻緒に使ってみるのはどうですか』みたいな話とかを。細かなところですが」
真田 「ですね、底の厚みとかもね。国のトップの女性としての印象づけみたいなもので、ほかの女性と差別化をしていく。もう細かいディテールだよね。そういうのも実際に写真を持参して、向こうのクルーに見せて『こういうことですよ』と伝える。どれだけ下調べをしてきたかは、それだけでも分かります。あとは髪飾りの選び方一つで印象が変わるのですが、作りたての衣装をメークのトレーラーに持ち込んで、『これならこれですかね』というやりとりなど、そういうところからやっていただいたので、制作陣としても助かりました」
── ハリウッド作品で日本との違いなど、現場の雰囲気を教えてください。
二階堂 「まずセットの大きさにも驚きましたし、ライトの大きさ、照明の大きさにも驚きました。何よりも驚いたのは、真田さんがプロデューサーとして現場にいらっしゃる時、本当にずっといらっしゃるんですよ。それに、誰よりも一番近く、ご自身の目で現場をすべて見ていて。それでいて私たちでも気付かないような本当に細かいところを直しに行かれているのを見た時に、『真田さんって目が何個あるんだろう?』っていう、そんな驚きがありました。真田さんが出演シーンの準備で現場を離れていた時も、モニターをずっとご覧になっていたみたいで、『真田さんからこういうご提案が来ましたよ』ということもありました。プロデューサーをされながら、俳優部主演としてこの作品を背負っていて、そこに本当に感動しました」
真田 「タブレットで遠隔操作の時もありました。セカンドユニットに行かなければならない時もありましたので、タブレットを見ながら現場に電話で指示を伝えるということは、多々ありました。でも本当に素晴らしい経験をさせていただいたし、日々本当に楽しかったですね。日本のキャスト、日本から来てくれた各パートのスペシャリスト、それとハリウッドのチームが学び合い、尊重し合い、意見を出し合い、垣根を乗り越えて、チームワークを築いてくれて。終わる頃は別れを惜しむ空気がありましたね」
二階堂 「これ以上ない経験をさせていただいて。それも真田さんが何もない平地のところからやってこられたことが、この現場にすべて表れているんだなと現場でも感じてましたし、出来上がったものを見た時も、これは真田さんの歴史なんだなというふうに感じて。それは同じ日本人として同じ俳優部として、希望といいますか、たくさんのことを教えていただきました」
真田 「もうチームワークですからね。みんなで作り上げたものなので、これは本当に世界の皆さんに見ていただいて、しかも日本の時代劇通の人にも納得していただけるものになることを願いつつ、またこれが一つの布石として次のステップへみんなでいければいいなというのが、今の願いですね」
【プロフィール】
真田広之(さなだ ひろゆき)
1960年10月12日生まれ。東京都出身。2003年の映画「ラスト サムライ」で世界に名を売り、「ラッシュアワー3」(07年)、「47RONIN」(13年)、「ジョン・ウィック:コンセクエンス」(23年)などに出演。
二階堂ふみ(にかいどう ふみ)
1994年9月21日生まれ。沖縄県出身。2009年の映画「ガマの油」で映画デビュー。「ヒミズ」(11年)、「翔んで埼玉」(19年)、「月」(23年)、などに出演。主演ドラマ「Eye Love You」(TBS系)が放送中。
【番組情報】
「SHOGUN 将軍」(全10話)
ディズニープラス「スター」で独占配信中
戦国最強の武将・虎永(真田広之)は、覇権を狙う五大老と敵対。敵の包囲網が迫っていたある日、英国人航海士のジョン・ブラックソーン(後の按針/コズモ・ジャーヴィス)が虎永の領地へ漂着する。按針から世界を見聞きし、何度も命を救われる虎永だったが、五大老の脅威が迫り、追い詰められ絶体絶命に陥る。
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