【映画「ゴールデンカムイ」SPインタビュー】二階堂兄弟を演じる栁俊太郎、命懸けの撮影を経て感じた“続編への期待”を明かす2024/02/08
全国大ヒット公開中の映画「ゴールデンカムイ」。2014〜22年まで「週刊ヤングジャンプ」(集英社)にて連載された野田サトル氏による同名漫画を映像化した本作では、厳しい北海道の大自然の中で、一癖も二癖もある魅力的なキャラクターたちが、埋蔵金争奪の冒険サバイバル・バトルアクションを繰り広げている。
公開12日で興行収入12.7億円を突破し、高い観客満足度を得る本作。中でも、栁俊太郎さんが1人2役で演じている双子の軍人・二階堂浩平・洋平兄弟の再現度には「二階堂兄弟、実現していた」「イかれ具合が好き」と絶賛の声が続々と上がっている。そんな二階堂には演じる栁さん自身も「大好きだった」と愛着があるよう。今回、作品の魅力をはじめ、過酷な撮影の裏側に迫った。
1人2役だから感じた、他のキャラクターにはない唯一無二の魅力
――本作の出演が決まった時の心境をあらためて教えてください。
「原作も読んでいて、すごく好きな作品だったのでうれしかったです。二階堂というインパクトのあるキャラクターを自分でどこまで面白く持っていけるのか、そこの葛藤みたいなものを感じたのは覚えています。不安も多少はありましたが、モチベーションの方が大きかったと思います」
――原作の魅力についてはどう感じていますか?
「あの壮大なスケールに加えて、シリアスな部分とコメディーな部分、そこのギャップがすごくいいなと思っていて。結構いろいろな映画のパロディーみたいなところも散りばめられているので、非常にエンターテインメント性に富んだ原作だと感じています」
――壮大なスケールの中で、コメディー部分もありつつ、アイヌ文化なども深いところまで描かれているのが印象的です。
「そうですね。やっぱり、野田先生ってアイヌに関して相当勉強したんだろうなって思いますよ。めちゃくちゃ詳しいじゃないですか。どれだけ取材したんだろうと思いますし、想像すると『先生、半端ねえな!』とも思いますよ」
――原作の野田先生も実写映画化にあたり、「内心ものすごく心配していました」とコメントされていましたが、そういった部分ではプレッシャーのようなものもあったのではないでしょうか?
「二階堂という役をやるにあたって、もちろん僕もですが、原作ファンが求めているものってあると思うんです。その準備が整った状態で野田先生がGOしてくれた時点で『あとはもうやるしかない』という気持ちの方が大きかったです。もちろんプレッシャーはありましたが、そのプレッシャーも原作が好きだからこそ楽しめたと思います。本当に二階堂が好きだったので、好きな人のことを考えながら演じるというのはすごく楽しい作業だなと、今回あらためて思いましたね(笑)」
――今回演じられた二階堂兄弟について、その魅力をあらためて教えてください。
「二階堂の魅力はたくさんあるのですが、狂気的な部分と、どこかかわいげのあるちょっとした子どもっぽさはキャラクター的にすごく面白いなと思います。登場するキャラクターにはそれぞれいろいろな事情があって、みんなが金塊に向かって旅していく中で、二階堂だけは“杉元を殺すこと”が目的で、金目当てではないんですね。浩平は洋平のために、仇を討つことに執着して生きている人間なので、体がけがだらけになっても殺しに行く。その“洋平への愛”は、僕は愛せる部分なのかなと思いますね」
――原作、アニメ、そして今回の映画を通しても、二階堂兄弟には“兄弟愛”が欠かせないのかなとも感じます。
「そうですね。もう兄弟愛でしか生きていない人間だと思いますよ。原作だと体中けがしてて、頭もモルヒネ中毒になったりしても、洋平への愛だけは忘れずに生きている。兄弟愛しかないと感じます」
――1人2役ということで、演じる中で大変なこともあったのではないでしょうか?
「単純に同じ撮影を2回やるんですよ(笑)。1人だったら1回でいいところを2回、しかも違う動きで撮影するというのは、なかなか考えることが多かったと思います。撮影していても『今、洋平だっけ? 今は浩平?』みたいなことにもなりましたね」
――二階堂が持つ狂気じみた雰囲気や言動、行動を出すために意識されたことはありましたか?
「キャラクター性というのは原作で強く描かれているなと思ったのですが、今回映画で最後のアクションシーンは原作を膨らませたオリジナルだったので、自分でどうしていこうかと、アクション部さんといろいろ話し合っていました。『二階堂だったらこうアクションするな』『こういう動きの方が、二階堂の人間性を壊さずに見ている人にも楽しんでもらえるだろうな』と試行錯誤しながら動きは作っていきましたね」
――アクション部の監督とも「こうした方がいいんじゃないか?」と自分から提案することも多かったですか?
「そうですね。そこは話し合いながら、アクション部さんの意見も聞きながら、自分の意見も出しながら、長いこと準備していただいたので、結構細かいところまで話し合いながら進めることができたと思います」
――アクションシーンについては納得のいくものができたという満足感も?
「めちゃくちゃ格好よく作っていただいたなと思います。あそこのアクションシーンって、終盤戦じゃないですか。クライマックス感もすごくあって、もちろん(山﨑)賢人とのアクションは間違いなく映画の見どころではあるので達成感もありましたし、ぜひ見ていただきたいなという気持ちもすごい強くなりました」
過酷な撮影を乗り越えて芽生えた“続編”への期待――「これで二階堂を終わらせるわけにはいかない」
――先ほど山﨑さんのお話がありましたが、本作での山﨑さんとの共演にはどんなことを感じましたか?
「すごくフランクで楽しいことが好きな方なので、苦労している部分や努力している部分もあったと思うのですが、あまりそれを人に見せずに現場を楽しくしてくれて、本当に和気あいあいとした空気を作ってくれたのは彼の人間性だと思います。その器のデカさには本当に助けられました。アクションの部分に関しても、プライベートで会うぐらい仲がいいからこそ、遠慮なくお互いに話し合って、攻めるところは攻められたと思いますし、本当に自由に動かせてもらったので、感謝しています」
――信頼があってこそ、納得のいくものができた?
「僕が勝手に甘えちゃったなという気もするんですけどね(笑)。僕は信頼していますし、もちろん賢人もいろいろな作品でアクションをバリバリやっているので、そういう意味ではとても頼もしかったですね」
――山﨑さんが演じる主人公・杉元佐一にはどんなことを感じましたか?
「やっぱり、たくましさもありながら、こういうでかい作品で頑張るそのプレッシャーももちろんあったと思うんです。その中での『俺は不死身の杉元だ!』というセリフは、そういう苦労を知っていると、よりその一言で泣けてくるなと個人的には感じますね」
――「俺は不死身の杉元だ!」というセリフは「ゴールデンカムイ」には欠かせないものになっていますが、山﨑さんと対峙(たいじ)してそのセリフからは迫力のようなものも感じたのでしょうか?
「いやぁ、すごかったです。迫力もだし、その時の緊張感もすごくて。生きるか死ぬかの世界を描いている作品なので、杉元も二階堂もみんな毎回本当に命懸けのシーンなんですよね。そういうシーンが多いので、その緊張感はある意味、楽しかったところもありましたね」
――命が懸かっているからこそ、ある意味、相乗効果のようなものもありそうですね。
「ありましたね。そこを失って演じていると、芝居のスケールもどこか小さくなってしまうと思うので。そこはみんな気合を入れてやっていたと思います」
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