Feature 特集

【「セレブ男子は手に負えません」インタビュー前編】“自分にとってもベストなタイミング”――若月佑美が地上波連ドラ初主演作への思いを明かす2024/01/20

【「セレブ男子は手に負えません」インタビュー前編】“自分にとってもベストなタイミング”――若月佑美が地上波連ドラ初主演作への思いを明かす

 若月佑美さんが地上波の連続ドラマ初主演を務める「セレブ男子は手に負えません」(ABCテレビ・テレビ朝日ほか)。国際ロマンス詐欺に遭ったことで“二度と恋はしない”と誓った主人公・百瀬ひかる(若月)は、人生を立て直すべく高収入&住み込みという条件だけを狙って、高級ペントハウスの管理人の面接へ。そこでひょんなことから4人の癖強セレブ男子たちと共同生活を送ることになるラブコメディーです。

 情報解禁から謎に包まれていた本作ですが、1月12日からWEBTOON連動でLINEマンガebookjapanでの漫画連載もスタートし好評を得ています。ドラマではどのように展開されていくか、注目が集まっています。ドラマ第1話の放送を前に、TVガイドwebでは主演を務める若月佑美さんを直撃し、そのインタビューを前・後編にわたってお送りします。前編では、地上波連ドラ初主演への意気込みや役作りのお話を伺いました。

【「セレブ男子は手に負えません」インタビュー前編】“自分にとってもベストなタイミング”――若月佑美が地上波連ドラ初主演作への思いを明かす

――あらためて本作のお話が来た時の率直な気持ちを教えてください。

「一つは本当にありがたいなという気持ちがあって、自分としてもうれしいタイミングで主演のお話をいただけたなと思っていて。俳優業をやり始めてすぐに主演をやると、たぶん右も左も分からなかったり、自分のことでいっぱいになったり、役のことを考えるより緊張と不安であふれ返ってしまったのではないかと思うので、少し俳優業をやらせてもらってから時間がたって、根本的な段取りや主演がどういう立場で動いていくのかなど、基本的なことを近くで見てきてからやらせていただけることは、自分にとってもベストな時にやれたなと思います」

――心の準備もすでに整っていた?

「そうですね。主演というものにすごくこだわっていたわけでもなかったのですが、やっぱりいろいろな作品に出させていただく中で、“主演作”というものをやったことがある方は、ほかの主演の方の気持ちや大変さが分かったり、より役者としても人間としても寄り添える人になるのではないかと思っていました」

――「セレブ男子は手に負えません」というタイトルを聞いた時はどんなことを感じましたか?

「“セレブ男子“というワードがすごく面白そうだなと思って。自分の中で『セレブ男子とはなんだろう?』と思っていたのですが、分かりやすくお金持ちという一面もありつつ、コミカルな意味での“セレブ男子”って、ちょっと常識から外れているというか、お金持ちであるが故に突拍子もない考えをしている人たちなんだろうなと。しかも『手に負えない』ということは、そこに巻き込まれて『電車の乗り方分かりません!』『え、そんなことも分からないんですか!?』みたいなところから始まっていって面白くなるのかなという印象がありました」

【「セレブ男子は手に負えません」インタビュー前編】“自分にとってもベストなタイミング”――若月佑美が地上波連ドラ初主演作への思いを明かす

――脚本にはどんな印象を持たれましたか?

「今回のストーリー自体が王道というか、少女漫画のような雰囲気があるのですが、そういう雰囲気って、今はなくなってきていると思うんです。ドラマでも、刑事もの、医療ものが多かったり、どんでん返しが待っている伏線回収式のドラマが多い印象があって。そういう作品も私は大好きなので一視聴者として面白いなと思いつつ、私自身テレビっ子だったので、自分が青春時代に見ていた『花より男子』(TBS系)、『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』『ウォーターボーイズ』(ともにフジテレビ系)のような王道の学園ラブコメを、自分が主演のドラマでもいつかやれたらなと思っていたんです。今回は結構ガッツリと王道な内容だったので、遅い時間ではあるのですが、より若い方にも見てもらえたらと思っています」

――王道ストーリーでありながら情報量も多い作品だと感じたのですが、難しかった点、面白かった点を教えてください。

「難しさはありましたね。一つは料理シーン。そこは『ガチで料理してください』と言われていたので、実際に私が料理していることもあって大変だったなと。初めての体験でしたが、楽しさもすごくありましたね。監督がすごく料理好きな方で、教えていただきながら撮影していくのも面白かったです。あとは、ひかるの天真らんまんさですね。男性側のキャラクターがしっかりしているので、『ひかるちゃんが担う部分は何か』と考えた時に、やっぱり明るさ、天真らんまんさがあるから憎めないキャラクターにしないといけないと思いました。自分はどちらかというとローなテンション感で生きているので、うれしいことがあっても、心の中では喜びながら、手を上げて万歳する感じではないので(笑)。ひかるちゃんは分かりやすく感情を出していく子だったので、そこは一つギアを上げていかなきゃいけないなと思っていましたが、苦労しながらも楽しくできました」

【「セレブ男子は手に負えません」インタビュー前編】“自分にとってもベストなタイミング”――若月佑美が地上波連ドラ初主演作への思いを明かす

――物語が進むにつれて4人のセレブ男子が抱えているものも明らかとなっていきますが、脚本からどのように感じられましたか?

「意外と人間味がある書き方をしてくださっているなと感じました。例えば、天羽律(本田響矢)だったら、普段はすごくポジティブな感じで笑顔で振る舞っている子も、自分のことになるとすごくナイーブになって、自分に言われたちょっとしたことにも傷ついてしまって、それをどこに当てたらいいか分かんないから、そういう波がある人って自分の周りにいなくはないなと思ったので、その辺はすごく面白く読めました」

――“セレブ男子”と言いつつも、内面を見ていくと、4人とも私たちの日常生活の中にいるような人たちなのではないかと思います。

「そうですね。ちょっとオーバーに描いているところもあると思うのですが、神崎彰人(中尾暢樹)のように“そしゃくが苦手”という設定も、苦手な理由が“顎が弱い”からではなく、そしゃくをしている時間があるくらいなら別のことに時間を使いたいというしっかりとした理由がある。私の知り合いにも、食べる時間、寝る時間も働きたいという人がいて、ショートスリーパーで2時間しか寝ないそうなんです。『働いている時間の方が楽しいから、寝てる時間がもったいない。ほかの時間は全部働いている』とおっしゃっていて、その方はすごいなと思うのですが、それを置き換えたら全く理解できないということはなかったです」

――本作はWEBTOON連動で漫画連載とともにドラマも展開されていきます。演じていく上で漫画とドラマのことをそれぞれ意識することはあったのでしょうか?

「最初に原作のイラストを見せていただいた時に『原作があるものとして意識していかなきゃいけないな』と考えていたのですが、3次元にしかできない表現があるはずだと思っていたので、2次元を3次元にする意味を考えながらやっていきたいなと思っていました。あと、漫画とリンクしている部分を楽しんでいただくのはもちろんですが、『漫画だとこういう表現になるんだ』『あ、映像だとこうなるんだ』と、そこの違いを見ていただけたらいいなと思います。映像じゃないと出せないエモさのようなものもあると思いますし、それがキャラクターの感情にプラスになって出来上がるものもあると思うので、漫画もドラマも見てもらえたらうれしいですね」

【「セレブ男子は手に負えません」インタビュー前編】“自分にとってもベストなタイミング”――若月佑美が地上波連ドラ初主演作への思いを明かす

――今回演じられるひかるについて、若月さんが感じたことを教えてください。

「すごくいい人ですよね。セレブ男子たちの事情に足を踏み入れすぎているところもありますが、そうしてしまう理由としては『助けたい』『何か力になりたい』という気持ちが空回りしすぎて、足を突っ込みすぎて怒られたり、傷つけてしまう。でも彼女の根本は人を助けることが好きな子なんだろうなという印象があります。『お給料がいいから』と選んだ仕事ではあるのですが、選んだ道が管理人という、裏で雑用をやったりと結果的には誰かを助ける職業を選んでいる時点で、すごくいい子なんだろうなと。ヒロインって基本的に守られがちなのですが、“守ってあげられるヒロイン”でありたいなと演じながら思っていました。一緒に暮らしていくセレブ男子たちの心を守ってあげられる存在でありたいなと思いながら演じさせていただきました」

――以前「何曜日に生まれたの」(同局)で演じられていた瑞貴という役はかなり尖った役でしたが、本作のひかるは真逆の役柄なのかなとも感じます。

「『ナンウマ』の瑞貴はどちらかというと自分がすごくしっかりあって、誰かのために発する一言というより、自分がそう思ったから発する一言を持つタイプだったので、それとは違って、ひかるちゃんは悩んでいる人がいたらその人に寄り添ってどう声をかけるかを考えて話したりするタイプ。いろいろな人と関わっていく中で心が動く人だと思ったので、演じていてもまた違った楽しさがありましたし、演じていてポジティブな感情もたくさん生まれましたね」

【「セレブ男子は手に負えません」インタビュー前編】“自分にとってもベストなタイミング”――若月佑美が地上波連ドラ初主演作への思いを明かす

――ご自身と似ている点はありますか?

「ひかるちゃんのように自分が思ったことをすぐに行動まで移す猪突猛進さはないのですが、人を助けていきたい、守っていきたいという考えは私にもあって。それが体で守るのではなく、心で守っていきたいなとずっと自分自身も思っているので、そういう点ではひかるちゃんの気持ちもすごく分かりましたね。演じていてやりやすかったです」

――ひかるは、表情の豊かさや感情の振り幅が大きいと感じたのですが、そう言った部分を出すことに難しさを感じることはあったのでしょうか?

「難しかったですね。やっぱり人間って、生きていてうれしい時にうれしい感情を出しますけど、その時の表情って第三者に伝えようと思って作る表情ではないじゃないですか。本当にただただうれしいからその表情になっただけ、でもドラマは人に見せるためのもの。『真顔でも実は心の中で喜んでいるよ!』と説明できるわけではないので、そこを分かりやすくするのは自分が思っているよりも大きくやらないといけないなと思っていました。フィクションの世界でさまざまな表情を作らなきゃいけなかった大変さはありましたね」

【「セレブ男子は手に負えません」インタビュー前編】“自分にとってもベストなタイミング”――若月佑美が地上波連ドラ初主演作への思いを明かす

――物語はひかるが国際ロマンス詐欺に遭って借金だけが残るというどん底からのスタートから始まります。設定を聞いた時は率直にどんなことを感じましたか?

「『800万円ってすごいな。ほぼ1000万円じゃん』と思いました(笑)。それが自分に起きたら結構しんどいなと思いながらも、脚本を読んだ時にひかるちゃんの切り替えの速さがえぐいなとも思ったんです。くよくよ悩んで『もう自分なんて…』と卑下していく感じではなく、『もうここからやるしかない!』と切り替えるところがすごく面白いなと思いました。でも逆にリアルを突き詰めていくと、一度受けた傷はなかなか治らないものになってしまうので、そこはあえて感情をパパッと切り替えるというところで楽しく見てもらえるようにやらなきゃなと思いました」

――ひかるは外から見える部分と内に抱えているもののギャップがかなりあると感じるのですが、バランスについてはどんなことを意識されましたか?

「いい意味で脚本でのつじつまが合っているというか、ひかるちゃんって、元気いっぱいで何に対してもポジティブに『頑張るぞ!』と向かっていくのですが、弱っている人に対して寄り添う力がすごく強いんです。情緒不安定な律に対して言葉をかけたり、悩んでいる彰人に自分の経験談や失敗談を語りながら『もう一度、頑張ってみませんか?』と優しく寄り添うところは、自分がどん底になった経験もあって弱さを知っているからこそ、『こういう時にどういう言葉をかけてほしかったか』が分かっている人なんだろうなと思いますね。ただ一本調子でポジティブに元気を押し付けているわけではないと分かったところで、整理がつきました」

――ちなみに、若月さんは同じようなどん底の状況になった時、どのように立ち直りますか?

「一つは『時間の解決を待つ』。あとは、あえて無理に元気にならないようにしますね(笑)。私はひかるちゃんのように“なにくそ精神”があまりないタイプ。同じような状況になったらきっと悲しくなってしまうので(笑)。例えば音楽を聴くにしても『頑張ってこうぜ!』とか『明日は晴れるよ』という歌ではなくて、どちらかというと自分の気持ちと同じことを歌っているような歌がすごく好きなので、そういう曲を聴いて気持ちを落ちるとこまで落としてから『ここまで落ちたらもう上がるしかない!』と気持ちを持っていくタイプかな? でも『800万円借金をする』という状況になるって、なかなかないですよね(笑)」

 来週公開予定のインタビュー後編では、物語に欠かせない4人のセレブ男子との撮影の裏側について余すことなくお届けします。さらに、若月さんの“思い出の味”についてのエピソードも…?

【プロフィール】

【「セレブ男子は手に負えません」インタビュー前編】“自分にとってもベストなタイミング”――若月佑美が地上波連ドラ初主演作への思いを明かす

若月佑美(わかつき ゆみ)
2011年から乃木坂46で1期生として活動し、18年11月にグループを卒業。その後は活動の場を女優・モデルに移し、ドラマ「今日から俺は!!」(日本テレビ系)、「私の家政夫ナギサさん」(TBS系)、「ユーチューバーに娘はやらん!」(テレビ東京系)、「何曜日に生まれたの」(テレビ朝日系)、映画「ヲタクに恋は難しい」(20年)、「ブラックナイトパレード」(22年)など多くの作品に出演。20年には「Oggi」6月号から同誌美容専属モデルを務め、21年7月には初の単独表紙登場を果たした。また、二科展で通算9回入選し、22年は初の特選入賞を果たす。

【番組情報】

「セレブ男子は手に負えません」
テレビ朝日
1月20日スタート
土曜 深夜2:30〜3:00
ABCテレビ
1月21日スタート
日曜 午後11:55〜深夜0:25
※ABCテレビでの放送終了後、TVer・ABEMAで見逃し配信

取材・文/平川秋胡(ABCテレビ担当) 撮影/尾崎篤志
ヘアメーク/永田紫織[nous] スタイリング/蔵之下由衣
レザーベスト ¥176,000/colpierrot.com ブラウス ¥38,500/mtmodelist
パンツ ¥46,200/Sov. リング ¥2,400/ヘンカ イヤリング ¥13,970/RISA△BLANCA



この記事をシェアする


Copyright © TV Guide. All rights reserved.